第5話 経費で!

「盛山さん、午後1時半でアポ取れました。」


無事にアポ取れて、片山さんと約束通り少し早いランチタイム。

首尾良く社用車が空いてたので、速攻で予約して、いつものレンタカーではなくソコソコの高級車。

ハッタリは、大事ですからね。


片山さんの運転で暁商事近くのパーキングに停めて、彼女お勧めのお洒落な雑居ビル二階の定食屋へ。

11時、開店と同時に入り、奥の人目につかない席を希望して通された。

レストランと言うほどではなさそうな佇まいで、和食中心のメニューで、洋食もあるお店でした。


「よくこんなお店、知ってるよな?」


「情報は、大事ですから。予算もですけど。」


「今日はビジネスランチだから、経費で落ちるぞ?」


「そうゆう大事なことは、先に言って下さいっ!怒りますよ?」


もしかして、自腹のつもりだったのか。

相変わらず、コイツのことはまだ良くわからないな。普段は猫被ってるしな。

経費で落ちなくても、これくらいは奢ってやるのに。


口調とは真逆のニコニコ顔で、メニューページをずっと睨んでた定食ページから単品のページへとめくり、そんなに食べられるのかよと思うくらいに注文入れててビビるんですけど?

最後に、全部ハーフサイズでと付け加えててホッとするけれども。それでも多いぞ?

僕は焼肉定食お肉倍盛りと単品で野菜サラダ大盛りを。


注文終わらせて、簡単に打ち合わせを。


「んで、片山君は、今日はどこまで付き合ってもらえるのかな?」


「ここの大盛り倍盛りはビックリするぐらい多いですよ、大丈夫ですか?勿論、朝までですが?」


「そっちじゃない、仕事の話だ。朝まで付き合ってもらうのは来週のはずだが?」


「いいじゃないですか、お互い減るもんじゃあるまいし。」


言ってるそばから、丼かと思う大きさのボウルに入ったサラダがテーブルにドンと置かれてビビっていたら、もう二回り大きい野菜山盛りの器が僕の前に。


「まさか、そっちが通常サイズ?」


「コレはハーフサイズサラダですよ。だから、情報は大事だと言いましたよね?」


更に、これでもかと肉を盛った熱々の鉄板が出てきてビビって、まだご飯が来てなかったので、


「ごめんなさい、甘く見てました。謝りますのでご飯は小盛りに変更をお願いします。」


ウエイターさんは、


「大丈夫ですよ、良くあることですから。」


と笑顔で答えて、戻ってきたときには普通のお茶碗に普通に盛られたごはんでした。

でも、これで小盛りか〜?


あ〜、普通って、いいな〜?

情報は、大事だな〜!

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