港町モネフィラ事変解決

 人魚姫を乗せた馬車を走らせる勇とエリカ

人魚姫は眠らせているのか、まだ目を覚さない

勇はそんな人魚姫を見て


 『ねぇねぇ人魚姫さんって

 スタイル抜群で

 なんかこう・・・凄くない?』


揺れる水槽の中で眠る人魚姫は

ただただ綺麗だった

勇はその姿に見惚れていた


 『目、覚さないかな〜』


勇は水槽を眺めていた

そんな勇を見てエリカは


 『何言ってんのよバカ

 そんな事より

 あなたあの魔人の物理障壁をどうやって

 破ったの?』


人魚姫に見惚れていた勇は

そん話待ってました、とばかりに話始めた


 『ふふん

 実はね、最終的にあの壁を破ったのは

 魔法なんだよね!

 あいつ私が魔法を使う事を想定してなかったみたい

 でも、ほら私って魔法を使うと場合によっては

 自分もダメージ受けちゃうでしょ?

 だからもし普通に魔法を使って

 あの壁を破るのに失敗しちゃったら

 私は自分の魔法でダウンしちゃって

 魔人にトドメをさされる間抜けな事になってしまう

 そう!私はそれはカッコ悪いと思ったわけよ!

 そこで私は考えた

 魔法を手の周りにだけ使って

 グローブみたいにしたの

 右手が魔法に包まれた事で

 あの壁をすり抜ける事に成功しちゃったってわけ!

 私の頭脳の勝利だよね、フフフ』


勇は自信満々に胸をはってエリカに自慢した

それを聞いたエリカは虚を疲れたような顔をして


 『す、すごい発想ね・・・

 私には思いつかないわ・・

 だって普通に魔法使う人は

 そのまま魔法を発動させちゃえばいい訳で

 あなたみたいに自分もダメージなんて受けないからね

 そう、さすが勇ね・・・プププ、クスクス、アハハハハハ』


笑いを堪えきれなくて吹き出してしまったエリカ

勇の渾身の策がありえない発想で面白かったようだ


 『もぅ!、笑うなんてひどぉーい

 私、凄い作戦だと思ったのにぃ〜』


勇が拗ねてエリカが笑いながら謝る

そんな会話をしていると

水槽の人魚姫に動きが見られた


 『う・・・う〜〜ん・・・

 ゴホッ・・ゲホッ・・・んんん』


人魚姫がうっすらを目を開けた

そこにはニッコニコの笑顔の勇がこっちを見ていた


『おはよー大丈夫?

 私、勇って言うの

 ポセイドンさんに依頼されて

 あなたを助けに来たので

 敵じゃないから安心してね』


人魚姫が警戒しないように話かける

彼女は自分の置かれた状況を理解しはじめた


 『あらまぁ、あの人が

 あなた達人間に依頼を?

 それはとても驚きましたけど

 とても良い事ですね、ウフフ』


そう言って勇の笑顔に対して

人魚姫も笑顔で返す

お互いニコニコしながら

たくさん話をした

エリカはあまり話しをしなかったが

笑顔で2人のやりとりを聞いていた


その後ポセイドンが待つ場所に

人魚姫を連れていった


 『あなた、ただいま』


ポセイドン8世は言葉にならない声が漏れる

人魚姫をそっと抱きしめた

勇とエリカはその姿を見てほっと一安心して

お互いをチラッと見て微笑む

ポセイドン8世は勇とエリカに


 『この礼は返しきれぬ

 誠に感謝いたす

 何か力になれる事があれば

 なんでも言ってくだされ』


ポセイドン8世の言葉を受けて

勇は一つお願いがあると言い

ポセイドン8世にある協力を頼んだ

エリカはその提案に

 

 『ちょっと勇!本気なの!?』


あまり賛同してる感じではなかったが

勇は大丈夫大丈夫と言い約束をつけた


その後イルワーをギルドに引き渡し

事の顛末をギルド長アディオに説明した


 『まさか・・・魔人と手を組んでいたなんて・・・

 しかし説明を聞くにいろんな事が

 繋がってきました

 本人も自供している事ですし

 間違いないんでしょうけど

 魔人と手を組むなんて

 いかに危険な事か分かってない

 その事の方が恐ろしいですね

 一歩間違えばこの街は滅んでしまっていても

 おかしくないと言うのに・・・

 ともかく彼の処遇は王国に任せる事にします』

 

そして勇はアディオをとある場所へ連れていく

そこは海辺の洞窟の奥

そこで待ち受けていたのはポセイドン8世だった

勇は驚くアディオに


 『こちらポセイドンさん』


軽く紹介した

人間に魔物を紹介するという

前代未聞の出来事だった

アディオは言葉を失っていた

紹介されたポセイドン8世は


 『この度は我々がえらく迷惑をかけた

 人質を取られ、脅迫されていたとはいえ

 こちらの失態で人間達には関係のない事

 誠にすまないと思っている』


アディオから見れば魔物であるポセイドン8世

言葉を喋り、そして謝罪をしてきた事にさらに驚く

勇は事の行く末を見守り口を挟まない

これはこの世界の人間とこの世界に住む者達との問題

アディオは少し考えていたが


 『確かに我々は意味のない攻撃を受け

 大きな損害を受けております

 しかしあなた方のテリトリーである

 海の恩恵を今まで多く受けてきたのも確かです

 今回の事は不運な事故として処理するつもりです

 あなた方海の一族が関与していた事は

 王国には秘密にしておきましょう

 そこで一つ提案なのですが

 共存の道はありませんか?

 私たちは今まで通り海路を使用させて

 いただきたいのです

 あなた方にはその海をこれからも守って頂きたいのです

 これを持って今回の事に遺恨を残さず

 先の未来の為に寄り添う道を

 お互い歩んでいく・・・と言うのは

 ダメですかね?』


アディオの提案はポセイドン8世に

快諾されお互い手を取り合い

今回の事件は解決を迎えた


アディオを送り届けた後

エリカは勇に疑問をぶつけた


 『どうして人と魔物を会わせようとしたの?

 事と次第によっては戦争になるところよ?』


それを聞いた勇は


 『う〜ん

 アディオさんならなんか大丈夫じゃないかな?

 って思ったんだよね〜

 懐が大きそうな?ギルド調は伊達じゃないってね!』


エリカはポカンとして


 『結局ただの勘じゃん』


とため息をついて呆れた顔した

勇は少し笑いながら


 『人を見る目はあるのだよ』


そう言ってエリカをじっと見る

まるでエリカを評価してるかのように・・・

それを感じたエリカは照れ隠しに

そっぽ向いて


 『あっそ』


と言って少し微笑む

その顔は勇には見せないようにしていた


その夜は宴会が開かれた

勇とエリカはたくさんのご馳走を食べ

たくさんと人から感謝された

すっかり忘れていた作戦の協力パーティーアクセルの

面々とも再開をはたし作戦成功を祝った


次の日にギルドマスター、アディオから

王国への報告に鳩を飛ばした

勇達が王国の機関を襲った事と

モネフィラの街が海の魔物とと手を組んだ事は

うまく伏せて報告した

その返事が次の日はあった

そこには姫様からの労いの言葉と

勇への想いが綴られていた

そして最後に次のお願い事が書かれていた


続く


後日談

数日後ギルドの討伐依頼に国から

高額報酬のある依頼がきた


 盗賊団 漆黒の月の頭の捕獲

 団の討伐

 頭は生きたまま連行

 団は壊滅せよ

 

とまぁかなりお怒りのご様子な依頼だった

その後の盗賊団はまた別のお話


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