第11話 効果UP



 チュンチュン。


「おはようございます」


 最近は寝相が良くなって、寝やすくなった。


「起きて!

 歯磨きして朝ご飯作るよー!

 食べたらまた魔法陣描いて魔力を注入するよ」


 食後に新しく始めた畑回りの走行鍛錬をする。


 その後、上級魔法まで使用の魔法陣を描いて魔力を注入。

 やっぱり魔力がごっそり吸い取られる。

 今回は枯渇までは行かなかったがふらふらになった。


 弓の練習と主に魔法の威力、発動状況を確認する様に指示し、昼ご飯はいらない、晩ご飯には呼んでと伝えてベッドで回復就寝。


 コンコン。

「晩ご飯出来たよー」


 パクパク、モグモグ。


 生姜焼き晩ご飯中、

「昼ご飯は何食べたの?」


「生姜焼き」


「で、晩ご飯は?」


「生姜焼き」


「好きやな。

 明日は僕が作るよ」

 こいつに任せると毎日生姜焼きだ。


「魔法はどうだった?」


「全然違う。

 先ず威力が上がりました。

 ウィンドカッターが木の半分まで切り裂けたし、

 エアバレットも同じ木の3分の1は砕く事が出来ます。

 他のは相手が居ないと分かりません」


「威力は鍛錬すれば上がってくる。

 風属性自体、威力が高い魔法は上級にしか無い。

 相手に接近させず、体力を削る戦闘スタイルだし」


「はい、私の戦い方もそうです。

 接近戦は苦手なので、克服したいです」


「その為の毎朝の鍛錬よ。

 走って持久力を付けて、相手を近づけさせない。

 バテずに魔法でも弓でも命中率を維持し続ける」


「頑張ります!」


「寝る前にもう1つ魔法陣を描くから」


「遅くなるから明日にすれば?」


「今晩すれば明日は魔力ある状態で動ける

 先に風呂に入っ「ご一緒します」・・・あ、はい」


 いつもの入浴時間。


 寝る前の歯磨きして、ベッドで魔法陣を描く。


 魔力を吸い取られるが、後は寝るだけ。


 おやすみなさい。



 チュンチュン。


 少年はまだ寝ている。

 昨晩の魔力消費で未だ回復しきれてないのだろう。


 いつもの様に歯磨き、朝ご飯の用意して少年を起こす。


「おはよう、朝だよー」


 ベッドからモゾモゾと出てくる。

 歯磨きをさせてる間に朝ご飯をテーブルに並べる。


「「いただきます」」


 パクパク、モグモグ。


「美味しい、お姉さんの料理はいつも美味しいな」


「「ごちそうさまでした」」


 食後に歯磨きをして朝の鍛錬を始める・・・


「おはようございます。

 朝ご飯出来たよー」


 と言う声でシルヴィーは目を覚す。


 ご飯を作り食べる、お風呂と寝る時も一緒、日中もほぼ一緒に居る。

 年下の少年の妻気取りを夢の中でしていたのだ。


「おはよう」と起き上がり少年を見ると、顔が赤い自覚があり背ける。

 少年はと言うと、「???」である。


 朝の鍛錬で一緒に走る。

 まだまだだなと思い、内緒で少しだけ能力を解放した。

 これでまた3日程様子見だ。


 その後は模擬戦。


「矢が速くなってる?

 連射も早い」

 それでも最小限の動きで躱わす。

 爆発矢尻を使われる前に接近戦を仕掛けてみる。

 ストリームが来る、と同時に連射。

「やばっ、めっちゃ速い」

 思わず強化使っちゃった。

 それでも前に詰めて行く。

 ストリームと広範囲ウィンドカッター、これは躱わせない。

 前面にストリームで魔法を相殺する。

 そのまま間合いを詰めに行く。

 距離を取りながら放って来るのエアバレットは躱わす。

 更に詰めて行く。

 またストリームと広範囲ウィンドカッターが来るが予測済み。

 高速移動で射線から離れ右側に着く。

 刀を抜かせる前に首に木の棒を当てて終わり。


「また手も足も出ない」


「前回と違って、魔法を使わせたし進歩はしてるよ」


「どうやってたらもっと良かったですか?」


「自分に優位な距離、態勢を保つ事。

 同じだけど、弓や魔法を連発する時に立ち止まっていて距離を詰められるから、どんな時でも動きながら撃てる鍛錬。

 今回僕は魔法を使っちゃったけど、自分の攻撃で相手の動きを幾つも想定する事。

 例えば相手にウィンドカッターを放つと、

 物陰が有ればに隠れ、無ければ地面伏せて躱わすか、攻撃範囲外に逃げる。

 盾持ちなら盾の後ろに身を隠す。

 魔法で相殺か防御する。

 剣で打ち払う奴が居るかも知れない。

 威力が弱ければ少々の怪我覚悟で突っ込んで来る奴や魔物は居るだろう。

 逃げる以外は攻撃範囲内に居て、こちらを狙ってる。

 これらの動きを想定して次の攻撃を行なえば、自分は戦いやすくなり、相手は苦戦する。

 そして自分は常に優位な距離、態勢で戦う事。

 優位が取れれば戦いやすく、逃げやすくなる。

 逆に自分が不利な時は全力で逃げろ。

 最も重要な事は敵を作らない事、戦わず済ます事、生き残る事」


「未だ死にたく無いですからね」


「ストリームの後の連射も良かったよ。

 めっちゃ速くて避けるの必死やったもん。

 矢に風魔法を乗せて撃てる鍛錬も必要だね!」


「考えて撃った訳じゃないですが、攻撃手段が増えて良かったです」


「普通に撃たれた矢の中に速い矢が入ると、避けるの難しいよ」


「ものに出来る様に練習します」

 矢の回収に森の中に向かって行った。


 その後ろ姿を見て、

「これをなんとかしないと」

 探すのが時間の無駄。


 お願い、想造魔法!

