第7話 独り占め計画 自宅

ようやく家に到着。

ボロいマンション部屋は広いがオートロックも監視カメラもついていない。

自分にやましい事がある時は好都合だと思った。


家に入るとしっかりと施錠し、ドラムバッグをリビングに丁寧に下ろした。

いよいよ、俺だけの愛菜とご対面だ。

ドキドキしながら、ドラムバッグのファスナーを開ける。

湿った熱気が吹き出す。

汗臭さがないのは、ラバースーツを着せたからだろう。


丁寧にドラムバッグから、ラップで巻かれたワニの着ぐるみを取り出す。

「ん!?」

俺が巻いた時よりもなんとなくラップが緩く巻かれている気がした。

「バッグの中で擦れて緩んだのか?」

少々疑問に思いながらワニの体と尻尾を巻いていたラップを外すと、尻尾が勢いよく元の形に戻った。

「ん!?」

ワニの着ぐるみの前後の脚に愛菜の手足が収まっている。

急いで着ぐるみに戻したので、手足を着ぐるみに戻す余裕はなかったはず。

ただ、着ぐるみの中の構造まで、俺は知らない。

だから、中に入ると自然に手足が入るのかもしれないと思った。

ワニの着ぐるみは手足をバタバタさせることはない。

まだ、睡眠効果の薬が効いているのだろうか。


ワニの口に巻いたラップに手をかけて考えた。

寝ているフリをして口が開いた途端に助けを呼ぶために叫ぶかもしれない。

俺はテレビをつけて、騒がれていいように音量を上げて対策した。


ワニの口に巻いたラップを外す。

ワニの口から中を覗くと、そこには血のように赤いテカリのあるものしか見えない。

まるで本物のワニの口の中のようにも思える。

しかし、湿った熱気、若干の汗の臭さが人である事を主張していた。


俺はワニの着ぐるみの口に腕を突っ込んで引っ張り出す事を試みた。

しかし、前脚と後脚に入れた手足を踏ん張って抵抗する。

「やっぱり目覚めてたか?」

強引に引っ張りだそうとするが、愛菜も必死に抵抗して出てこない。

それはそうだろ、目の見えない状態で着ぐるみに入れられて拉致されたのだから。

普通に考えて怖くて出てこれないだろう。

着ぐるみの中に留まろうと必死の抵抗を見せるのは当然の事だと思った。


ただ、呼吸はできるが視覚を奪っているので、着ぐるみを着ていて動けても見えないので逃げる事はできないだろう。

こうなれば長期戦、飲み物が欲しくて出てくるのを待つしかない。

その間、テレビを見て出てくるのをゆっくりと待つ。


始めは逃走を図ろうと見えない中で、必死にワニは短い脚で歩き回っていた。

壁にぶつかり、ソファーにぶつかり、扉にぶつかり、その度に方向転換し。

しかし1時間もしない内に諦めたのか、ワニの口から少し赤いラバーの手が出てきた。

俺はその様子をソファーから見下ろしていた。

赤いラバーの手はそれ以上出てくる事なく、助けてくれと言わんばかりにパタパタさせ始めたので、助け出す事にした。


ワニの着ぐるみから出てきた赤いラバー人形は目の前で女の子座りをして、苦しそうに呼吸するが言葉は発しない。

ローションだらけにして、ワニの着ぐるみに詰め込んだだけあって、全身全く皺がなく、妖しく光る洗練されたボディラインは見ているだけで、ズボンを突き破りそうに勃起している。

