第3話:鬼ごっこ
DLC、そう名付けたのは東京研究所のCEOの
浄龍という人物。
近年何かしらの能力を持って産まれる人間が増え、それによって起きる犯罪件数が10年間で8倍にまで膨れ上がっていた。
そこで、能力を利用し犯罪を犯し死刑判決を受けた死刑囚の中から数人を、研究所が研究対象として保護した。
DLCには種類がある。それは未だ未解明のまま。
しかし最近になり分かったことがある。
それは────
─────────
《現代|アホンモール内》
私が呑気にもご飯を食べたいと、英里奈を連れてフードコートでご飯を食べる。
〚ぁむぁむ....ぅまぁい!〛
『ねぇ鳴霾....私達って生まれた時から変な能力を持ってるけどさ.....なんでなのかな?
持ってる人と持ってない人がいるみたいだし.....特殊なのはさ....持ってない人じゃなくて私達だよね...?』
〚ん〜....んまぁそうかもねぇ....〛
『でもさ、私の親とか鳴霾の親って...私達みたいに生まれた頃から能力を.....持ってたのかな......』
〚.......さぁね...私の親は私を産んですぐに離れてしまったし....親の事はさっぱりだね。〛
そう言って、止まっていた鳴霾の箸が再度動く。
『うん....私の親も死んじゃって、能力を持ってたのかも分からない.....遺伝なのかも、突然身についたのかも.....』
〚んー......まぁそれより、さっきの男の能力っていうのも考えものだね。
あの時私の位置と男の位置がまるっきり入れ替わった。
あの男にも能力が備わってるよきっと。
物や人の位置を入れ替える能力とか、それか瞬間的に動いて強引に私達の位置を変えた。
馬鹿げた発想かもしれないけど...笑
その能力を上手く使えば、車で追っかけても追いつかないだろうね。追跡は難儀なものだよ。〛
『確かに.....じゃあどうしたら.......』
男をどう捕まえるか頭を抱えてると、食べていたご飯を食べ尽くし、口を拭いて鳴霾が言った。
〚先回りするしかない。
その前にその男の事をもっと知る必要があるね。
例えば...その男が一日の中で必ず行く所とか。
寝床、活動範囲、逃走経路、そして能力。
まだ英里奈の能力は知らないけど、どの能力にも短所が必ずあると思う。
私にだってある。相性の悪い能力とかさ。〛
『......そうだね。そうしようか。
それじゃあ一度鶴和市のアパートの一室を借りてしばらく動向を探るか。』
新人のこの鳴霾って少女.....予想以上に頭が良く回る子だ。
今までのヤツらとはまるで違う......
私達はすぐにモールを出て、空いてるアパートの一室を借りて偵察を行った。
─────────
夜の鶴和市。
鶴和駅周辺は、夜になると治安の悪さが倍増すると聞いて私一人で駅に向かった。
鳴霾には町中を回って男を探してもらう。
駅に着くと、飲み屋があることもあり酔っ払い達がよく居た。
他にも明らか学生の男女が、片手に酒やタバコを持って談笑している。時間も23時を過ぎてるのに。
『ここ、かなり治安悪いんだね....驚いたよ。
まぁそんなことより...あの男を探してとっ捕まえてやろう.....』
鶴和駅の北口から出れる広場を初めとした駅周辺の散策を始める。
前述した通り、近くに飲み屋があることもあり酔っ払い達がそこらに座ったり、はたまたゲロなんか吐いてる会社員っぽいヤツもいる。
そんなのを目にしながら細い一本道を歩き、途中で左に曲がって道に出ると、男数人の集団を発見した。
『っ......今日酔っ払い多くない?日頃ここ来てるわけじゃないけど。
何となく着いてってみようかな。』
そう思い近くに接近し後をつける。
するとその集団は、小さな公園に入っていった。
それを私は後ろからついて行く。
集団は、ブランコの方に向かって歩いている。
私はベンチに座り怪しさを出さず、片手にスマホを持って何気ない人感を出した状態で集団の方に目を向け耳を傾ける───
男a〘お前ヤバすぎだろ笑笑笑〙
【ははっ、嘘じゃねぇって】
『ん...?この声は.......』
〘いやだっておまっ...笑 夏南ファミレス爆発事件の犯人がお前とか笑笑笑 ありえねー笑〙
集団の方を見ると酔っ払いに囲まれて、1人冷静な佇まいの男がいた。
しかもその男は、モールで逃げたあの男そのものだった。
ファミレス爆発事件の犯人...?
アイツがやったの...?.......まぁそんな事は今どうでもいい。
今私達のする事は、あの男を捕らえて警察につきだす。
そして私達は大金を貰って終わり。
簡単の仕事だ。ミスはしない。
私はベンチから立ち上がり、集団の居るブランコの方に歩き出す。
懐にある銃を握り、男に接近する。
〘───でさー.....ん?この人誰───うげっ!!〙
男c[おいお前大丈夫───ぎゃっ!!]
男d<ぎゃはっ!!!>
『..........』
【っ!マジかよっ...!ここまで追ってくるかよ普通...!!】
流石の男も追ってきた事に焦り、一目散に逃げる。
逃がすまいと私は男の足を銃で撃ち抜き、男はその場に転げ落ちる。
ゆっくりと私は男の側へ近づき、上から見下ろしながら問い掛ける。
『......ねぇ、あの男達は酔っていたのに、どうして貴方だけは酔ってないの?酒苦手?』
【....いや、苦手では無い。
俺はこんなこともあるかと思って、飲まないようにしていただけだ。
あいつらには悪いが、ほんの数分前知り合っただけの仲だし...】
『......こんなこともあるかと思って...?
どういう事───?』
すると男は私の足を掴んだと思ったら、気づけば私は地面に這いつくばり、その様を男が見下ろしていた。
私はすぐに体制を立て直そうとした時、男が私の腹を思い切り蹴りつける。
みぞおちを食らい、再度地面に伏した。
『がはっ....うぐっ.......』
【酒は能力を阻害する。発動を鈍らせるんだ。
俺はきっとまた追われると分かっていた、だから飲まなかったんだ。
まぁ、こんな所まで来るとは思わなかったけども。】
『あ...アンタはっ......何...者なの...!?』
【鳴利。お前とはいずれ違う形で会う事になるだろう。
その時は、俺を殺さないように抑えておけよ?】
『は...はぁ...??』
そう言い残すと、鳴利と名乗ったその男は忽然と姿を消した。
『鳴利.......』
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