夢を見た。

 僕は、暗闇の中を、まるで海の藻屑のように漂ってた。

 夢だというのに、痛覚だけはハッキリとしていて、鼻先が鈍く痛む。

「…………」

 ああくそ、あの餓鬼、思いっきり人のこと殴りやがって…。

 そう思い、歯を食いしばった瞬間、僕の目の前に人影が浮かんだ。

 まるでライトに照らされたみたいに、人影はハッキリと輪郭を結ぶ。

 それは、僕の祖母だった。

『何やっているんだい』

 祖母は僕を睨みつけると、しわしわの口で、僕を𠮟責した。

『だから言ったんだ。関わるなって。とんだ馬鹿孫だよ』

 そうだよな…。

 僕は苦笑すると、また、気を失った。

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