中身があの愛菜だと、想像するだけでもう堪らない。

もう一度、ワニの中へ戻して虐めてやろうかとも考えたが、愛菜に着て欲しい、是非着せたい衣装を準備していたので、それを着せる事にした。


用意した衣装それは、ENAMEL STYLE 7菜がデビュー当時着ていた衣装。

愛菜はテカテカしたエナメル素材の超ミニの赤いワンピースで首まで完全に覆うハイネックのもの。

足元は太ももの付け根まであるエナメル素材の赤いサイハイブーツ。

二の腕まであるエナメル素材の赤いロンググローブ。

さらにエナメル素材の赤いジャケット。

それらをネットオークションで落札していた。

それを仲のいい女の子に着てもらえないか、交渉しようと思っていたが未だ言い出せずにいた。


それがまさか、本人に着せられるとは夢にも思わなかった。

抵抗しないでそれらを身に纏う愛菜。

少し補助してやるだけで、見えないながらも自分で着ていけるのは、かつてきた事があるからだろうか。


全部の衣装を身に着けた愛菜は、両手を広げて“どう!“といったポーズをとる。

俺はそんなラバーとエナメルで出来たアイドルに抱きついた。

そして最後の仕上げをする。

ハイネックのワンピースのファスナーにはある仕掛けをしておいた。

ロックをかけて脱げなくしてしまう事。

異常に気づいた愛菜は首の後ろに手を回し、ファスナーを下そうとするが当然動かない。

俺はそのまま、座り込み今度はサイハイブーツのファスナーをロックした。

これでブーツも脱げなくなった。

ブーツにもロックをかけられた事に気づいた愛菜はブーツのファスナーを下ろそうとするが、こちらもロックされて動かない。

ロンググローブもロックして脱げなくしてやろうかと思ったが、さすがにそれは抵抗されて出来なかった。


「さあ、この鍵をどうしようかなぁ?」

愛菜に聞こえるように言ってみた。

声のする方に俺がいると分かったのだろう。

俺の方を向いて両手を差し出し頭を下げる。

声は出さないが、『鍵を下さい』という事は伝わった。

何度もお願いするように頭を下げる愛菜。

「じゃあ、鍵をあげよう」

愛菜は頭をウンウンして頷く。

顔の表情は分からないが動作で喜んでいる事は何となく分かった。


俺は金属製の箱に鍵を入れるとタイマーをセットして、愛菜に箱を渡した。

渡された金属の箱を手で触って頭を傾げる愛菜。

俺はすぐに箱の正体を教えてやる事にした。

「その箱はタイマー式になっていて、時間にならないと開かないし、中に入れた鍵も取り出せない仕組みになっているんだ」

俺は少しお茶目な感じで言ってみた。


それを聞いた愛菜はがっくりと肩を落とした。

「セットした時間知りたい?」

俺の問いにウンウンと頷く愛菜。

「12時間!」

それを聞いた愛菜は床に倒れ込んだ。


「ウソウソ、3時間、これはホント」

愛菜が体を起こし頭を斜め後ろに傾けた。

彼女なりに何か考えているようだ。

俺の中ではムラムラが止まらなくなって、愛菜に覆い被さる。

そしてワンピースの超ミニスカートを捲る。


俺が特注したラバースーツには秘密がある。

それは股の部分にコンドームのような袋がついていて、これを内側つまり女性側へ押し込む事で、ラバースーツを着たまま性行為が行える。

俺は体に入っていないコンドームのような袋をゆっくりと指で愛菜の体の中へと押し込む。

「うっ…うぅぅぅぅぅぅ!」

愛菜が手を握りしめて体が強張る様子が、エナメル素材の衣装がギチギチと音を立てる事で、よりはっきりと分かった。

それでも突然の侵入物に声を抑えて堪えている様子の愛菜。


俺がゆっくりと指を抜くと。

「ふっ……ふっ…ふうぅ」

我慢するような声が漏れる。


そして、俺の方はもう我慢の限界だ。

ズボンを下ろすと、自分でも初めて見るほど、大きく勃起したブツへ潤滑剤を塗り、そのまま愛菜の中へと挿入した。


「あっふ……あっ…あっっ…あっ…」と声を上げるのを必死に堪えている様子。

だが、俺はお構いなしにピストン運動を続ける。

やっぱり、愛菜は最高だ。

俺をこんなにも気持ちよくさせてくれる。

こんな子と巡り会うのを待っていた。

俺のピストン運動はさらに加速する。

愛菜の手が俺の腕を見つけ、グッと握った。

「あぁぁダメ…逝っちゃう…逝っちゃう…逝くぅぅぅ!」

今日2人きりになって初めて聞いた愛菜の声が、絶頂に達する喘ぎ声だった。


俺は勃起したブツを抜く事なく、愛菜にラバーマスクの上からキスをした。

無理矢理連れてきて、着替えさせられ、誰とも分からない奴に強姦されたのだから、泣いてもおかしくない、もちろん俺のキスは間違いなく嫌がると思っていた。

しかし、愛菜は俺の体を抱きしめてキスをせがんできた。

それを拒む理由は俺にはない。

ラバーマスク越しに何度も何度もキスをした。

これはこれでいいかも。

ラバーマスクの穴が埋まって呼吸出来なくなるのではないかというほど、どちらからともなくキスを続けた。


我慢を続け、最大に勃起していた俺のブツも冷静を取り戻し愛菜の中から抜く。

白い液が止めどなく出てくるのを、互いに拭き取ると少し落ち着いた。


ズボンを履きソファーに座ると、愛菜も手探りでソファーを見つけ、俺の隣に座る。

そして俺の腕に抱きついてきた。

可愛い!こんな彼女最高だ。

そんな事を思いながらテレビを見ていた。

愛菜は逃げる様子もなく、腕に抱きつきながら少しもたれる感じが強まった。

ラバーマスクの細かな穴から寝息が聞こえ始めた。

そっとしてやろう、今日は着ぐるみを着て疲れたのだろう。


テレビの音楽番組が始まり、ENAMEL STYLE 7菜が登場。

俺の愛菜がパーソナルカラーの赤いエナメル素材の衣装に身を包み、歌い踊っている。

普段、アイドルはいろいろなテレビの仕事をこなし大変だなぁと思い、隣で俺にもたれて眠る愛菜の頭を撫でてやった。


今夜は生中継でENAMEL STYLE 7菜が新曲をお届けしました。

「ん!?生中継?」

画面の中には確かに愛菜がいる。

曲が終わり、司会者がセンターの明日菜にインタビューする。

「初の新曲生披露どうでしたか?」

明日菜はまだ息を切らしながら

「新曲を生で歌うのは緊張しました」

司会者がさらに番宣の前振りをする。

「情報によると、明日菜さん今日、初めてのどっきりを仕掛けられたとか」

明日菜は頭を掻きながら。

「そうなんです、どっきりではいっぱい泣いちゃいました、放送は来週のこの時間なので皆さん絶対見てくださいね」

と締めくくった。


明日菜のコメントは合ってる。

確かにボロボロに泣いている明日菜を今日見たところだ。

番組欄を見ても生放送と銘打っているので、録画ではないだろう。

じゃあ、この愛菜は何者なんだ?

テレビに出てたのが偽物で、俺の横で寝てるのが本物。

もう分からなくなってきた。

でも、テレビに出ているのが、本物の愛菜のような気がする、根拠はないが。

確かめる方法は、ラバーマスクを取って顔を確認すれば全て解決する。

だが、ワンピースのファスナーにはロックをかけ、鍵はタイマー式の箱に封印した。


なんで3時間にセットしたんだろ、見えないから30分にしてウソを言えばよかったのに。

あと鍵を取り出せるまで2時間15分。

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