第14-3話 市民のにゃー! 比内とりの市の謎を追え!【解決編】
そもそも日本三大美味鶏の
その起源は探偵の助手として探りたい。
父鶏が天然記念物の
母鶏がアメリカ産のロードアイランドレッドだ。
そのため、鍋に入れると脂が程よく溶けて、汁に旨味と香りを広げる。
隣に座るレナは
うめーがこだまする温かい世界。
スパーク
酒瓶の籠を逆さにして、その上に板を置いた簡易の机椅子が、丸ストーブを囲って配置されている。
私たちはそこの一角に座って、汁ものを食べていたわけだ。
そうそう。
汁ものの他にもから揚げや漬物、お菓子など出店のバリエーションが豊かなのだ。
私のような食いしん坊は目移りしてしまう。次はどの店にしようか、と。
ここは食の楽園だ。私の頬が緩む。正直な感想を言う。
「うますぎて、ここに住みたい」
「雪よりも食い意地が勝ってしまっているようだ」
「んなこと言って、レナも何杯食ってらんだ!」
「
ズルズルと麺を啜るレナも満更でなさそうだ。
哲学的なのに、全く説得力ない。
そこに産地直送の雪だるま、もといシアがやって来た。シアは雪を払い、私たちの隣に座る。
スッと差し出されたのは、あの行列に並んで手に入れた
「興味深い調査に、焼き鳥も入れてほしいなー。香ばしくて美味しいよー」
「せば、食う!」
「いただこう」
私とレナは、それぞれ1本ずつの焼き鳥をシアから貰った。
パリッと焼けた表面から、噛めば広がる地鶏の旨味。これは癖になる食感。
1本じゃ足りない~ッ! 5本は食べたい~ッ!
弾力と程よく脂が切れた旨味は絶品。たぶん大人が好きな味だ。
私の笑顔を見て、探偵エルフのレナはもらい笑いをこぼす。
「にゃーって怒るソナタくんも好きだけど、美味しそうに食べるソナタくんはもっと好きだ」
「あら~。
レナが決め台詞を放つ。一方で、シアがいつも通りふざけたコメントを追加した。
寒暖差のギャップで、私の判断力が鈍っていた。
探偵エルフさんの気障な台詞に照れるどころか、珍しく悪ふざけに私も乗っていた。
「猫にゃーはいねぐなったー。
「幸せなら良いと思いますー」
私がズッコケ発言をしたので、レナはすぐにコメントを考える顔になる。
ただ、歴戦の天然垂らしのシアは瞬時、的確なコメントをして右手の親指を立てる。
演技派のエルフさんと違う良さをシアは持っているようだ。
惚けた級友は、テレビのコメント向きなのかもしれない。心も身体も温かい空間に、私たちは幸せを感じていた。
不機嫌な猫がいて、
今年も冬の寒さがいよいよ極みだ。
寒さのあまり動きたくなくなり、布団で猫のように丸くなりたくなる。
そんな冬の日には、心の中に
もちろん、猫と鶏は現実的な組み合わせではないかもしれない。
でも想像の域であれば、機敏な
心が楽しくなれば温かい気持ちになり、他人へ気遣う余裕が出来る。
冬のイベントである比内とりの市は、私たちの心を楽しませて温かくする。
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