事件の真相

 『ゲホッゲホッ!

 う〜ん・・・ここは・・・』


勇は自身の魔法により気絶していたが

気が付きゆっくりと目を開けた

体を起こし辺りをキョロキョロと見渡す


 『天井がある、空気も

 洞窟?的な??』


ボーッと上を眺めていると


 『気が付いたか?』


勇は背後から声をかけられ

驚いてビクっとなる


 『うわっ!?え?誰?』


サッと起き上がって警戒態勢をとる勇

その目の前には人の形はしているが

2メートルはあるかと思われる巨体で

ウロコやヒレがあり魚のような人のような存在に見えた


 『お・・・さかなさん?

 あ、でも今言葉を喋ってた

 あなたは誰で何??』


その魚のような人物は


 『私は魚人族で人魚の王

 ポセイドン8世だのロゼと言う

 わけあって

 君らをここまで運んできた』


勇は君らと言われてハッとし

エリカの姿を探した

勇から少し離れた小さな焚火の近くで

横になって気を失っていた


 『エリカ!!!』


そう言って勇はエリカの元に行き

呼吸を確認する


 『よかった〜〜〜大丈夫みたい・・・』


勇は安心してその場に座り込む

その物音にエリカが目を覚ました


 『うぅぅ・・・・痛い、体、が痛い』


エリカもゆっくり体を起こし

キョロキョロして横にいる勇を見つける

勇は笑顔で涙ぐみエリカに抱きつく


 『エリカ〜〜〜〜〜〜』


エリカはびっくりして勇の顔を押し除け

その勇の背後にいる魚人を見て驚き

戦闘体勢を取ろうとする


 『あわわわ!!!まってまって〜〜

 エリカ、ストーップ、ストップ!!

 あの人は敵じゃない

 私たちをここまで運んでくれたの!』


エリカは戦闘体勢のまま怪訝な顔をする


 『え?何言ってるの?私は襲われたのよ?』


エリカは自身は無理やり連行された事を伝えた

戦闘体勢をとかずに警戒する

それを聞いた魚人は


 『すまない、あの時はこうするしかなかったのだ

 あの場所からすぐに移動しなければいけない

 事情があった為

 私は君らの意思を確認せずに担いで

 全力で泳いであの場から離れたのだ

 すまなかった』


そう言って軽く頭を下げるポセイドン8世こと、ロゼ

勇はエリカをなだめて


 『まぁまぁ、こう言ってる事だし

 とりあえず話だけ聞いてみない?

 ねっエリカ』


勇に言われてエリカは戦闘体勢をといて

落ち着きを取り戻す

勇はにっこり笑ってエリカにありがとうと言った


 『さぁロゼさん、でしたよね

 私たちを強制連行した事情を

 聞かせてもらってもいいですか?』


勇はそう言って焚火の前に座る

エリカは不服そうながらも勇の横に座る


 『ふむ、まずは先ほども申したが

 私はポセイドン8世のロゼと言う

 君らをここまで運んだのは

 お願いしたい事があっての事だ

 気が付いてるかもしれないが

 君らの船を襲っていたサハギン達は

 私の仲間という事になる

 私の国の兵隊達だ

 本当にすまないと思っている

 謝罪しよう

 しかし我々も好きでやっていた訳ではないのだ

 脅迫されて、無理やり従っていたにすぎない

 その為、出来るだけ被害を最小限に

 抑える努力はしていた事を分かって欲しい

 双方に被害者がでぬようにだけは

 気をつけていたのだが・・・・』


ロゼはそこまで言って一度頭を下げた

勇は黙って聞いていたが

エリカは


 『被害者が出ぬようって

 荷物なくした人は十分被害者なのよ

 命こそあれど、生命線を立たれた人だって

 いたはずよ!』


エリカの言いたい事は

襲われたその場で死ぬことはなかっても

大事な荷物を奪われ

生活する術を失ってしまったことは

死活問題であるという事である


 『その事についても理解はしておる

 しかしこの件についての首謀者の中には

 君らの仲間、人間がいるという事を知って欲しい』


そう言った瞬間エリカが立ち上がって

反論しようとしたが言葉を失った

冒険者ギルドの長アディオが懸念していた事

内通者、黒幕の存在を近くに感じていたという話を

していたからだ

ロゼはエリカが黙って座ったのを確認し

更に話を続けた


 『我々にとっても守るべき者の為に

 仕方がなかったのだ

 少し前の事だ

 我らの国にクラーケンが侵攻してきたのだ

 私が軍を率いてクラーケンと対峙したのだが

 城内が手薄になった事を狙った魔人が

 我が国の姫、人魚姫が拐ったのだ

 そして命が惜しければ言う事を聞けとい

 分かりやすい脅迫を受けた

 我々には姫の命が一番重要だった

 姫の奪還も考えたのだが

 魔人は姫を己が潜伏する館に監禁したのだ

 我々は陸地ではとても奴には敵わない

 何か手立てを考えている時に

 君らがクラーケンを討伐してくれたのを見て

 魔人がそれを察知する前に

 君らを無理やりここへ運んだのだ

 そしてお願いとは奴の手から姫を

 救ってもらいたい

 姫を返してくれないか・・・』


続く

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