旅路2日目

 馬車の旅2日目


 『ねっモネフィラ?だっけ?

 後どれくらい?』


土地勘のない勇はエリカに

目的地への距離を尋ねた

エリカは目の前に見える山を

指差しながら勇の質問に答える


 『う〜んと距離的には

 丸1日って感じなんだけど

 目の前に山見えるでしょ?

 あれを超えるんだけど

 このままだと夜になるから

 一旦麓(ふもと)まで行って

 そこに宿場町があるから

 今日はそこで休んで

 明日朝から山超える予定かな〜

 ってな訳で明日には着く!予定』


エリカは馬車を進めながら

説明をしていると目の前に宿屋が

見えてきた


 『ほら、今日はあそこで泊まるよ

 ちなみに国営だから

 マリエル先輩から預かった

 王国発行の証明書を見せたら

 たぶん無料で泊めてくれると思うんだけど』


馬車を宿屋の隣に泊めて

勇とエリカはお店の中に入っていく


 『いらっしゃませ〜 

 長旅お疲れ様、お客さんどこから来たの?

 ここどの街からも遠いから大変だったでしょ〜

 温泉もあるからゆっくりしてくださいね〜、ウフフ』


女将さんらしい人が出迎えてくれた

勇とエリカは挨拶を済ませた後に

勇は女将に王国発行の証明書を見せた 


 『すいませ〜ん

 これって大丈夫な感じですか?』


笑顔の女将が勇からカードを見せられた瞬間

顔つきが変わる


 『しょ・・・しょっ・・しょう、おま、お待ちください!!!』


ピューっと走っていった女将

そして支配人らしい男性と共に戻ってきた

勇の目の前に来ると2人して膝間づき


 『ようこそいらっしゃいませ

 こちらの支配人を仰せつかっております

 ランプ=ドーヤと申します

 お部屋の準備出来次第

 ご案内させていただきますので

 もうしばらくお待ちください』


 次の日の朝


 『勇様、エリカ様、いってらっしゃいませ!!!

 従業員一同旅のご無事をお祈りさせて頂きます!!!』


宿屋従業員が全員でお見送りしてくれた


勇は疲れた顔をしている

反対にエリカは超絶楽しそうな顔をしている

そんなエリカを見て勇が愚痴をこぼす


 『もう〜なんか逆に疲れたよぉ〜

 あのカード見せた後から

 急におもてなしが過ぎて・・・・

 ずっと周りに人がいるし

 私がちょっと動こうもんなら

 周りの人達がなんかビクつくし

 みんなして言葉使いが難しくて

 会話しにくいし

 私の横でお茶溢してしまった女の子

 死んじゃうんじゃないかってくらい落ち込んでたし

 着替えにメイドさん3人も来て

 手伝おうとしてくるしさぁ・・・脱がされそうになったよ!

 はぁぁぁぁ〜〜このカードもう使うの辞めようよ・・・』


勇が見せたカードは王族の証明書だった

その為、勇は王族扱いを受けてしまった結果

至れり尽くせりが尽くされすぎてしまい

慣れない勇は酷く疲れてしまった

エリカはその様子を一晩中見てたので

おかしくて仕方なかったのだった


 『いいじゃない?

 私面白かったよ?』


とエリカはクスクスと思い出し笑いをしていた

勇は全く笑えない


 『このカードは封印しよう・・・

 でもなぁ私お金持ってないし

 なんか稼ぐ方法ないかなエリカ?』


勇から相談を受けたエリカは

人差し指を立て

これしかないって感じで


 『なら、冒険者登録ね

 お仕事斡旋してもらえるし

 身分証明書にもなるしね

 勇なら討伐も採集も人助けも

 なんでも出来そうだし』


勇はエリカの話を聞いて興味がわいた


 『冒険者?

 それって何するの?

 どこで登録できるの?』


エリカが更に説明を続ける


 『うん、モネフィラの街でも出来るし

 どこの街でも割とできる

 元々は公共職業なんちゃらだったかな?

 今は冒険者組合って言われてる

 組合にはお仕事の依頼が集まってて

 それを見た冒険者が自分の出来そうな

 仕事を受けて、達成したら報酬を得る

 簡単に言えばそんな感じよ

 仕事の難易度に対して報酬が変わるの

 街についたら一度組合に行ってみたらいいよ』


その話を聞いた勇は


 なんかハローワーク?だっけ

 そんな所かな?


と思った


馬車は山道を進み街を目指す

山の奥深くまできた時だった

エリカが馬車を止めた

その目の前には武器を持った

ガラの悪い男達が約10名

ニヤニヤと笑いながら

馬車の行先を遮った


続く

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