第7話:百鬼姉妹④
百鬼家の前で、おばあさんが殺された事を知らないまま調査を再開する英里奈・鳴霾組。
家の敷地に出入りする柵のドアをダメ元で開けようとするが、驚く事に鍵が開いたままで入ることが出来てしまった。
『え嘘、開いたんだけど.....さっきも開いてたっけ...?』
〚さ、さぁ.....私だったら絶対開けたままにしないけどね.....〛
少しの驚きを胸に、2人家の敷地に足を踏み込む。
家のドアの前に立ち、ドアノブを引いてドアを開けようとする───
『───開いた....これも鍵かけてないって...色々大丈夫な訳──えクッサ!』
〚クサ!何この臭い!?うーわクッサァ!〛
表すなら腐臭。
何が腐ったのか不明だけど、とにかく腐った臭いがドアを開けた途端鼻に流れ込む。
ゲロさえ出る事を躊躇うほど意味不明な臭いがする。
よく見たら家に電気が付いてないし、壁も床も汚すぎて日本人スタイルの土禁を逆に禁止したいくらい。
靴を履いたまま、さながら廃墟の百鬼家に踏み入る。
『ガチで吐きそう....何を放置したらこんな臭いが.......どこからこんな臭いが.....』
〚確実に何かが腐った臭いだよね......話に聞いた百鬼家の想像とは違いすぎるね....表すなら地球と月くらい。〛
『どんな例えよ.....うわっなんか臭い強くなった...!この部屋から臭ってんのかな───?』
場所的にこの部屋は恐らくお風呂だろう。
原因を確かめようと、勢い良くスライド式ドアを開ける───!
『───っ!?........ウプッ───』
〚ひ、人...だよね...?人の...手.......〛
風呂部屋はもう地獄そのものだ。
死体の山を数々見た私ですら、この光景には頭がどうにかなりそうな程に凄惨であった。
浴槽には血が溜まり、その浴槽に死体や切り取られた指等が浮かび、洗面台の方には死体を解体する工具等が乱雑に置かれていた。
『うっ.....あの女達がやってるとしたら......あの2人相当イカれてる......』
〚もはや臭いに慣れてきた.....ヤバいよこれ......
浴槽に溜まる血の量ってどうゆうこと...?〛
『ここはヤバい.....すぐにここを出ないと.......
命の危機以前に健康とか精神的に良くない.......
直ぐに出よ───』
と風呂部屋から出ようとした時、玄関の方でドアが開く音が聞こえた。
私達は部屋を出れずに死体のある部屋で立ち往生してしまった。
〘たっだいまァ〜♪瑠衣〜?今日も持ってきたよ〜?降りてきな〜〙
あの女の声と共に、近くの階段からドタドタと妹の方が玄関まで降りてきた。
〘ほらぁ〜これ誰だか分かる?〙
[この人って確かァ〜.....あっ!あの近所のババアか!!このババアうるさかったから近いうち殺そうと思ってたけど、ちょうど良かったよぉ〜♡]
『(ん...?近所のババア...?もしかしてあのおばあさんのこと...!?)』
足音が私達のいる所まで近づいてくる。
このまま部屋に入られては気づかれてしまうと思い、鳴霾を抱き抱えながら透過能力で隣の部屋に移動した。
広さ的にリビングのように見える.....この家の構造はなんなの...?
玄関に入ると右斜め前にトイレ、そこから少し奥に行くと風呂、さらに奥に行くとリビング。
玄関入って左の方にあったドアはなんなんだろう....
