第12話:集いし星々

夢を見た。


空に散らばる星々が闇夜を飛び回り、そして1つになる夢を。

夢で私は闇夜を飛び回る星々を、綺麗と思いながら眺めていた。


1つになった時に目が覚め、暗い部屋で1人起き上がる。時間は7時ちょい過ぎ。

窓なんか無く陽光が指すことが無いので部屋の

電気をつけて部屋を明るくする。


組織の朝は早く、もう既に皆は起きていた。

私もベッドから立ち上がり部屋から出て皆に顔を合わせる。


一通り挨拶を済ませた私は早々に外へ出てぶらぶら歩く。



〚ん〜〜〜っはぁ!早起きなんて久しぶりだよぉ〜...!

っ〜.......ん、こんな朝早く公園に誰が居る...?〛



公園のベンチでこんな早朝に2人して座る女がいる。

そのまま公園を通り過ぎようとした時、女達の顔に見覚えがあるのを感じた。



〚ん.....見た事あるような.....誰だっけ?絶対見た事ある気がする......〛



しかしすぐに興味は失せ、コンビニで飲み物を買ってすぐに組織に戻った。


─────────


《2039年|ランドマークタワー地下室|鳴霾の回想》


なんだろう、私が組織に入ってたった1日しか経って無いのに...私のいたお店が爆破して跡形もなく消えちゃった。


全然絶望感というか、恐怖感みたいなのは無かったけど、こんなにも早く危ない事に直面してしまったのは少し動揺した。


あの時は比較的冷静だったけど、今思い返してみるとかなり衝撃的だったと思う。

それにあのお店には私達以外にももちろん人が居た。

けれど皆爆発に巻き込まれて死んだ。防げなかった。守る意思が無かったっていうのもある。


私もそうだし入った組織もそうだろうけど、私達は人を殺して快感を得る人の組織ではない。

どちらかと言うと、人は殺すけどそれは同業かつライバル組織との抗争の時だけだ。


民間人に危害を加える意思もなければ、殺意も無い。

そもそも組織自体の掟にも民間人に傷1つ負わせてはならないってあるのだから。


私達は結局のところ犯罪者で、社会のお尋ね者である事に変わりはなくて、民間の人らからしたら近寄りたくないし関わりたくない人だ。

なので私達の言う民間人に手を出さないなんてのは当たり前で、マイナスを0にする事さえ出来ない様な感じ。


抗争や敵の攻撃に巻き込まれ死んだ民間人の罪は、敵が被るのか?

いやそうじゃない、被るのは私達でもある。


どちらが先に抗争を始めたかじゃない。

そもそもの私達の存在が良くないんだ。

それでも私は自分の生き方を信じて、組織の掟の元懸命に生きてる。


今じゃ夏南区のあのお店の跡地には墓が立てられているって聞いた。

ファミレスの爆破で亡くなった客達を追悼する意味で立てられたようだ。


私はまだそこに行けてない。

行こうってずっと思ってた、でも私にはするべき事がまだある。

それが終わってから、墓参りに行こうと思ってる。

だから───


─────────


『鳴霾っ...!後ろ───!!』


〚っ!!〛



後ろを振り向くと、1人の女が不可解な形状の刃物を持って斬りかかってきた。

避けようとした時、右側に避ける瞬間左腕の一部を切られてしまった。



〚うぐっ!!っ......〛


〖おっ、避けたねェ〜やるじゃん〗


『鳴霾.....早く...逃げて───がっ...!!』



そう英里奈が言いかけた瞬間、刃物を持った女が持ってない方の手で英里奈の顔を殴った。



〖さっきらベラベラうるさいあんたは。少し黙ってろよ。〗



そう言って英里奈の口に手榴弾を突っ込んで黙らせた。

そして一瞬で表情を変えて私に話しかける。



〖それより鳴霾〜?逃げるなんて、しないよね?

だって私達さぁ〜?〗


〚来るなっ!!お前らは誰!?私の大事な英里奈をこんなところに!!敵だ!絶対敵だ!!〛


[感情的に....なってるね.....]


〖誰だなんて酷いなぁ〜.....私達は、れっきとした姉妹なのに.......〗



女からのその言葉を聞いた瞬間、私は疑問を覚えた。

姉妹...?どういう事?私はその女に聞いた。



〚は、はぁ...?どういう事...?姉妹って何?〛


[あ...やっぱ食いついてきた......]


〖聞きたい?じゃあ銃を持ってさ、それを英里奈に向けて撃って?したら教えてあげる。〗


〚.....なんだって...?〛



英里奈の方をチラッと見る。

でも英里奈の顔は冷静な感じで、選択は鳴霾に任せると言わんばかりの無表情でこちらを見ている。



[ちなみに....エレベーターは止めてあるからここからは出られないよ......]


