ウスノロな稲妻

いちごはニガテ

序章

第1話 新兵の疑問

「曹長殿、訓練以外の質問をよろしいでありますか?」

 帝国軍傭兵部隊の軍事訓練の休憩の合間、一人の新兵が上官のひとりである黒髪の男に声をかけた。


「…オレの事なら応えられる事は限られちまうがな、一応聞いてやるぜ」

 気乗りがしない顔で男が応える。


D殿もありますが…それではなくライトニング軍曹殿についてであります」


の事か?」


「そう、あります。何故曹長殿は、虫人ちゅうじんの中でもひときわ素早いライトニング軍曹殿を、されてるのでありますか?」


「…はぁ、そんな事か、今はともかく奴は昔、だったからだ。ウスノロはウスノロとゆう事だな」

 ため息をついた男は面倒げに答えを返し始めたが、終いにはにやりと口角をあげていた。


「仮に曹長殿が変態前の幼体の頃から軍曹殿とお知り合いであったとしても、ハイスペックな虫人を人族の曹長が…」

 答えにならない男の応えに戸惑いながらも、新兵は湧き上がる疑問を口にしてしまう。


「オレは人族なんかじゃねえよ…ファング・D・ドラゴン

 名前のとおりだからな」

 男の思いがけない言葉に新兵は、暫く固まってしまったのであった。



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