047:ピンク色パンティーの白鳥
ピンク色のパンツ一丁姿で腰にワイシャツを巻いているソラは変身をした。
背中から真っ白で大きな翼が生え、唇は鳥のクチバシのように鋭く尖った。黄色く変化したクチバシの先端は、ソラが塗っていた口紅の色が残っている。
そして細く白い足はさらに細くなり爪が鋭くなる。クチバシと同じく爪の先にはマニキュアの赤い色が残っている。
ソラは鳥人間に変身したのだった。鳥の種類は白鳥だろう。
セーラー服を着たままだと体の変化についていけずセーラー服は、はち切れていただろう。だからパンツ一丁姿になってから鳥人間に変身したのだった。
モグラ人間に変身できるダイチの場合は、肥大化箇所は腕のみなのでTシャツを着ているダイチは脱ぐ必要がないのだ。
「それじゃあ必ず連れてくるから!」
ソラは上空へと飛び上がった。その速さはダイチが全速力で地面を潜っていた速さを遥かに上回る。マッハの速度とも言えるだろう。
「ねぇぇえねぇぇえ」
泣きながら見送る妹のウミの顔を一目見てからソラは燃えるジャングルの方へ飛んでいった。
飛んでいくソラを見届けた案内兎のゴロウは口を開く。
「ミッションコンプリートの報酬と次のマスへ進むダイスを振るのは、全員が揃ってからということじゃな」
白い髭を触りながら言ったのだった。
「あぁ。それで問題ない。大丈夫だ」
ダイチはソラが飛んでいった燃えるジャングルの方角を見ながら答えた。
ダイチ、ソラ、ウミの三兄妹は『第1層』でスキルを獲得していたのだ。
『第1層』ではスキルや武器などを獲得することができるプレイヤーに有利なエリアとなっている。
キンタロウたちボドゲ部が止まった『第1層2マス』ではサイコロの出た目によって様々なスキルが獲得できる。身体能力向上のスキルを獲得したイチゴ。探偵スキルを獲得したモリゾウ。数字の最大値を引き当てるスキルを獲得したノリ。そして未だ不明のスキルを獲得したキンタロウ。
ダイチたち三兄妹が止まったマスでは、ボドゲ部のように様々なスキルを獲得できる場所ではなかった。そこでは『生き物に変身しその能力を得る』スキルが獲得できるマスだったのだ。
サイコロの出た目によって生き物の種類が決まる。種類が決まったらそこからランダムに生き物が選ばれるというルールだった。
1の目が出た場合は鳥類、2は爬虫類、3は魚類、4は哺乳類、5は両生類、6はその他の生物となっている。
ダイチはモグラに変身できるスキルを獲得。ソラは白鳥に変身できるスキルを獲得。ウミはイルカに返信できるスキルを獲得していたのだった。
三兄妹は運命の悪戯か、名前にちなんだ生き物のスキルを得たのだった。
大空を自由に舞うソラは白鳥人間そのものだ。
白鳥の姿でも腰に巻いていた白いワイシャツを良い感じに着こなしている。そしてワイシャツからチラ見しているピンク色のパンツは違和感なく白鳥のもふもふしたお尻を包み込んでいる。
「ぜってー燃えてるところの近くにいるだろ。こりゃもう森林災害だわ……」
ソラの目の前はジャングルが燃えている光景が広がっている。燃えている木は隣の木に炎を移しながらおめている範囲を拡大させていっている。
ウサギの顔をした地形の耳と目の部分は炎の海になっておりすでに生き物が入れる領域では無くなっている。
「ウミの約束と兄貴を助けてもらったお礼をしないとな」
大空で独り言をこぼしたソラは火の海とかしたジャングルへとさらに近付いて行った。真っ直ぐに真っ直ぐに、少年の騒ぎ声が聞こえる方へ。
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