第11話 色々な思念

ドラゴンが去ったあと、しばらくの沈黙から…


うおおおおおおおおおおーーーーーーーーー!!


城を守る兵士たちの歓声はまた部屋まで聞こえた。当然だ、2日連続で伝説の魔物に襲撃され、奇跡的に傷亡数はゼロ、建物も大した被害もない。この世界ではガチの奇跡と言えるだろう。


襲撃後、俺達を身を守ってくれた護衛たちは俺に一礼したあとそのまま職場…この部屋の外に戻り…部屋の扉を閉じた。ドラゴンの前で怖過ぎで腰を抜かしたメイドたちですが…もし俺が彼女たちに水を渡すと絶対困らせるから、そのまま休ませていいよと伝えた。俺は刺繍魔法の練習に戻りました。


その後、マリアンヌはすぐに戻った。メイドたちは襲撃の内容と彼女がいない間に俺のできことを彼女に報告した。何もなかったと安心したマリアンヌは、俺は暇だから刺繍をやってることにまさかの反応なしです、“そうですか。”で済みました。絶対驚くと思うのに、相変わらずクールレディです、プロだわ。


ってその後、俺は夜までずっと刺繍してる。夕食、お風呂、夜寝るまで刺繍。刺繍は俺にとって最優先事項よ。


夜就寝の時間、マリアンヌは光を消し、昨日と同じくこの部屋と繋がってる自分の部屋に戻った。多分教会の鐘の音を聞いて、今はまだ夜の8時くらい..…夜の時間はまだ沢山ある。俺はベッドに乗って魔力が切れるまでバレないように“色んな魔法”を練習しました。もし寝る前に魔力を使い切ると翌日の朝は“水玉”が出なくなり、その痛みで起こされないように、ささやかな願いがありますが……そ、そうですね、無理ですね、はぁ〜前途多難だ。


魔力を使い切った、今は何時なのかは知らない。昨晩徹夜で考えた脱走計画を脳内で再確認と修正する。もしあのハゲがまた来るならその対応案も考える。とにかく俺の計画では繊細な魔法コントロールが絶対必要です。チャンスは1回、ミスを可能な限り最小限に抑えないと、実行時凡ミスはごめんだ。


もし上手く逃げた後のマリアンヌについても考えましたが、万が一予想通り帝国の王族はクズでは、命の恩人のマリアンヌも助けたい。もし姫を脱走したら、彼女は処刑されると思う。


うん、今日はもう魔力がない、計画も何回もイメージトレーニングした、眠くなったので寝ます。魔法の練習にも集中力が必要だから、また徹夜すると絶対支障が出る、だからおやすみなさい。




うん?…俺もそう予感しました。今白い空間にいた、でもものすごく残念な知らせがある、何で俺はのままで白いスリップを着ているんだ!!変態すぎて恥ずかしくて死にそう!!


空から紙が降ってきた。紙を持って上に“単語”が現れた。


“助っ人”


“無理”


「うん、わかった、こっちは大丈夫です、トイエリさん、ありがとう。ドラゴンさんは大丈夫?あの剣は刺さったままみたいなので心配だ。」


……返事なしか。


「脱走計画はすでに考えたのですが、ひとつだけ訊きたいことがあります。王国の名前とここからの方向を教えてください、“カ~ナニナニ”しか覚えないです、ごめん。」


“カウレシア”


“西”


「カウレシア、カウレシア。覚えた、ありがとう。トイエリさんも無理しないでね。俺ももしホントにヤバイと感じたらすぐに逃げますから、だから心配しないで。」

「ドラゴンさんにもありがとうと伝えってください。」


紙は消え、白い空間も消え、俺の意識も睡眠状態に戻りました。


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マリアンヌは今日のお仕事が終わり、姫様と繋がってるな自室に戻った。着替えてすぐにベッドに乗る。しかし目を閉じると、何故今日はじめて会ったあの黒髪黒目のユウジのことを考えました。


(あの仕業、動きや癖、わたし全部知ってる、アレは全部のものです。それとその命令の癖。)


、今まで通りアイビー王女殿下は部屋から離れることを禁止する。そして今日から王女殿下の前で魔法について話すことも禁止します。可能の限り彼女の前にも魔法を使わないこと、。』