 漢字を魔法文字に使用出来る様にする。

 矢筒には回収の魔法陣を描いて、矢の1本に帰還と漢字で書く。

 小屋の中から矢を適当に外へ放り投げ、矢筒の回収魔法陣に魔力を込める。


 ちゃんと戻るが矢尻が上。

 矢の文字を横書きから矢尻を下に縦書きに変える。

 また外に放り投げ、矢筒の回収魔法陣に魔力を込める。

 こんどは矢尻が下で矢筒に戻って来た。

 10本同じでちゃんと戻って来た。

 お姉さんの持ってる全ての矢に魔法漢字を書こう。


 窓から、

「お姉さ〜ん!」


「な〜に〜?」

 声だけが聞こえた。


「矢の回収は出来た?」


「後、3本見つからない」


「持ってる矢と矢筒を全部出して」


「何するの?」

 小屋に戻って来た。


「一々探すのが面倒くさいから、魔力で回収出来る様にした」


「えっ?そんな事出来るの?」


「マジックバッグにも、お姉さんのお腹の魔法陣に魔力を込めたら、手元に戻ってくる仕様にしてるでしょ。

 あれを矢と矢筒にするだけだよ」


「でも、矢筒には描けるけど、矢は細いから緻密な魔法陣は描けないんじゃないの?」


「ふふふふ・・・」


 今までは魔法文字や紋様や図形を、組み合わせて発動させてたけど、緻密に正確に描く為に平面上にある程度の大きさが必要になってしまう。


「確かにお姉さんのお腹の魔法陣よりも小さく描くのはもう無理。

 そこで魔法漢字なる文字を作ったのだよ。

 この漢字には一つ一つの文字に意味があって、組み合わせて発動させるんだ。

 矢に矢筒に戻る魔法漢字を書いて矢筒に魔力を込めると戻ってくる様になったんだ。

 やってみて!」


 さっきと同じく10本の矢を適当に放り投げる。

 お姉さんが矢筒に魔力を込めた。


「うわぁーっ!

 同じ向きで全部戻って来た」


「矢筒の方にもお姉さんに認証してあるから、お姉さんと僕以外が魔力を込めても何も起きない」


「で、後は矢筒が盗まれてもお姉さんの手元に戻って来る様に、お腹の魔法陣に追加で描くから、お腹出して!」


「はい、どうぞ!」

 前みたいな恥じらいなど最早無い!


 出してもらったお腹に追加で魔法陣を描く。

 お姉さんは再び森の中へ矢を探しに行った。

 俺は出してもらった矢筒と矢に魔法陣と魔法漢字を施していく。

 約300本の細い矢に書いていては手が疲れる。


 想造魔法のコピペさ〜ん!

 親指にコピーして矢の一本一本に貼り付ける。

 楽だ。

 ありがとう、コピペさん!


「お姉さ〜ん、昼ご飯作るよー」


「はーい!」

 走って戻って来た。


「何作るの?」


「炒飯と焼き餃子」


「言葉の響きからして美味しい予感!」


 森豚肉は小さく細くみじんに切って、森豚肉の干し肉は1cm角ぐらいの大きさで。


 キャベツとニラはみじん切りして用意。


 森豚肉のみじん切りに塩胡椒してよく捏ねる。

 粘って来たらキャベツとニラを入れて擦った生姜、ニンニクと醤油、砂糖、オイスターソースに胡麻油を入れてまた捏ねてタネが出来る。


 タネを餃子の皮内に収め、水をのり代わりにひだを作りながら包む。

 強火の油を引いたフライパンに並べて、焼き色がついたら

 水を入れ蓋して弱火5分蒸し焼き。

 蓋を開けてまた胡麻油を回し入れ、中火で好みの焼き加減にして出来上がり。

 タレは酢と醤油にラー油とみりんは好みで。


「1個食べてみ」


「美味しい!

 今までのと味が違うけど、美味しい!」


「だろ〜!

 ラー油でちょっとピリ辛、みりんでちょっとまろやか。

 お好みでどうぞ!」


 次は炒飯。

 強火の油を入れたフライパンで、森豚肉の干し肉みじん切りを入れ焼く。

 醤油、砂糖、料理酒、みりんを混ぜて絡めて水分が飛ぶまで炒める。

 別皿に取り出しておく。

 中火中華鍋に油、長ネギみじん切りを入れてしんなりして来たら溶き卵を焼く。

 ご飯を投入、パラパラにして干し肉と刻みネギを入れ炒める。

 よく混ざったら醤油、鶏ガラスープの素、塩胡椒で味を整え、鍋を振り炒めながら混ぜ合わせて出来上がり。


 隣りでは餃子の追加分を調理中。

 俺は一人前で十分だが、隣のエルフは最低二人前は必ず食うからな。


 テーブルに並べて、

「「いただきます」」




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