〚っ......〛


〖でもね、英里奈を撃ち殺して私達の方に来るって言うなら、私達と一緒に上に戻れるよ?〗



逃げ道は無く、ヘタに動くと刃物に刺されて

ジ・エンド。

そもそも逃げ足の遅い私にとって、逃げる選択肢は立ち向かうより死ぬ確率が高い。


八方塞がりなこの状況、どうしよう.......



〚この状況...どうしたら───〛


─────────


《一方ランドマークタワー1階》



〘───よっし、ここにいるんだってよ〙


[え、お姉ちゃんまさかこの人混みの中から探すとかさ...言わないよね?]


〘いや違う違う、居るのは.....下だよ。〙



そう言ってお姉ちゃんは下の方を指差す。

どうやらエレベーターを使って下に降りるみたい。



[下?あれここに地下なんかあったっけ?

確か無いような.......]


〘どうやら秘密の地下室があるみたい。

市長ですらその存在を知らないし、だーれも知らない。ホントに秘密の部屋って感じ。〙


[へぇー!私その地下室欲しいなぁ!!]



そう話しつつ、早速エレベーターに乗り込もうとボタンを押す。

上がったり下がってくるまで大体10秒くらいだと思って待ってる.......でも中々降りてこない。


階数が多いから来るまで時間掛かってるのかなって思ったりもしたけど、いくらなんでも遅い。

2分経ってもエレベーターが来ない。

それどころかボタンが光ってないし、今エレベーターが通ってる階数も表示されない。



〘んっ.....エレベーター遅くない...?これ動いてるん...?〙


[押しても全然来なーい!壊れてんのー?これー!]



下のボタンをポチポチ押しまくってるのに全く来る気配が無い。

私やお姉ちゃんは機械に詳しいわけじゃない以上どうする事も出来ずにいた。


そこでお姉ちゃんはこんな提案をしてきた。



〘これさ、もうこじ開けて下に落ちてくしかさぁ.....無いんじゃない?〙


[.......私帰るね───]


〘瑠衣、周りに人居る?〙



そう言われ周りを見渡す。

当然周りには沢山の人が居る。お姉ちゃんは何を考えてるんだろう.....。



[っ.....いっぱい居るよ...?]


〘......なるほどねぇ〜......っ───〙



お姉ちゃんは目を瞑った。

そしてしばらくすると、私達の周りの人達は離れていき、人の声等の雑音が消えてシーンとした。



〘───っ....今タワー中の人達にタワーから出てくと命令しておいた。

暫くは戻って来ないと思うし、これでここを開けれる。〙


[なるほど!流石はお姉ちゃんだね!!]



お姉ちゃんは持っていた設置型爆弾をエレベーターのドアに貼り付ける。

そして少し離れて爆弾を起爆させてエレベーターのドアを開けた。



[っ.....開いたね。]


〘じゃあワイヤーをつけて下に降りるよ、持ってきたでしょ?〙


[もちろん!]


〘それじゃあ.....GO!!!〙


─────────


《同時刻|地下室》


ドグォォオオン!!!

上から爆発音の様な大っきな音が響き渡って来た。

その音を聞いてみんなして上を見上げた。



〚何今の音.....〛


〖......鳴奈、逃走経路は?〗


[この部屋の奥にドアがあって、そこから上に上がる裏ルートを用意しておいてある......そこからなら出られるけど.....逆に言うとそれしか......]


〖おっけ分かったありがとう。〗



女二人はエレベーターのある方を見ていた。

私はその隙に持っていた銃を女二人に向け───



〚んっ......あ、あれ...?身体が...動か...ない...?〛



そう思っていると、私の前にいる女二人達も同じ様な事を言い出す。



〖っ...!?どうなってんの...!?動かない...!!身体が全く動かないっ...!?〗


[何が起きてるの.....!?鳴霾や英里奈にそんな能力は無かったはずじゃ......!!]



その瞬間、エレベーターのドアが爆破され、そこからグレネードが何個もコロコロと床を転がり私達の方へ来る。



『っ........』


〖っ!?誰だ!!〗


[やばい.....!フラグが足元に───!]


〘───スパイ映画みたいに1回は登場してみたかったんだよね。上手くいって良かった良かった。〙



突如エレベーターの方から声が聞こえた。

その声には聞き覚えがあり、私は誰が来たのかすぐに分かった。


爆破によって起きた煙幕から出てきたのは───



[じゃじゃーん!爆破による演出!いいでしょー?]


〘ゲホッゲホッ....あー.....煙たっ〙


〚っ!!アンタらは!!〛

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