第9話 いとかわあいな
私が目覚めると目の前に知らない女の子がいた。
知らない部屋で、知らない女の子と2人きり。
おまけにその女の子は奇妙な服を着ていた。
真っ赤な赤いゴムのような服、胸がギリギリ隠れるくらいの位置をキープしている。
「愛菜ちゃん、起きた?悪いんだけど手伝ってくれないかなぁ?」
慌てた様子の彼女。
私はワニの着ぐるみを脱がされ、ウエットスーツも脱がされて水着姿になっていた。
知らない女の子の切迫詰まった感じから、彼女に協力する事にした。
「今から私がこのマスクを被ると見えなくなるから、綺麗に着せて欲しいの」
私はウンウンと頷いて見せた。
「そして、このワニの着ぐるみに入るのを手伝って欲しいの」
私はまたウンウンと頷いた。
「その後は、そこにあるラップでワニの口を縛って私を出られないようにしてから、ワニの尻尾をお腹側に持っていき尻尾を折り畳む形でラップを巻いてくれない」
それを聞いて、この女の子は大丈夫なのか?
何か変なプレイを私に協力させようとしているのかと思った。
「大丈夫なの、そんな事しても」
女の子は「愛菜ちゃんも………」といいかけてやめた。
「大丈夫だと思う多分」
そして続ける。
「ワニがラップで丸まったらそこにあるドラムバッグに詰めてファスナーを閉めてそこの壁とロッカーの間に置いてくれたらいいわ」
私はこの女の子が、おかしな子だと確信した。
「そこで聞いてみたバッグにあなたを詰めた後、私は何をしたらいいの?」
女の子はすぐに返した。
「愛菜ちゃんはウエットスーツを持ってこの部屋を出て、控え室へ戻って」
私はどっきりの撮影中だったはずが、気づけばこの部屋にいた。
「ところでここはどこですか?どうやって控え室に戻れば?」
私の問いに答える女の子。
「部屋を出て右へ行くと突き当たりがあり、左に行くと撮影していた場所、右にしばらく行くと控え室、さらに奥へ行くとトイレがあるわ」と答えた。
彼女はどうやら、ここの関係者のようだ。
しかし、何か慌てた様子で、トップスとマスクが一体となったものを被る。
女の子はマスクを被った後、私の胸に引けを取らない巨乳を丸出しにしてトップスを着た。
一度下げていたスーツはゴムで出来ているようで、首元が大きく開き彼女の体を飲み込んだ。
私の前に肌の露出の全くない真っ赤なゴム人間が現れた。
ゴム人間は手探りで、机の上にあったスプレーを探しているようだったので、私が取って彼女に振りかけた。
くすんだ光沢がテカテカと光りだし、魅力的なゴム人間に変わった事に私は妙にドキドキした。
ゴム人間となった女の子は座り込み、ワニの着ぐるみを手の感覚だけで探る。
うっとり見ていた私は慌てて、女の子がワニの着ぐるみを着るのを手伝った。
ワニの脚全てに女の子の手足を通してから、口をラップで開かなくし、ワニの尻尾を股の間から前に回し、体と尻尾を一つにするようにラップを巻いた。
ただ、あんまりキツく巻かないようにしてから、ドラムバッグへと詰め込んだ。
こんな事していいのだろうか?
見知らぬ女の子の望んだ事とはいえ。
複雑な気持ちのまま、それでも私は女の子に言われた通り、ドラムバッグを壁とロッカーの間に押し込むと部屋を出た。
部屋の扉の上には、“男子更衣室“とあった。
私は急いで女の子に教えてもらった順路通りに控え室へとむかった。
確かにここは朝みんなでやって来た控え室。
扉を入ってすぐ右に明日菜を除く6人分の真っ赤なウエットスーツがシングルハンガーに準備されていた。
そこへ自分のウエットスーツをかけた。
少し前から感じていた事だが、妙な事に巻き込まれて尿意のことを忘れていた。
控え室に戻って安心したせいか、急にトイレに行きたくなる。
確かトイレはさらに奥へ行ったところ。
控え室を出ると慌ててトイレの個室へ駆け込んだ。
温かい温水便座に座るとホッとした。
リラックスして、ここへ来てからの事を思い返す。
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