第2話 曹長の回想
「ウスノロの奴と初めて会ったのは、インセクト星系の中でも辺境にあたる惑星デザルトムの強制流刑地だ」
「曹長殿はなぜそんなところに?」
「そりゃあ勿論、やらかしちまったからだ。高難度の作戦の最中に敵のステーションを味方ごと破壊して、軍法会議にかけられたのさ」
新兵の疑問に曹長が軽くこたえた。
「作戦遂行の為のやむを得ない行為では?」
「………艦隊の主砲でも落ちなかったのにキレちまって、たまたま目標のステーションに近かった味方の旗艦を主砲で攻撃して誘爆させたんだ。旗艦には作戦遂行の為の上官が数名と乗務員が百名ほどいたらしい…。目標を落としてなかったら死刑になってただろうな」
「………」
壮大なやらかしの話に新兵から返事が返ることはなかった。
「暫くして、流石にまずいと思い直して記録の抹消のために自艦を自爆して、緊急脱出したんだが、周りの味方の艦隊にしっかりと記録されちまっていて」
「………」
さらなる追い打ちに新兵は、よく流刑地送りで済んだなあと思ってしまった。
「そんなことはともかく、奴とはそこの強制労働の時に会ったのさ」
そんなことじゃないだろうと思いながらも、新兵は気を取り直し言葉を続ける。
「では、軍曹殿も強制労働で?」
「いや、奴はまだ軍人じゃなかったな、幼体の姿で普通に仕事として労働してると言ってたな。人にとっては刑罰でも虫人の奴らなら普通の労働らしいからな」
改めて新兵はそんな虫人をウスノロよばわりしてる曹長に、思うことがまた増えるのを感じたのだった。
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