『危なかった───っ!??』
〚はっ...!?嘘なにこれ.....〛
そのリビングと思しき部屋の壁には何個か小さな照明が怪しく光っていて、その照明の光に照らされるものが───
〚人の頭だ.......〛
『っ......もう家の探検は終わりだ....ここでこの姉妹を殺してしまわないと.....』
《一方風呂部屋にいる姉妹達》
〘───っよし、首が切れた。体は浴槽の方に放り込んどいて?.....そうそう、偉い偉い♡〙
[お腹空いたなぁ.....アレでなんか作ってよー]
〘うーん....いいけどまず先に片付けないといけない事があるでしょ?〙
[片付けること?.....あぁ───]
[〘あの2人のことか]ね───〙
その瞬間、洗面台の壁から弾丸が突如降り注いできた。
しかし私達には当たらず、弾丸が後ろの壁に穴を空けた。
〘やっぱいたみたいだね。リビングの方か。
瑠衣は玄関の方のドアから挟んで。〙
[は〜い♪]
───────
『風呂場に行くよ!早く!』
〚うん───!〛
〘───"動かないで"〙
その声が聞こえると共に、身体が固まって動かなくなってしまった。あの女の仕業だ。
そして前のドアが開きそこから女が入ってきた。
『っ....くっ...!』
〘残念だけど奇襲は失敗〜
家に入れたのは褒めてあげるけど、果たしてここから出られるかな?〙
[あれ、あっさりと捕まってるじゃん。
いちいち回り込む必要も無かったじゃんか]
〘まぁまぁ。それより、私達のコレクション達を見て外に逃がす訳にもいかなくなったし.......
アンタ達もそのコレクションに、加わって貰おうかな......じゃあ...."銃口を加えて引き金を弾け"〙
その言葉と共に私の腕が意思と反して動き出し、私の口が銃口を求めて咥え込む。
『ん"ー!!』
〚英里奈っ!!(ん...?身体の硬直感が無い...?)〛
〘安心して?貴女(鳴霾)もすぐにコレクションに加えてあげる。瑠衣、ちゃんと見ておいて───〙
私は身体が動くと気づいた瞬間、咄嗟の判断で英里奈が引き金を引く間際に英里奈を蹴っ飛ばした。
口から銃が離れただけでなく、ギリギリで銃弾が英里奈の数センチ右を外れた。
『ガハッガハッ...!鳴霾....』
〚分かった.....アンタ....その命令する能力、1人にしか出来ないんでしょ...?だから私を見張らせて、英里奈を命令で自殺させようとした。
銃を扱う技術が無いから、銃を自分で使わないし持たない。〛
〘っ......〙
〚刃物を扱うのもやっとなくらいなら、当然でしょ?浴槽にある死体の切り目だってガタガタで慣れてないのがすぐにわかったよあの時。
人を殺して快楽に浸る癖に、実際は能力任せの腰抜けなんじゃないの───〛
〘"黙れ!"
黙って聞いてりゃ調子にのんなよクソガキ.......
私達を侮辱するってんなら....特別苦しんで殺してあげるよ───〙
鳴霾は声を出せなくなり、女に詰め寄られるのを傍らで見ていた。
鳴霾は首を捕まれ逃げられない状況を見て、私は落ちていた銃をすぐに拾い上げ先に妹の方に銃を向けて銃を撃つ。
[っ!!お姉ちゃん───うぐぅ!!]
〘瑠衣───っうがっ!!〙
『鳴霾!出るよ!!』
どこに当たったかなんて知らない。
とにかくあの二人を足止めしておき、鳴霾を抱き抱えて私達は地獄の家から飛び出して出来る限りあの家から遠ざかるように走った。
途中でタクシーに乗り、運転手に無理やり関空まで行かせて関空から東京へ帰った。
─────────
《後日|PM12時頃|東京都新宿区》
組織に生還した私達は、帰って直ぐに疲れと安堵で組織の床で倒れるように眠った。
それから昼の12時に、ボスに起こされて目が覚めた。
「おい2人とも起きろ、早く起きないか。」
『ん....ん〜....ボスぅ...?おはようございぁ〜すぅ......』
「全く床で寝るとはなんだお前ら。
それより臭うぞ、百鬼家に行ったんじゃないのか?」
そう言われて自分の服を臭ってみた、でも鼻がそれに慣れすぎて違和感を感じれない。
鳴霾も同様に分からないみたい。
『臭いを感じませんボス、どんな臭いですか?
もっと近くで臭いません?』
そう言いながら立ち上がり、ボスに接近する。
その瞬間ボスは私から離れる。
「おいおいやめろ勘弁しろ!本気でその臭いはいくらなんでも臭すぎる!近寄るな!!」
『まぁまぁそー言わずに〜いつもお世話になってるんですから〜』
〚......意外にボス怒らないで逃げるんだ.....〛
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