第37話《配信チャット》(木南カンナ)

《:どどどどういうことだってばよ》


《:ラスボス⁉ ラスボス登場⁉》


《キリク:言ってる場合じゃねえって! 助けないと!》


《:ダンジョンマスターって都市伝説だと思ってた》


《:俺も》


《:マジでこれ? 仕込みじゃなくて?》


《:ていうか、タックンがあんな行動に出たのがショックなんだけど》


《:いまTAKUの話はどうでもいい》


《:マジでやばいだろ、カンナ》


《キリク:いま、手当たり次第に他のライバーにDM送ってる。お前らも手伝え!》


《:いやゲンノウに目を付けられたらたまったもんじゃないし》


《:怖いよな》


《キリク:見殺しにするのか!》


《:俺達はただの視聴者だぜ。危険を冒すのは配信者だけで十分だろ。巻き添えは御免だよ》


《:んだんだ》


《:死にたければ一人でどーぞ》


《:俺、怖いから、登録外すわ。みんなも早めにしたほうがいいぜ》


《:てか、どうなるんだよ、これ。ダンジョン作ってたやつが本当に現れちまったんだろ》


《:え、まさか、このゲンノウが一人で世界中のダンジョンを生み出したのか》


《:そういうことだろ》


《:やべーって、本当にガチモンのラスボス来たよ》


《:こいつのスキルって念動力じゃなかったっけ》


《:馬鹿、わかるだろ、だましてたんだよ。念動力と見せかけて、実際はダンジョンを構造から変化させていたんだよ》


《:つまり?》


《:カンナと同じダンジョンクリエイトの持ち主だってことだよ、馬鹿》


《:いやでもゲンノウはガチの戦闘力も強いだろ。マジ上位互換》


《:逃げて! カンナ逃げて!》


《:俺達には祈ることしか出来ん……》


《:しかし意外とゲンノウはおとなしいな。ワンチャン隙を突けるんじゃね》


《:お前、それ、現場にいるカンナ達に言ってみろよ》


《:俺ならチビって動けないね》


《:いまだゲンノウの一人語りターン》


《:なんかよくわからんこと言ってるな。神々? ウルカヌス? ってなんだ?》


《:ウルカヌスって、聞いたことがあるぞ。ギリシャ神話の神様じゃなかったっけ》


《:古代ローマな。微妙に大きく違う》


《:微妙なのか、大きいのか、どっちだよ》


《キリク:やっと一人連絡がついた!》


《:おー、お疲れー》


《:てめーは呑気か》


《:キリク氏無茶すんな、死ぬぞ》


《:誰と連絡ついた?》


《キリク:それをここで言えるかよ。ゲンノウが配信画面をチェックしたら一発でバレるだろ》


《:それ言ったらお前もな》


《:わざわざ連絡ついたとか自慢してくるの草》


《キリク:てめーらが全然動かねーからだろ! 人の命がかかってるのに、ふざけんじゃねーよ!》


《:もちつけ》


《:ヒステリーか?》


《:残念ながらどうしようもありません。人類は滅亡します》


《:お、ゲンノウが動いたぞ!》


《:あ、カンナも!》

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