エリカの作戦とは

 『私たちが囮になります』


エリカがアディオにそう告げ

勇をチラッと見て更に話を続ける


 『勇の、彼女の強さがあれば

 おそらくマーマンだろうが

 何が来ても問題なく退ける事が

 可能です

 まぁ私だけでも行けるんですけど・・・

 冒険者を多くやとい

 ある程度の抵抗した後

 わざと荷を盗ませます

 私と勇は荷の中に隠れて

 奴らの巣か荷の置き場まで行き

 回収するであろう黒幕が現れたら取っ捕まえて

 一見落着!って作戦です』


勇はエリカの話を聞いて

 

 自分だけでも行けるって

 いちいち言う所が負けず嫌いだなぁ


と思いニコニコする

エリカがそれに気づき

 

 『なによ』


と言って勇を見る

勇はべつに〜とはぐらかし話を続けてと言う


エリカの言う作戦は聞けば簡単そうに

聞こえるが、相手陣内に乗り込むと言う事は

かなりの危険性が伴う

そこで勇の強さと勇気が作戦の要(かなめ)となる

エリカの自信とは反対に

アディオは無謀だと首を横にふる


 『荷物の中といっても海中を移動するんですよ

 長く息を止めても、どこまで行くか分からない

 そんな状況で呼吸を我慢しきれるか・・・

 後荷物はどうするんですか?

 必ず襲われるそれなりの物・・・

 が必要になりますが?』


アディオの心配をよそにエリカは

自信満々にニヤっと笑う


 『ふふふ、そこは私の結界術を駆使します

 2人を結界で囲い

 木箱中に潜入します

 その周りに空気を圧縮した結界球を

 たくさん用意しておきます

 苦しくなってきたら球で空気を補充し

 いける所まで行く

 あくまでも推測の域ですが

 そんな遠い場所まで

 荷物を運ぶ事はないかと思います

 たぶん・・・

 んで、もし空気がなくなってしまった場合は

 そこで敵を殲滅して脱出します

 これをしちゃうと作戦は失敗って事ですけどね

 続いて重要な荷ですが

 聖剣、そしてミスリルとします

 聖剣は私たちが所持しているのを実際に

 そしてミスリルは偽物の鉱石かなんかで

 適当に間に合わせてください

 輸送する船の積荷を確認される事もないでしょう

 本物と思わせる為にも

 アディオさんに一役かってもらいます

 人間側に、アディオさんの近い位置に

 黒幕がいるのなら

 関係者に広まるように積荷の話を

 噂ではって感じで偉い人に広めてください

 雇う冒険者には伝わらないように

 極秘扱いの話として少し広めてもらえば

 後は勝手に知る人のみが知る話になるでしょう

 細かい作戦についてですが・・・・』


アディオは渋々納得をして作戦を実行する事にした

船舶が襲われる問題は無視しておく訳にはいかなかった

港町に船が来なくなると街が衰退してしまう

ワラにもすがる思いで作戦に乗る事にしたのだった


勇達は港を一望できる場所に移動する事になった

その途中大きな館の前を通った

勇は珍しそうに


 『こんな町外れに住んでる人いるんですね

 その、魔物とか大丈夫なんですか?』


アディオが勇の質問に答えた


 『ここはイルワーさんという

 古くからの商家の方のお屋敷です

 長く商業組合の役もやられているようで

 街の発展にも貢献されている方です

 商館と住居を兼ねておられるので

 人の出入りも多いんですよ

 馬車などの出入りも多い為

 街中では迷惑をかける事もあると

 ここに立てたと聞いています

 魔物ついては街の近くですし

 まぁ大丈夫でしょう

 出たとしても獣程度かと

 その辺は魔素の関係ですね』


勇は屋敷が気になったが

エリカとアディオが先に歩いていったので

諦めて後を追いかけた

勇がエリカに魔素と魔物の話も聞きたいと

言ったのでエリカが話始めると

丘の上に辿りついた

その為魔素の話はまた後でとなった

港から航路確認と雇った冒険者達に

もしもがあった場合の為に漁船に偽装した

救助船を待機させておく場所など

細かい事を話あった

その後街に戻り冒険者の募集を始める


ランクは3rd以上5名くらい

依頼主を国として報酬は多めの護衛任務

海路を使って北の国境付近の紛争地域まで

重要物資を騎士団に届けるという内容で

募集を開始しておいた

これはあくまでも募集内容であって

実際に集まって冒険者達には

作戦当日に荷を守り抜く必要はない事を

告げる予定だった


アディオは勇達が国から

派遣された人物という事は

内緒にし今回の国からの依頼についての

偽情報を重要な任務であると

話を広め、届ける荷物についても

内緒の話程度に広めて回った


作戦当日

募集した依頼に対して

アディオさんが信頼のおける

実績があるパーティーを

選出してくれていた

彼らと荷物、その中に勇とエリカが入り

それらを乗せた船が出航する

勇はワクワクしていた

密かに隠れ最後には飛び出て

悪を退治する


 とっっってもおもしろそ〜〜〜


そんな勇を乗せた船が海路を進めていく


続く

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