第6話 改良


 ここら辺は日本時間で言うと18時頃から暗くなり始める。

 そしたら屋外での作業は止める。

 屋内はキリのいい所でお終いにする。

 それから晩ご飯の支度をして、大体19時過ぎ頃には食べ始める。

 食事を取りながら、今日あった事や明日の作業について話し合う。

 お風呂は20時頃で、21時頃には寝るようにしてる。


 風呂も寝るのも当然の様に一緒にさせられる。


「「おやすみなさい」」




 チュンチュン。


「おはようございます」


 明るくなるのは6時頃。

 でも6時前には起きる。

 習慣って怖いね。

 7時頃から朝ご飯を食べて作業をする。


「今日の朝は昨日作った矢を試射して。

 出来の悪い矢は除いといて、後で直すから。

 狙って当てられる距離とかも測っといてね」


「はーい」


 弓矢を持って外に出て行くのを見送る。

 今日も昼ご飯までって事はないだろうな?



 ちゃんと戻って来た。

 疑ってごめんね、心の中で謝る。

 昼ご飯まで矢を作り、食べた後も矢を作る。


 飽きてきた・・・話ししながら作ってきたけど、今は会話なし。

 集中力が途切れるから、明日は違う事しよう。


 晩ご飯の時に、

「明日は違う作業するから、弓打ちまくってもいいよ」


「うん!違う作業って何するの?」


「予備の弓を作る。

 あと交換用の弦も。

 手伝って欲しい時は呼ぶから」


「もう1張り作ってくれるの、嬉しい!」


「じゃあ、そうゆう事で!

 明日は難しい作業だから、1人でゆっくり風呂に入って寝るよ」


「何言ってんの?

 昨日も1人、今日も1人にして、明日も疲れた〜って言って1人にするつもり?

 無理だから!一緒に入るわよ」


「ああああ〜」


 1人の少年の叫びが闇夜に響いた。



 チュンチュン。


 朝ご飯時、

「時間が掛かるから昼ご飯は遅くなる。

 昼ご飯まだ〜とか集中が途切れる様な事はしない様に!」


「はい!」


 作り方は前のと同じだが、形をちょっと変える

 上手くいけば、正確性、飛距離、威力が上がるはず。


 想造魔法の出番。


「前のより精巧だから難しいな。

 魔力がごっそり持っていかれる」


 基本的な作り方は同じだから、どうにか形は出来た。

 けっこう疲れた。

 日が真上を過ぎてる。

 昼ご飯作って呼ばなきゃ。


「おーい!遅くなったけど、昼ご飯出来たよー」


 小走りで戻って来た。


「「いただきます」」


 パクパク、ムシャムシャ。


「「ごちそうさまでした」」


「これ、持ってみて」


「形がちょっと違うけど、持った感じの違和感はない」


「グリップは前のを写した。バランスはどう?」


「素引きで確認した方がいい」


「わかった。弦を張ったらまた呼ぶよ」


 弦は弓の性能の比較をしたいから同じ物を作る。

 2度目は早く出来たから呼んで早速試射してもらう。


「形が変わってちょっと使い辛い」


「ここの部分を無くしても、今までと同じ打ち方になる?」


「打ち方は同じだけど狙い方が変わってくる。

 弓が1張りごとに狙い方が違ったら、やり辛い」


「今までと同じ弓が使いやすいって事ね」


「せっかくいろいろ考えて作ってくれたのに、ごめんね」


「考えて作るのは好きだから気にしないでいいよ。

 それに、使う人が使いやすいのが1番だから!」



 弦を外して亜空間で想造魔法を駆使して直す。

 新しく作ろうかと思ったが、材料がもったいないから止めた。

 時間と魔力を使って同じ弓が出来たけど外はもう暗い。


 お姉さんが帰って来てたのも気付かなかった。

 試射と予備の弦は明日する事になった。


 初めて晩ご飯を作ってくれていた。

 一口大の爪猿の肉に塩胡椒して焼いた物。

 こいつは独特の風味がするから普段は好んで食べず釣りの餌にする。


「美味しい」

 と、言っておいた。


「えへへ、良かった」

 間違ってはない様だ。


 食べた後はお風呂に一直線。


 出たらベッドに一直線。


 最近スキンシップがエスカレートして来ている。


 「「おやすみなさい」」




 チュンチュン。



「おはようございます」


 いつもの様に抱きつかれた状態で朝を迎える。


 朝ご飯は鳥系の肉か魚。

 食べながら今日の予定を伝える。


「今日は予備の弦を作るから、昨日作った予備の弓の試射をしてて。

 直して欲しい所は予備な弦を作ったあとにやるから教えて。

 あと試射のついでに鳥系の獲物を狩って来て。

 この頃狩りに行ってないから、肉が少なくなってきてる。

 でも必要以上は狩らなくていい。

 これも持って行って」


 腰のアースドラゴンの骨の刀を渡す。


「任された!」

 妙に返事がいい。


「危険を感じたら、逃げる事!