(わたしもすぐに反応するくらいの姫様らしいさ…………もしかして…あんな馬鹿げてることを?では今の姫様はユウジ様?はい、考え過ぎると胃が痛くなる。わたしはただのメイド、いつも通りでそれでいいの。もう寝る寝る。)


マリアンヌは元々は賢い、幼い頃からずっと伯爵家を出る方法を隠れて一人で模索し実行していたから。だが彼女は自分は知ってはいけない事を知ってしまったと気付きました、このままでは自分の身に何が起こるのも薄々わかった。


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姫様起きたら3日目


朝、わたしはいつも通り姫様を起こして、一日の仕事が始まった。正直今の姫様は軟禁状態で、魔力暴走前の公務とお客さんもなしで全く忙しくなかった。おまけに記憶喪失した姫様は前よりわかままもなく、気難しくもなく、いつもニコニコしているので対応しやすい。今の仕事はほぼ休みと同等です、今の姫様は基本わたしひとりでも対応できる。


そのため、前のように7人のメイド隊しなくで済む、の場合を予想して、わたしはメイド隊のみんなを交替で休みや他の部署に助っ人として手配しました、できれば他のメイド隊のみんなを姫様の事に関わらないようにする。


(それにしても、姫様今日も朝から刺繍をしていますね。まぁ、まだ手の動きがカクカクですし、そのための刺繍でしょうか?)


(結局、姫様今日は朝から夕飯まで丸一日刺繍しました、ずっと真面目に刺繍しましたわ。恐らく手が自由のように動けるまではしばらく続くでしょう。)


夜、昨日のドラゴンの襲撃のあと、姫様は毎日の行動を報告するように陛下に命令された。幸いいつもの近衛騎士に報告すれば済むので、ホントに良かったです。報告したあと、姫様の夕食を取りに行くため調理場に行った、そこの同期の友人に会う、ちょっと彼女にを用意して欲しい…。やっぱり馬車の用意はそう簡単に出来なかった、別の方法を考えないと。


夕食を持って、姫様の部屋に戻った。姫様からひとりで食べるのは寂しい、誰も見てないから、夕食は一緒に食べると誘われた。仕方なく護衛に夕食時絶対誰にも入らないようにと説明し、はじめて大嫌いな姫様と一緒に食事しました。さすがにこれは報告しないわ。


寝る前に、姫様は紙が欲しいと言われ、何かの絵を描きたいかと。今日はもう遅かったので、明日忘れなく羊皮紙を何枚か持っていきましょう。


今日は事件や襲撃やお見舞もなかったのでホントに平和で、良かったです。


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姫様起きたら4日目


今日もいつも通り姫様を起こします、予想通り姫様は朝食も一緒に食べたいとおっしゃった。はぁ、仕方なく一緒に食べました。なんだかわたしも段々に毒されたと氣がする。急に記憶が戻ったとは言わないでくださいね…まあ、ないよね。


朝食のあと、姫様は今日もまた刺繍をしました。刺繍の速度は明らかに早くなったみたい、それは良かったです、手はもう自由に動けるようになったみたい。


午後、わたしは羊皮紙を何枚か持ってきた。姫様は嬉しいそうに何かを描きはじめた。何を描きましたかと聞きましたが、まさかのメイド服をかわいく変えたいと言い出しました。正直ホントに訳わからないです。姫様曰く、マリアンヌも女の子だからかわいい服を着たくないのかと聞かされ、思わず何も答えられなかった。たって姫様が描いたメイド服の改良案はかわいくて反論することができなかった、ちょっとくらい着てみたい…です。


絵を描いた後、姫様はまた刺繍の作業に戻った。残念ですが、そのメイド服の改良案を今日の報告する時は提出しないとダメなので、一応近衛騎士様に姫様はまだ使うので、報告終わったら返して欲しいと伝えましたが、果たしてホントに返せるのか?折角姫様が綺麗に描けたのに。


夜、姫様にあるお願いされた、裁縫の本が欲しいらしい。メイド服の改良のため服の作り方や他のものの作り方も学びたい、先にがばんを作りたいそうです。これは好都合、わたしも外でものがあります。


今日もお客さんや事件もなかった、ホントに平和はいいです。

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