第15話 一方その頃

~~パーティー開始直後、アイビーの部屋前~~


静かな廊下、アイビー王女の部屋の前にいつもの護衛騎士2人。


「今そっちはうまいもん食ってるだろう。いいなぁ、俺も行きたいぜ。」

「まあ、仕方ないだろ、仕事だから。」

「残りはあると…」


『きゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!離して、マリアンヌ助けて!!』

『姫様ーーー!!貴様何者!!護衛ーーーー!!』


部屋の中から悲鳴が聞こえた。騎士たちはすぐ剣を抜きアイビーの部屋に入った。


部屋内の魔道具の光が消え、ベランダ付きの窓は大きく開かれ、護衛騎士たちは僅かな月の光と廊下から入ってきた光で見たのは…浮いてる姫?いや、見えないの姫様を小脇に抱えるように見えた。そしてその透明の誰かの前でナイフで対峙しているマリアンヌ。


「な!!何者だ!姫様を離せ!」

「マリアンヌ嬢は下がってください!」


マリアンヌは下がらなかった、そして騎士たちに状況を説明する。


か急に窓から侵入し、姫様を誘拐しようとしています!」

「わかった、危ないからマリアンヌ嬢は下がれ!他の人を連…」


その時、隣のベッドが見えない攻撃によって破壊され、何枚か大きな破片が護衛騎士たちに向かって飛んでくる。


護衛たちは瞬時に反応し、破片を切り落とされた。今度は姫様の化粧台が壊され、同じく数枚の大きな破片が護衛たちに飛んでくる。当然騎士たちにあっさり切り落とされた。その間、透明な人はゆっくり窓の方向に移動しているように見えた。


「マリアンヌ助けて!」

「姫を離しなさい!」

「ちょ、ま、待て!マリアンヌ嬢!」


マリアンヌは飛んてくる破片を構わずその透明な人に接近し、ナイフでその透明な人の姫を捕まえた腕に攻撃する。騎士から見ればあれは絶対刺さったのに、でも敵は何の反応もない、それに当たる感じがしない、まさか避けられた?!


「え?!何で!!…かぁ!」


自分の攻撃に全く手当たりが感じないマリアンヌも驚き、透明の人は動きが止まって左手でマリアンヌの首を掴まれたまま持ち上げられた。マリアンヌの足は床から離れ、完全に浮いてる。


「かぁ!かぁ!」

「「マリアンヌ嬢!!」」

「マリアンヌーーーいや!マリアンヌを助けて!手を離して!」「この!」


両手塞げた透明の人を見て、左の護衛騎士はすぐに透明の人に接近し、マリアンヌを掴む手を切る。


「はぁ!!…な!」


そこに腕があれば絶対切ったはずなのに、しかしマリアンヌは掴まれたまま。手当たりのなさはまるで空振り、!その直後その護衛騎士は上からものすごい重圧を感じ、立ってるのも精一杯、最後は重さに耐えなく跪き、全く動けなかった。


「貴様…何を…した…!」


右の護衛騎士も左護衛が攻撃した時、同時に姫様を取り戻すように透明の人に接近したが、途中同様に重圧をかけられ、今も同じく跪き、全く動けなかった。頭は重く、敵を見るだけでも精一杯。

透明の人はそのまま姫様とマリアンヌを持ったままベランダに行き…ここで首を掴まれたマリアンヌが急に苦しいかのようになった。


「う!かぁ!ひ...め…さ……ま…ぁぁ……」


そして最後、ずっと抵抗しているマリアンヌは脱力したのように両手両足も下ろした。


「マリアンヌ!!いやーー!死なないで!いやーー!!」


護衛騎士たちの前でマリアンヌが殺され、護衛たちは精一杯の力でその重圧に逆らって立ち上がれた。


「姫様を…離せ!!」

「マリアンヌ…嬢も…離せ!」


ですが、透明の人に無視され、その人はベランダからゆっくり浮き上がって、背を向けた。姫様と屍になったマリアンヌをそのまま上空に向けてものすごいスピードで飛び去った。


透明の人がベランダから上に飛び去ったあと、騎士たちの重圧は急に消え、彼らはすぐにベランダに走り出し、空を見る。ですが曇の夜空に姫たちの姿は見えなかった、見えたのは王城の真上、雲の中から大きな白い光が一直線に東へ去っていった。。


「東!俺は軍に連絡、お前は陛下に報告を!」

「わかった!」


その後、彼らは他の人に連絡したあと共に倒れ、医者からその膝がまるで何日走り続けたかのようにボロボロと言い渡された、あの時無理に重圧に抗ったからね。二人共回復魔法にかけられ、一ヶ月休養が必要になった。


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雄二は雲の上で白い光玉を作り出し、東に向かって発射したあと、王城の屋上にいるマリアンヌと合流した。


