No.3 簡単だよ。体験するのは。

君がなぜこの世に生まれたかと言うと、

私が望んだからだ。

そして同時に、君が望んだからだ。


「何を望んだの?」


欠けること。満たさぬこと。


「満たしたらどうなる?」


満たしたと同時に、欠ける。

もしくは、無くなる。

『在る』ものは、望まないだろう?

望まないものは、既に『無』と同じになる。

『無』を体験してからこそ、『存在』を認めるんだ。認めた途端、溢れ出す。

『在る』の原理だ。

『在る』、『無い』の原理は、君が意識した途端、存在する。つまり、『私』。

『私』もまた、君が意識したからこその存在だ。

君が私を生み出した。


「イマイチ、意味が分からない。」

「何を言いたいのか。。。」


何を言いたいのか???


「『イマイチ』と言うのは、過大評価。」

「全く言っている意味が分からない。」

「そう。君が屁理屈屋や、トンチンカンな奴にしか見えない。」


君が知りたいなら、『無』と、『在』るを、体験するのは簡単だよ。


「えっ?どうやって?」


私は、創造主。思った途端、意識した時点で、実現化する。

君が不感症で、分かりやすい形が望みなら、

君にでも簡単に分かる様に、実現させることは、簡単だよ。

実に簡単。


「どうやって?」


アオが言葉にしたのと同時の様に、アオは咳込み、そして、苦しそうに音もなく、悶え始めた。


「アァ〜。 ヴゥ。。。ヴ。。グゥェ。。」


アオが青ざめ、苦しそうに悶える姿をじっと見つめるブルー。

アオの抜け出すような、瞳孔が開きつつあるような、危ない空気がにわかに漂い出す。

ブルーは、瞬きをし、アオはカっと目を見開くと同時に、わざとらしく聞こえる、大きな呼吸音を上げ始めた。


「ハッ。ハ。。。」

「スグゥ。グゥェ。ッ。。ッ。。。」


乱れた呼吸は、空気の取り込み方を忘れたように、焦っている。


ぽそっと、ブルーはつぶやいた。

苦しそうだな。。。

ブルーが瞬きをしたと同時に、アオの顔が袋で覆われた。スイカが入る大きさの透明のビニール袋で包まれ、縁日に屋台で売られている綿菓子の様に袋はパンパン。

飢えを知ったかのように、貪るように呼吸をしようとする姿と、それと反して、空気を取り込めていない不器用なさまが、ブルーの目の前で繰り広げられていた。


また、ブルーは、ゆっくり、また瞬きをした。

アオの脇と股関節に、凍った水のペットボトルが挟まっていた。


ぶっ倒れたまま、苦しそうに横たわり、必死に生きるか死ぬかの様な呼吸を続けるアオ。

そして、静かに待つブルー。


ブルーは、冷静だった。

慌てもせず、微動だにもせず。

静寂の中、お茶をすすり、心地の良い時間を、アオの隣で、過ごし始めた。


アオとブルーの時間。

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