10月12日 「ホテル」「反省会」「迷う」

本当に良かったのかな。

絶賛一人反省会。ふと顔を上げて視界に映った、飾らないシンプルなビジネスホテルの一室は自分の飾り立てた服と相反していて、突き放されたような気持ちになる。

誰よりもかわいくって、誰よりもあなたが好きなわたし。この手がいつかあなたの手に触れられたらいいなって、思って、一生懸命努力した。

でも、実際に会うとどうしても自信の無いわたしが見え隠れして、今日のためのお気に入りの服の裾を引っ張る。


わたしなんかが、隣に立てるわけないでしょう?

わたしなんかより、かわいい人なんてたくさんいるでしょう?

わたしなんか、わたしなんか……、


どうせ、ただ一人の「人間」に過ぎないのだから。


ぐるぐると自分の思考の迷路に迷う。右左、上へ下へ、辿り着けないあなたの場所に。


電気も付けないまま居た乾いた一室に、ぴこんと響く通知音。

あの人がSNSを更新した音だ。

それだけで嬉しくなって、渦巻いていた迷路は色とりどりの花のアーチをくぐる真っ直ぐな道に早変わり。指紋認証してタイムラインを開くまでコンマ数秒。誰よりも何よりも大好きな推しの、投稿!

さっきまでのもやもやなんてもう覚えていない。ギュッとなった心の苦しさは、甘い甘い恋の味。

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