第17話 告白

透が話し始めた。

「お前に条件を出す、YESなら首を縦に振れ、NOなら首を横に振れ、分かったか?」

私は首を動かせる範囲で首を縦に振った。


「お前は俺といる時は、俺が望む格好をする事」

意味がよく分からない、私はこれから透に奴隷のように扱われるのだろうか。

「そして、俺…… 」

声が聞こえなくなり、私の上にゆっくりと覆い被さってきた透。


“え、何かあったの?“

私は動揺した。

「うぅう、うぅう(とおる、とおる)」

言葉にならない声で透に話しかける。


透は私の耳元で囁いた。

「俺は阿蘇ミクの事が好きです、俺と付き合って貰えませんか?出来ればさっきの条件を飲んでくれたら嬉しいかなぁ」

透は私の口枷を外し、抱きついてきた。

「え、なんで、透、いつから、私だと分かっていたの?」

早口で透を捲し立てる。


「いやぁ、実は衣装に鍵をかけた後、お前寝ちゃっただろ、その時寝言で俺の名前言ったり、ペンギン担当の主任に謝ったりしてるからすぐに分かっちゃって」


私は沸々と怒りが沸いてくるのを上回り安心からか涙が出てきた。

そのまま、声を出して大泣きした。

さすがにそれに焦った透はすぐに私を真空パックから解放し、私を抱きしめてくれた。


私は汗だくで泣いたので、もうラバーマスクの中の顔はグチャグチャになっていた。

ラバーを脱ぐように透に勧められたが、こんな顔を見られたくないので断った。


泣いている私に何度も謝る透に、二つのお願いをした。

一つはシャワーを貸してもらう事

もう一つは職場の男子更衣室の空きロッカーに私の私服があるから取ってきてもらう事


透はラバースーツから私服に着替え、私を浴室に案内した後、すぐに部屋を飛び出していった。


シャワーを浴びながら考える。

透はなぜ知らないフリを通したのだろう?

でも、何となくだが今は透は自分のフェチを私が理解してくれるか、試したのではないか、そんな気がしてきた。

自分のフェチを理解してくれる相手が、彼女や奥さんなら最高だから。


でも、アイドルを拉致誘拐する事は、いくら大好きでもしちゃいけないから、それはちゃんと注意しようと思った。

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