やまない吹雪

 勇とエリカは魔物の襲撃を退けた後

村の門をくぐった

村に入ってからは更に吹雪がました

エリカが何かを感じたようで

村の奥の方を指差して


 『あっちの方から大きな魔力を感じるわ

 この吹雪に混じって、というか

 吹雪そのものって感じがする』


勇は馬車の中に倒れていた

5名の騎士団を放り込んだ

それを勇が持ち上げている

異常な光景だったが

それに気がついた村人が声をかけてくれた


 『びっくりしたよ〜

 馬車が浮いてるのかと思ったよ!

 女の子?2人だね?

 大層なもん持ち上げてるから

 びっくりしたけど

 冒険者かね?

 とりあえずこんな吹雪では大変だろうよ

 私のうちへお入りなさい

 暖かいものでも飲んでおいき』


少し年配の女性だった

勇が持ち上げていた馬車を下ろして

中に騎士団を見せ

他に数名介抱が必要な事を告げた

女性は心よく中に招き入れてくれた

そして騎士団の面々を毛布でくるみ

暖炉の近くに寝かせてくれた

勇はぺこりと頭を下げて


 『どうもありがとうございます

 私、勇といいます

 ご心配なくちゃんと人間です

 この子はエリカ

 この人達はたぶん王国の騎士団みたいなのですが

 村の入り口で大きな魔物に襲われたようで

 私たちはそこで彼らを見つけ

 ここに連れて来たんです

 それで〜実は私達

 ここの吹雪の状況を調べに来たんですが・・・

 何かわかる事があれば教えて欲しいのです』


勇の話を聞いて年配の女性は


 『私はこの村の村長をしている

 リア=サイネって言うの

 よろしくね

 そう、あなた達が

 王国から来てくれた方なのね

 わざわざありがとね

 聞いてるかもしれないけど

 この村の異変はやまない雪

 異変が起きたのは、いえ

 起きたというかおかしいと思い始めたのは

 2ヶ月前くらいなのよ

 元々雪が多い地域なので

 少しくらい吹雪が続いても

 誰も何も思わなかった

 けれどね、いつまで経っても

 この吹雪はおさまらないの

 天気に左右されているように思えなくて

 王国へ依頼させてもらったのよ』


エリカは村の入り口での出来事を

村長であるサイネに話した

 

 『あの魔物は悪意を持っていた

 明らかにこの村を敵視しているように

 そう見えたんだけど

 心当たりはないのかしら? 

 もちろん魔物の言う事を信じてる訳じゃないけど

 この吹雪

 魔力を帯びてるのよ

 村のあっちの方角から

 強い魔力を感じる

 人為的っていうか作為的っていうか

 何者かによって引き起こされている

 なんとなくそんな気がするんだけど』


サイネはエリカの指差した方角を見て

立ち上げって窓のカーテンを開け

話を続けた


 『そっちには鉱山があるの

 この村は採掘で生計を立てている人が多いからね

 鉱山の洞窟に入って採掘をしていると

 そこで魔物に出会う事もあるし

 ギルドに依頼なんか出して

 当然討伐もしているわ

 でも、それが原因という事なの?

 それはずっと続いて来た事でしょう?

 この村に限らずどこも同じ事なのに

 ここの村だけが魔物の恨みを買ったと

 そういう事なのかしら?』


サイネの言葉には少し苛立ちが感じ取れた

魔物を討伐して恨みを買った事が原因なら

そんな事がこの村にだけなんて理不尽だ

そう言いたげである

人間と魔物の関係を考えると

サイネの感情は当然の事なのだろう

これが魔物による報復ならば

人類としての対応は決まっている

討伐しかない

これがこの世界の真実であり真理でもある


しばらく重い空気になったが

騎士団員が目を覚ました事により

少し空気が和む

騎士団員もあの魔物が何者かは

知らなかった

勇は騎士団員達に身分を明かし

姫様から貰った紋の入った証書を見せた

騎士団員は全員驚き平伏した

勇は焦って


 『いやいやいや

 ちょっ!ちょっと待ってってゆーか

 頭上げてよもぉ〜〜〜〜

 そういう意味で見せたんじゃないの〜

 もぉ・・・この証書

 ちょっと効きすぎなのよね・・・』


話あった結果

勇とエリカは鉱山にある洞窟へ

騎士団員は村での聞き込みと調査

魔物が出た際の護衛となった

騎士団の1人が


 『強襲され不覚を取りましたが

 きちんと対応できれば

 負けはいたしません!!』


そういう事らしいので

村の護衛は任せる事にした

勇とエリカは村長さん宅で

1日宿を提供してもらった


そして翌日

勇とエリカは採掘洞窟の前に立っていた


続く

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