マリー襲来

 勇が起こした奇跡

レミス村に緑が蘇った

勇は女神の力を行使したという事にした


 『女神様のお力をお借りし

 土地に力を注ぎました

 みなさん、女神の感謝を・・・

 ここに教会を建てました

 私が祈りを捧げた事によって

 この村は女神の力によって守られていまーす

 皆さんも、お時間ある時に

 ぜひお祈りしていってね〜〜』 


 なんか怪しい勧誘みたいになってしまった・・・


一応女神様に言われてた

皆の信仰心を深める事と

教会にお祈りを捧げる事もクリアした


 それから2日後 

勇とエリカが休憩している所に

王国から馬車が数台やってきた

必要な物資などを載せてきたようだったが

一台だけ明らかに派手な馬車があった

こんなに目立つと誰が乗っているかは

一目瞭然

逆に危ないのでは?と思ってしまう

その派手な馬車の扉が

勢いよく開いたと思ったら

さらに勢いよく人が飛び出してきて

勇に抱きついた


 『ゆう〜〜〜心配したよ〜

 無事リッチ討伐してくれたんだね!

 さすがゆうだよ〜〜

 ありがと』


王国からやってきた姫様ことマリーだった

鳩の姿をした隼なる伝書鳥で

リッチ討伐の情報を得て

すぐ物資の準備をし

その日のうちに出発したのだろう

勇と接しているとそうは見えないが

こういう迅速な行動はさすがといえる

勇に顔を擦り付けているマリー


 『あはは、マリー痛いよー締め付けすぎぃ

 久しぶりだね〜元気してた?

 ちょっと大変だったけど

 周りの人達と強力して

 なんとか討伐成功しました

 勇者として頑張ったよー』


マリーがエリカに気が付く


 『あら、エリカじゃない

 久しぶりね』


勇に抱きついていた手を離して

急に姫様モードになる

エリカは片膝をつき頭を下げて


 『お久しぶりですマリエル様』


マリーは少し微笑んでエリカに近寄る


 『大役ご苦労様でした

 あなたの活躍は聞いていますよ

 フフ、学生の頃から才は秀でていましたが

 尚一層強くなったのですね』


エリカは頭を下げたまま


 『お褒め頂きありがとうございます』


横で見たいた勇は


 『ちゃんとしてるマリーだ』


そう言って笑う

マリーも勇のその一言で

笑顔になり


 『そうね、エリカ堅苦しいのは

 ここまでにしましょう

 楽にしてちょうだい』


姫到着を知ったラシエルが駆けつける

マリーと挨拶をしいろいろ話をしている

今回の事件についての報告や

封印石の事などを話しているみたいだ

マリーがこっちを見て

悲しそうな顔で


 『ゆう・・・

 ちょっと待っててね』


そう言って手を振りながら

ラシエルと本部のテントに

入っていくマリー

勇はエリカに


 『ねぇマリーと知り合いだったの?』


と聞いた

エリカはマリーとの出会いについて

話してくれた


 『魔法学校に通ってた頃にお世話になったのよ

 私が入学した時の先輩で

 私、天才だなんて持てはやされていて

 ちょっと有頂天になっていた時期があって

 その鼻を折ってくれたのが姫様なのよ

 私、有名な人に絡んで実力を示してたんだけど

 姫様には全く歯がたたなくて負けたんだよね

 その後、私にいろいろ目をかけてくれて

 まぁその尊敬する先輩ってとこかな』


勇は想像すると少し羨ましくなった

2人とやりとり見てみたかった、そう思った


そして夜になった頃

マリー専用の簡易コテージが完成していた

どうやら1泊していくらしい

マリー、ラシエル、騎士団、神官を含めた

会議が長く続いたせいもあったのだろう


1日の作業を終えシャワー浴びた

勇とエリカが寝床に戻ろうと

簡易宿に向かって歩いていると

マリーが暗闇から飛び出してきて

勇をがっと掴んで引っ張っていった


 『エリカ〜勇借りるわね〜ふふふ』


そう言ってコテージに引きずって連行された勇

ベッドに放り投げられた勇

マリーも飛んできて抱きつく

 

『やっと2人っきりになれたね、エヘヘ』


マリーはとても嬉しそうだった

リッチ討伐の事を含めいろんな話をした

その後はマリーからもお願いがあるといので

話を聞いた

 

 『実は・・・・』


危険な場所へ勇に行って欲しいという話だった

マリーは泣きながら説明する

勇を自分の指示でそんな場所に行かせなくては

いけない事が嫌でしょうがなかった

出来れば自分が、と思ったりもしたが

勇者の力が必要だった

勇の友人、国を守る王族、板挟み状態だ

それを理解している勇はマリーを慰めながら

頭をずっとヨシヨシしていた


マリーが落ち着きを取り戻し

そろそろ寝ようという時にマリーは

ガバッと起き上がって勇に覆いかぶさり

勇の唇を奪う

勇もマリーを受け止める

初めてした時よりも少し濃密


 『うふふ、勇大好き』


そう言って勇に抱きついてマリーは眠る

勇もマリーを抱きしめて頭を撫でて

そのまま眠りにつく


 次の日

本部簡易会議室にて

マリー、ラシエル勇とエリカ

そして数名の主となる人物達が集められ

今後の方針が示された

勇においては昨晩マリーから少し話があった

港町モネフィラに向かってほしいとの事だった

どうやら海獣の被害が問題視されているらしい

その調査も兼ねて、という事らしい

勇は女神の眷属としてこの国の教会巡礼する

目的もあった為、ちょうど良いって事で

昨晩すでに引き受けていた


 『任せて、私勇者だから頑張ります!!!』


 勇者・・・この世界でこの言葉はいろいろ便利だな・・・


勇はそう思うようになっていた

その話を聞いていたエリカが


 『あのぉ〜

 勇のモネフィラ派遣の件なんですが

 私も同行してかまいませんか?』


一同騒然とした

マリーも驚いたが

すぐに笑顔になり


 『エリカ、あなたが一緒なら

 とても心強いです

 ぜひこちらからお願いしたいくらいです

 ラシエル様、よろしいでしょうか?』


勇のこの世界に対しての無知を

エリカなら補佐してくれる

そして魔術師としても勇の補佐になると思い

魔術師団としてはエリカの上司にあたる

ラシエルに許可をもとめた


 『問題ありません

 エリカにとっても良い事でしょう』


ラシエルも同じ気持ちだった

その後なんだかんだと話が続いた


次の日

マリーから王国の証明証を渡された

なんでも顔パスになるし

身分証明証にもなるらしい

馬車も1台もらい皆に見送られて

勇とエリカはモネフィラの街に向けて出発した


続く

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