 昼ご飯には帰って来て」


 それぞれで作業を始める。


 2時間程で弦を作り終え、また矢作り。

 今日一日やれば目標の100本以上は出来るし、この作業ともお別れ。

 頑張るしかない!



 今後の事を考えて、早く作れないか試すが、篦のバランス統一と皮膜の均一化、太さ重さを同じにする作業が時間が掛かる。


 素材に矢竹を使うのがより難しくしてる。

 一本一本違うから1本ずつ同じになる様に調整しながら作る事になる。

 時間に魔力、集中力がいるから非常に疲れる。


 例えば、ディロンとかの魔獣の骨と骨髄で今までの篦と同じ寸法で作ったらどうなるか?

 矢竹より良くなるなら、他の魔物の骨でもいいし。


 先ず、素材を加工した分だけ一気に大量に作れる。

 同じ本数作るのに、時間と魔力がかなり節約出来る。

 問題は矢の性能。

 やってみる価値はある。


 沢山ある森豚の1頭分の骨を全部、想像魔法で粉々して、とりあえず10本の篦を作って矢尻と筈を組み立てておく。

 矢羽はお姉さんに任せる。


「お姉さーん!」


 ・・・・・・居ないや。

 帰って来たら作ってもらい試射しよう。

 それまでは今までの矢を作っとこう。


 昼頃、

「ただいまー」


「おかえり。成果あった?」


「ハンサが2体狩れたよ。

 血抜きに水路に浸けてる。

 弓の方は2張りとも同じ様に打てるよ!」


 嬉しそうに教えてくれる。

 良かった、一安心。


「はい、これ予備の弦。

 それと矢竹じゃなく森豚の骨から篦を作ってみたから、矢羽付けて試射してみて」


 昼ご飯は川海老のフライにタルタルソース。


 川海老と言ってもでかい。

 20cmは優に超えて30cmサイズの物もいる。

 甘く食べ応えがあり食感もいいから好物なのだ。


 近くの川で爪猿の肉を餌に釣りをすれば結構釣れる。

 取り過ぎに注意し、お礼に残った餌をばら撒いておけば、また来て釣れる。


 ついでに蟹もよく取れる。


 でも、食べまくられた。

 特にタルタルソースが。



 ちゃちゃっと矢羽を組み付けて試射をした。


「こっちの方がいい!

 軽くて飛びがもっとブレにくくて速い。

 矢竹よりも強度あるし、貫通力もある。

 使う分には悪い所が無い!」


「良かった。実はこっちの矢の方が作りやすく、数も沢山作れるんだ。

 矢竹で矢を作るのは時間の無駄だから止めて、骨矢の方を作るね」


「晩ご飯までに何本作るの?」


「200本ぐらいは作れるかなー」


「え〜!そんなに沢山!

 私はいったい何日矢羽作りしなくちゃいけないの?」


「なにも1日で作ろうとせず、普通に生活してちょっと時間がある時に、コツコツ作ったらいいじゃん」


「狩りに行ってる時に作ってくれない?」


「僕が作ったら飛びが変わるかもよ。

 打ち方が変わるかもしれないから自分でやった方がいいよ」


「やっぱり、飛びが関わるなら羽付けは自分でやるけど、羽作りはどうにかならない?

 同じにするの結構大変なんだ」


「なら1番出来の良い矢と羽を1つずつ頂戴。

 想造魔法で作るし、ちょっと試してみたい事があるから。

 上手くいけば、矢羽の組み付けも簡単に出来るようになると思うんだ。

 だから頑張って」


「ありがとう!」


 いちいち抱きつくな!


「これからは骨矢を作るとして、矢竹の矢はどうする?

 僕は10本ほどは手元に置いときたいから、残りは持って帰ったらいいよ」


「2つで約300本!

 当分、矢はいらないね」


「数があるからって無駄使いしないでよ」


「私も作るの手伝ったんだし、そんなもったいない事しないわよ」


「僕は骨矢と矢羽を作っとくから、鳥系の獲物をよろしくね。

 矢はどっち使ってもいいから。

 晩ご飯までには戻る様に」


「はい!」


「あ、ちょっと待って!これ」
















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