第14-2話 市民のにゃー! 比内とりの市の謎を追え!【推理編】
ただ今日の
底からの寒さと白の雪景色が洗礼となって、私たちを迎えてくれた。
中ボス的だ。
そんな
もうちょっと落ち着けば、長身美人なのだけど、吹っ切れた煩さがシアの持ち味だ。
「おっはよー! 今日も冬らしく良い天気だねー!」
「
「いやぁ、レナっこちゃん、実際は私でも寒いよー。でも、今日と明日は、
「おおー、説得力あるー!」
元気に言うシアが会場ゲートを指さした。
こんな荒れ模様の天気だけど、
まず屋台やキッチンカーが見えた。
もっと奥が
見る、遊ぶ、買う、食べる。
4拍子がそろった冬の大イベント、
毎日の雪かきで疲れた身体、そして冬のせいで溜まっている食欲、全て発散のチャンス、私にとっても大大大イベントである。
回転率が早いと、ご飯を食べるまでの時間も早い。
寒さに凍えた身体の奥底から満たされる温かい1杯。そして、がっつり食べられる。
はー、んめぇもんだ。
湯気ごと食してお腹の中へ、代わりに出た白い息が幸せ色に染まる。
テントの横で、私たち3人も固まって食べていた。
レナは無言でもぐもぐ食べている。朝ごはん1人だけ食べていないので、ブランチ状態だ。
食べるのもそこそこに、シアに話しかけた。私の気がかりを話しておいたのだ。
旧友の毒舌っ娘ミヒロがいない問題だ。だいたい想像はつくけど。
「今日、ミヒロはいねんだな」
「大寒に負けたミーちゃんは、風邪で寝込んでいます。布団の中で丸くなる猫です」
どうやら、ミヒロ猫は風邪でダウンしているようだ。
誕生日が近いのに、ミヒロは元気ないモードで良いんだろうか。
そもそも今日、主役予定のあいつが欠席だ。
自分から誘っておいて体調管理が出来ず欠席とは、旧友よ、本当に残念な娘だ。
それで、私も失望のにゃーが口から出た。
「にゃー。あれだば、身体弱くてダメだなー」
「うんうん。ところでレナっこちゃんは、何で目がキラキラしているのかなー?」
私と話しつつ、シアが司会者並みの観察眼で、レナの様子をうかがっていた。
言われると確かに、「猫……にゃー……」と、うわ言を放っている。
方言に関しては、レナに私から意味を教えることはない。
むしろレナが聞いてくるのを私が待つスタイルだ。
ただ、彼女の理解力はたまに天然ポンコツ娘なので、探偵の可愛い推理に私もいちいちツッコミすることもない。
そのボケに慣れてしまったのは、私の家で同居しているからだ。
優しい司会者、シアはちゃんと振っている。誰でも対等に話すのは、煩わしさもあるけど、良い才能なのかもしれない。
「にゃー、は方言だよー。にゃー、にゃー、言う人は怒りん坊だから、しじがるのも程々にねー」
「しじがる?」
「それも方言だよー。お節介、ちょっかいを出す、なんて言うかなー」
「おー。ガチおこぷんぷん娘。それは気を付けるよ」
シアとレナの話を聞いていて、怒りん坊は私のことだと気付いた。
でも、腹が減ると怒りやすくなるので仕方ないのだ。空腹は私にとって耐え難い。
と言う訳で、
よくよく見ると、値段が結構する。高校生の小遣いでは、予定していた出費の計算が合わない。
ぐぬぬ。向かいの
焼き鳥が出来上がる、焼けるまで時間がかかるのは何となく察した。
時折、吹雪が立ちっぱなしの身体にぶつかる。
この寒い中で待つのは、空腹が拍車する。
ぐぬぬ。超寒い上に、腹減った。にゃー、すら出ない。
そんな私の顔を見てから、レナはシアと目配せした。
たまにある2人の阿吽の呼吸だ。レナは私の手を引いて、行列を離れようとした。察したシアが残る。
「屋内へ行こう」
「ここは
私はシアの心意気に甘えて、屋内のスパーク
何だか、向こうも食の気配がする。人の波に乗って、私たちは入場した。
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