第13話
「どうかしたのかい?」
「んー、少しね」
僕のちょっとした変化に気付いたのか、先輩が少し心配そうに声をかけてくるが。
どういったことなのか自分も把握できていないため、曖昧な返事をして流し、情報を集めるためパソコンを立ち上げる。
「ちょっと先輩放っておくんで、好きにしててください」
「私に手伝えることがあれば言ってくれ」
「今のところは特に……あ」
スマホで青色アイコンのSNSをひらき、トレンドや話題になったやつを眺めるようとして作った垢を選ぶ。
万を超える回数共有された呟きがあり、そこに貼られている写真は僕と先輩の後ろ姿であった。
「先輩、知り合いから連絡とかきてないですか?」
「うん? 普段から連絡来ることはあまりないが……たくさんきているな」
「それじゃ、そこから色々情報集めといてください。僕と先輩の写真が出回ってるぽいので」
「ああ、分かった」
スマホでひらいていたものをパソコンに切り替え、空いたスマホでとある人にメールを送っておく。
パソコンに向き直り、取り敢えずこの呟きをスクショし、アカウントへ飛んで見ればそこそこ有名なのか。
フォロー三桁に対してフォロワーが五桁に近い。
最近の呟きを遡ってみれば、先に声をかけた女の子を横から取られただの、罵倒を浴びせられただの、ありもしないことが延々と書かれており。
それらも万を超える回数共有されていた。
残さずスクショ取って保存し、さらに引用された呟きからいいなと思ったものをスクショしていく。
写真を保存して新たに呟いているのも見つけ、いい事書いてあったら保存。
「なんだか君、楽しそうに見えるけど」
「楽しい、と言えば楽しいですね。いいお小遣い稼ぎなので」
「……お小遣い稼ぎ? よく分からないが、ある程度情報を集めたけれど、どうする?」
「んー、もうちょい待っててください。いいの見つかったんで」
同じ高校の人だろう。
捨て垢を作ることなく本垢で僕の通っている学校をバラしている。
そこそこ話題になっているから有名になれると思ったのか、誰だか知らないけど僕のことが嫌いなのか。
理由は分からないが、検索かければ他にも何人か引っかかったので漏れなくスクショして保存。
あ、マスターに連絡しておかないと。
「すみません、ちょっと電話します」
先輩に声をかけ、マスターに電話をかける。
たまたま客の対応をしていなかったのか、三コールもないうちに出てくれた。
『はい、もしもし』
「あ、桜です。マスター、いま時間大丈夫ですか?」
『桜くん? 大丈夫だけれど、どうかしたのかい?』
「面倒ごとに巻き込まれまして、今月と……念を入れて来月も、バイトを休ませてもらいたくて」
『それは構わないけれど、何か手を貸すことはあるかい?』
「いえ、まだ特には。もしかしたら面倒なのが来るかもしれませんが、僕のことは知らないふりして貰えれば。あと、何か被害出たら連絡ください」
『前と同じ感じだね。今度会った時、話してくれるのを楽しみに待っているよ』
似たような事が前にもあり、簡単な説明ですぐに理解をしてくれてとても助かる。
それから二、三言葉を交わして電話を切り、次の人へ電話をかけようとして先輩を放ったらかしにしているのを思い出した。
「じゃ、先輩。今起こってることの擦り合わせしましょう」
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