「さぁ、護衛騎士たち部屋から離れ、空を見てないうちに鞄を回収しましょう。」

「わ、わかりました。ご、ごめんなさい、飛ぶのははじめてで、まだ慣れってないの。」

「時間がないわ、目を閉じで私を掴まって。」

「ご、ごめんなさい。」


夜は暗い、帝都でもこの時間はほぼ酒場しか営業していない。雄二とマリアンヌは念の為人が少ない場所に飛んで、降下する。マリアンヌは下町に隠した鞄を回収し、雄二と再び合流したあとすぐに西に飛んだ。


「マリアンヌは先日冒険者ギルドであの街で馬を買ったですよね。」

「は、はい、だからその街にわたしを降りれば、そのまま馬でカウレシア王国に行けると思うわ。」

「わかりました、今は暗いし、飛んで街に入ることもできると思う。」


マリアンヌは思わず笑った。


「…うふふっ、うまく行きますわね。」

「ええぇ、マリアンヌの演技力高かったわ、これで王城の人にはあなたは殺され、多分追手は来ないと思う。でも油断は禁物、国境を超えないとまだ危ないですよ。」

「そうですね、ですがホントに空に飛べることができるのは、姫様はやっぱりすごいわ。」

「もう姫様ではないでしょう。」

「あ、そうですわね、アイリスちゃん。」

「な〜に?マリアンヌちゃん。」

「もう~うふふっ」

「うふふふふっ」


「そろそろ到着ですわよ。」

「え?!もう到着しましたの?あの距離では馬車から半日ですよ。」

「今の飛び速度の倍もできますよ、マリアンヌは怖がるだから、今回はゆっくりで。」

「さ、さらに倍って…そ、そうですか。」

「ええ、ごめんなさい、ドラゴンさんいつ死ぬのもわからないので、できれば早めに助けに行きたいです。二人で飛ぶと魔力も倍に必要だから、ごめんね。」

「いいの、ドラゴンを助けたいでしょう、わたしは大丈夫ですから。」


アイリスたちは帝都に一番近い西の街の外にある森で降りました。


「ここで着替えましょう。」

「わかったわ。」


アイリスたちが着替える時。


「え?アイリスちゃんいつの間にドレスの中にスリップを着てますか?!」

「え〜と、マリアンヌがお花摘みに行く時…空を飛ぶと寒いですからドレス一枚では流石に冷えます。マリアンヌのこのはこの前に買ったもの?」

「はい、姫様の裁縫の本を買う時ついでに買ったものです。あの時はあなたと一緒に逃げるとは思わなかったから、一着しか買ってなかったわ。」


そのままマリアンヌは平民の服に着替え、髪を降ろして、堅苦しいメイドから180度越え優しい雰囲気の平民?なお嬢さんになった。正直何処の金持ちのお嬢様にしか見えない。当然マリアンヌはずっとあの黄金姫の隣にいるせいで、ご自分の美貌には気づかなかった。


アイリスにはに着替えた。金色の髪をそのままにして…ホントにただメイド服に着替えたお姫様になった。三次元への感性が消えた雄二は全く考えなかった。この身体の美貌は誰にも姫様と思うくらいハイレベル、この世界では主人より目立つこんな美人なメイドはありえない。この二人…大丈夫か?


「今朝の説明通り、私にとってこのメイド服の方が色々便利ですよ、換金する時にね…。」

「でも服だけではダメですよ、髪型もちゃんとしないと。ほら、後ろに向いて髪を梳かしますわ。アイリスちゃんの髪綺麗でストレートもかわいいですけと、メイドらしくてアップしないとダメですよ。」

「髪は切るつもりですよ。」

「え?!ダメよ、髪には余分の魔力を貯める場所です、こんなに長いのは羨ましいくらいです。」

「そ、そうですか、ごめんなさい。」


マリアンヌはアイリスの髪を梳かし三つ編みで作るシニヨンにし、最後はリボンで結びました。それから今自分が着てるフード付きのケープをアイリスに着せた。


「え?それ…」

「あなた今は姫様の顔だから、できれば人に見せないようにしないと、わたしはあとでまた買えますから。」

「え?あ…うん、ありがとうございます。」

「それとお金を少し渡します。」

「いやいや、流石にお金は受け取れないよ。」

「ではお貸ししますね、カウレシア王国の王都で返してくださいね、もう時間が惜しい、そろそろ分かれます。」

「え?!…あ…はい…街の中に飛びますね…マリアンヌ、どうか途中気を付けてください。」


アイリスはマリアンヌの両手をつかんで祈りました。


「(安全にカウレシア王国に行けますように。)あなたに幸運に恵まれように」

「え?…アイリスちゃん?何を?」

「ただの自己満足のお祈りです、では王都でまた会いましょうね。」


マリアンヌはアイリスを抱きしめた。


「あなたもお気をつけて、絶対、絶~対~王都であなたを待ってるからね。」

「うん、分かりました、このままではホントに時間がなくなりますよ。街の中に送りますね。」


アイリスはマリアンヌと共に浮き、街の城壁を超え、人がいない場所でマリアンヌを降ろした。アイリスはそのまま雲より高く飛んで、とんでもないスピードで西に向かって飛び去った。


ちなみに、アイリスが逃げた時着てる姫様のドレスは持つのも捨てるのも不味いので、勿体ないですが、燃やしました。

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