第13話:殺し合いと鬼ごっこ

東京には、極秘の医療研究所が存在している。


支部が関東や関西、九州などの都市部に存在しており、そこでは知られてないだけで様々な生物実験や人体実験といった倫理に欠けた実験をしている。


表向きは日本最先端の医療技術を用いて、難病を治す方法や様々な病気を予防出来る薬の開発。

民間人にとっての神様の様な存在なのが表向き。


しかし裏は前述した様な所業を行う、人や生物を犠牲にして金を稼いでいる。


近年じゃ"寿命を伸ばす注射"と謳ってとある細胞注射を推進している。

それが"DLC細胞"と呼ばれる、東京医療研究所が開発した新たな細胞。


その細胞の詳細は明らかになっていないが、注射を受けた人間数人が口を揃えて言うのが───


"───強くなった気がする"


──────────


〚っ!!アンタらは!!〛



奈良で襲われたあの姉妹だ。

あの二人の能力は覚えがある。あの女の言葉に耳を貸してしまったらダメだ。従わされてしまう。



[うわ〜!ここがタワーの地下室かぁ〜!いいなぁ〜]


〘皆動くなよー?動いたら身体が吹っ飛んで死ぬ。いい?"私の言葉を聞いて"〙


〖いきなりなんだお前らは───!!〗


〘誰が喋っていいって言った?口閉じて。〙


〖っ───!?(嘘っ...口が...開かない!?

声も出ないっ...!!)〗



真尋の言葉で、その女は口を強く閉ざした。

本人は口を閉じた事に動揺していた。


それをよそに真尋は私と英里奈の方に近付いてきた。



〘久しぶりだねぇ。まさか生きてるとはね。

ん?私達にも同じ事を思ってる?ハハッ、お陰様でね。〙



そう言った時、真尋は服をたくし上げ私達に胸部にある傷を見せこう言った。



〘貴女達がつけてくれたこの傷、もうここまで治ってきた。痛みもだいぶ引いてきた。

ここでこの傷の落とし前を.....と思ったけど、邪魔者が居るんじゃ仕方がない。


ねぇ、そこの女?ここから出る道は?あるんだろ?"教えろよ"〙



[言わない....言うわけ───この部屋の奥のドアから上に上がる秘密のエレベーターがある。

そこから上に上がれる───はっ!!]


〖っ...!なんて厄介な能力...!!〗


〘ふーん、ありがとう。瑠衣、英里奈の拘束を解いて。〙


[はーい!!瑠衣にお任せあれー!]



するとササッと英里奈の拘束を解く。

抵抗する体力の無い英里奈はそれに促されるがまま。

真尋の命令によって抵抗もそもそも出来ないまま、私と英里奈は部屋の奥のドアの向こうにあるエレベーターから地上に上がった───。


その空間には女2人だけが残された。



〖っ......何あの女......クソっ...!〗


[従わされてしまう......あの女の言葉に耳を貸してはいけないみたいだね.......耳栓買う...?]


〖.......アイツらを追う....徐々に身体が動くようになってる.....絶対に逃がさない.......計画に鳴霾が必要なのだから.......〗


───────────


《地上に上がるエレベーターの最中》



〘アンタら二人は奈良に来てもらう。そこで二人を殺す。コレクションにする為にね。〙


[お姉ちゃんのコレクションは凄いんだぞー?

アメリカ大統領の首だって飾ってるし、死ぬ前に見ておきなよー?]


『〚っ........〛』


〘......しっかし最近は気分共に好調だよ。

ほんっとに.....強くなった気がするよ。〙


──────────


《10分後|タクシー車内》


真尋は私達を連れて東京駅に向かうらしい。

私達は体を硬直させられ、身動きが取れなくなってる状態でだ。



〘ふー....あ"っ...タバコ最後の1本じゃん.....〙


運転手«お客様...車内での喫煙はご遠慮頂きたいです───»


〘あ、ごめんなさい───(タバコに火をつける)〙


«あのお客様...!!ですから車内でのご喫煙は───!!»


〘あ??なに??〙


«っ.......»


[おー、こーわ]



タバコに火をつけ一服をする。

そして真尋は私達に言った。



〘ところでさー、あの女二人は誰なの?仲間....の様には...見えなかったけど。誰?〙


〚あれは...私達にも誰なのか───〛


『あれは....鳴霾の───』



喋りだしたその瞬間、タクシーのエンジンが突如炎上しだした。

そしてそれからすぐに、タクシーが爆発する───



〚やばい爆発する───!!〛


〘っ...!瑠衣っ!!〙


[位置交換!後ろの車に回避!]



爆発に巻き込まれる.....と目を瞑って、目を開けてみると、私達は車の中に居た。

しかし前を見ると、爆発炎上したタクシーがそこにはあった。



〚あ、あれ...私達さっきタクシーにいたんじゃ.....〛


[さぁー?なんででしょーかね?笑]


〘ナイス瑠衣。とは言え....これはあの女達の仕業だろうね.....なんて趣味の悪い......〙



車を降りて大破したタクシーを眺める。

こうでもして私達を追い求めるあの女達は、一体何をしようとしてるの...?



[どうするのお姉ちゃん!?駅に向かうにしても足が無い!!誰か車運転出来ないの!?]


〘落ち着いて瑠衣、今考えてる。

車で移動してるのに居場所がバレてるのは......〙


『多分...敵の能力だよ....居場所がバレてるのはあの女が仲間に助けを求めたから.....』


〚っ...英里奈....〛


〘.....確かに...ひとまずそう考えておくのが良いかも。

そうなると、いずれは敵と戦うことになるかもしれないね。〙


[ならどうするの?このまま駅に向かう?]


〘ホントは嫌で嫌でたまらないけど───〙



───東海道を通じて奈良まで行く。

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