クラーケンの丸焼き

 『みんな離れて〜〜〜!!!』


 勇の一声と共にサハギン達がその場を離れていく

エリカは不安になりつつも遠くから見守るしかなかった

自分の出番はこの後だと分かっていたからだ

クラーケンにとって人が1人くっついた所で

子虫程度が張り付いた程度

気にする事でもなかった

それがクラーケンにとって命取りになった

勇はクラーケンに抱きついたまま

電撃魔法をイメージする


 『イメージ、イメージ〜

 雷、電気、電撃・・・といえば

 ピ○チュウ先輩だ!!』

 

魔法の性質はイメージ、想像力だ

どんな風に魔力を形にするか

精霊の力を借りて自身の魔力を

言葉に乗せて発動する

雷属性の魔法は勇にとって

前世の記憶から電撃魔法へと変換される

覚悟を決めた勇は全力で魔法を行使する


 『よぉぉぉ〜〜し!!!いくよぉ〜〜〜!!

 ヒャァクマン〜〜ボォルトォォォォ!!!』


バリバリバリバリィ!!!!と勇を中心に電気爆発が起こる

離れていたエリカやサハギン達が

直視できないほどの光が海中に広がる

クラーケンは勇の電撃をまともにくらい

全身が電撃に覆われる

その電撃は勇の膨大な魔力を元にした魔法

巨大なクラーケンの全身を包み込む

そして底なしの魔力が尽きるまで

電撃がクラーケンに注ぎ込まれる

クラーケンの意識はすでになく

ひたすら致命傷になる電撃を喰らい続ける


しかし勇の魔法は諸刃の剣

電撃魔法を使うと自身も被害を受ける

勇は前世の電気のイメージが強すぎて

感電する物としての常識が抜けない為だった

その根底にある常識が自身にダメージを与えてしまう

とまぁそういう訳でイカ焼きが出来上がったのだが

その横で感電し意識を失う勇の姿があった

クラーケンは深い海の奥底に沈んでいった

勇の電撃は広範囲に及んだ

数体のサハギンはダメージを受けてしまった

エリカも勇の電撃から自身を包む結界が

破壊されそうになったが魔力をそそぎ

ギリギリ耐えきった


 『ゆう!!今助けにいくからね!!』


エリカはこうなる事が分かっていた

勇に魔法を教えた時に

同じ結果になった事を忘れるわけがなく

クラーケンは勇が魔法で倒す

それは信じていた

ただその後自身の魔法でダメージを受けた

勇を助けに行かなくてはいけないと・・・

エリカが勇に向けて移動を開始した瞬間だった

勇の元にどこからともなく何かがやってきた

その何かが勇を担ぎ高速でエリカの元へ

向かってきた

 

 『な?なに?人?魔物??』


あまりのスピードの速さにエリカは反応できずに

防御態勢ととったのだがエリカもまた抱えられ

海中を高速で移動し始めた

水中での高速移動の圧力に耐えきれず

エリカも気を失ってしまった


続く

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