第14話 サイトウ、謎のフォロワー

「サイトウちゃん、これは何かしら? 」


「え、えーとぉ……? 」


「ダメにゃヒメちぃ。 この様子だとサイトウちゃん、事の重大さに気付いてないのにゃ」


 翌朝。


 ヒメカたちとの待ち合わせ場所であるホテルのロビーまで下りていくと。


 スマホの画面を突きつけられ、何故かお叱りを受けることになってしまった。


「これ、サイトウちゃんのポツったープロフィール。 名前がそのままサイトウなのは百歩譲って置いとくとして。 アイコンに使っているこの写真、この前更新したばかりの冒険者パスの写真をそのまんまアップロードしたでしょ」


「だ、だって写真をアップロードしてくださいっていわれたから……ま、マズかったか? 」


「同業者なら、背景を見て冒険者パスの写真だって一目で分かるしこんなんじゃすぐ個人を特定されちゃうのにゃ」


「そうよっ。 それこそ、ストーカーなんかに粘着されたらホテルの部屋まで押しかけられたりしちゃうわよっ」


「ストーカーって、お、わ、私にか!? 」


「そうだにゃ! サイトウちゃんはもっと危機意識を持つべきだにゃ」


「最近ニュースにもなってるでしょ”スキルストーカー”って。 ああゆうの、他人事じゃないわよ」


「スキルストーカー……」


 近年問題になってきているジョブスキルの悪用、その一例がスキルストーカーだ。


 文字通り、スキルを使用したストーカー行為は対策を講じにくくスキルによっては証拠も残りにくいため警察も手を焼いている。


(正直今までは、俺が巻き込まれるような問題じゃないって思っていたが……)


 二人の言う通り、これからはもう少し危機感を持っておくべきかもしれない。


「ヒメカもタマネも、心配かけてごめんな……。 私、今までこういうSNS? を使ってこなかったから勝手がわからなくて……」


「まあ、そうよね……。 実際昨日からはじめたわけだし」


「それならタマネたちと一緒に、プロフィールを編集しなおすのにゃ! 」


「そうね、せっかくだしバナーとかも設定しちゃいましょう」


「二人とも……! ありがとうっ」


 これまで俺はスマホのカメラ機能をあまり使ってこなかったので、写真フォルダーにまともな写真が存在せず。


 ネットからフリー素材を拾ってきてもいいがせっかくだからと。


 アイコンの画像はタマネから貰った猫の写真を、バナーの画像はヒメカから貰った星空の写真を使わせてもらうことになった。


「これでよしっと。 今後配信とか始めたら、プロフィールにも色々と追記しなきゃだけどそれはまた追々ね」


「配信? 」


「そうにゃ、ポツLIVE。 聞いたことないかにゃ? ここでダンジョンを攻略する様子を配信して、収益を得ている冒険者も多いんにゃよ」


「収益って、つまり……! か、稼げちゃうのか!?」


「もう、サイトウちゃんたら。 お金が絡むとすぐ釣られちゃうんだから……」


「にゃはは、正直でいいのにゃ」


「それより、サイトウちゃん。 プロフィールの編集中ずっと気になってたんだけど。 私とタマネと、あと、もう一人にフォローされてるけど。 この三人目って知り合い? 」


「え? あ、ホントだ……」


「知り合いなら早くフォロバしてあげた方がいいのにゃ」


「んーと。 んん? エリちゃん……? だ、誰だろう……? 」


「えっ、知らない人? 」


「でも、サイトウちゃんポツったーはじめてからまだ何もポツってないし。 知り合いじゃないとしたらどこから見つけてきたのにゃ? 」


「それもそう、よね。 ブロックしとく? 」


「あっ、けど。 連絡先の同期がオンになってるから……。 もしかすると、おすすめのユーザーからきた知り合いかもしれないのにゃ」


「知り合いをブロックしちゃったら、流石に気まずいわよね……。 サイトウちゃん、どうする? 」


「うーん。 フォローされてても取り合えず困ることはなさそうだし……。 一先ず、そのままにしとこうかな」


(アカウント名に自分の名前を使わない人も多いみたいだし……)


 後で知り合いにポツったーを始めたことを連絡しておいた方がいいかもしれない。


(追々、このカラダのことも伝えなきゃだしな……うう、気が重いぜ……)

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