第2話:イカれたメンバー
?【新宿組織日記:新入りで鳴霾という少女がやってきた。
ボスは少女すらもこの世界に招いてしまうとは何をお考えになっている?
この俺には到底理解し難い判断だ。
俺はいずれこの組織のボスになる。
いつまで経っても幹部止まりはゴメンだからな。
この日記は組織のボスを歴任した者だけが綴れる日記だが、その日記の置かれている部屋はボスしか知らない。
しかし俺が今その部屋に侵入しているのは.......
おっと、もう文字数が足りないな。
ボスには申し訳ないが、俺の人生の為に踏み台となってもらう。以上。】
─────────
《現在|東京都新宿区歌舞伎町|組織本部》
私はいつも通り組織に出向き、殺しの任務の引き受けや、敵対組織の対策を模索している。
その中で1つ、目を引く任務があった───
『"神奈川県
鳴霾、これの依頼先....鶴和警察だよ。』
〚....ホントだね、この名前も責任者の名前だ。
警察とこの組織には交流があるみたいだね。
一体どうして?〛
『さぁ...ボスだけがそれを知ってるんだと思う......警察と組織に関わりがあるなんて───』
「それは儂が過去、半グレのガキに負傷を負わされた警官を助けたことから始まったんだ。
儂は敵以外の人間には優しいからなぁ、したら儂の存在を知っても尚優しくしてくれるようになった。別の理由もあるがね。」
『ボス...!なるほど.....そんな事が過去に.......
その警官は、署長か何かだったんですか?』
「当時はただの警官だった。どこにでもいるような普通のな。」
『当時.....と言いますと...?』
「ふっ.......行けば分かるさ。
ほら急げ、警官だって俺らに時間をいつまでも割ける程暇じゃないぞ。」
そう言われた私達はすぐに現場へと向かった。
場所は先述した通り"神奈川県鶴和市上草薙"
東京から神奈川の鶴和までは1.2時間を要した。
そして鶴和へ着いた私達は、早速鶴和市警察署へと向かった。
『失礼します。私達は、組織の者なんですが...』
警察A[んっ...?組織...?イタズラなら帰ってもらう───]
責任者{いや、この人達はここに用があって来たはずだ。新人のお前はパトロールでも行ってろ。}
そう言って新人警官を外へ追いやりパトロールに行かせた。
そして警察署に私達と責任者のみとなった時、話を始める。
『......ボスより預かった例の依頼について話したいのですが.....』
{あぁ....是非手を貸して貰いたい.......
その異能力者の特徴については───}
その前に、何故私達組織が警察と手を組んでるのか詳しく話しておきたい。
ボスの詳しい話によると、10年前の2019年の冬。
神奈川県鶴和市に無差別殺人事件が起きた。
ショッピングモールや町中、公園や様々なところで殺人を繰り返していた愉快犯の捜索に鶴和警察は手こずっていた。
その頃、鶴和市での事件を耳にした我々組織は良いことを思いついた。
それは鶴和警察に協力して恩を売ることだった。
警察にとっては協力者には恩を抱くはずだと。
たかだか1つの事件に協力しただけで恩を抱かない......平和を願いそれを実現させようと日々奮闘する警察官達が、そんな事を思わないはずがないと。
我々組織はそう思い警察に歩み寄り協力した。
そう、協力したのは平和を願う気持ちがあったからではなく自分達の利益の為なのだ。
そして事件に関与した我々は隠れ続ける犯人を見つけ出し、身柄を拘束して警察へと引き渡した。
その結果見事に恩を売ることが出来た。
だから鶴和市警は私達に手を貸してくれるらしい。
{───その異能力者の特徴は、身長170cm程で短髪、そして頬に傷がついてるのが特徴だ。
この情報は目撃者からの提供だ。}
『なるほど.....よく現れる場所とかは?』
{人が多く集まる場所....としか言えないな。
さっき言ったショッピングモール、それと休日の公園とか、可能性としては駅とかだろう。}
そう言われ、私は考えた。
手当たり次第そこへ向かうのもありだけど、少し手間が掛かるし時間もかかる。
そこで私は1つの手を提示した。
『それじゃあショッピングモールに一日中張り付くことにする。
そこなら朝昼夜と人がいっぱいだし、何より今日は休日。公園やコンビニ以上に人が居るはず。
そこで必ず見つけ出す。』
{....わかった。頼んだぞ。}
時刻は正午を指し示した。
私達はショッピングモールへと向かい、犯人の犯行の瞬間を待った。モールのど真ん中に立って。
────────
《鶴和アホンモール》
『っ.......現れないね』
〚そうだね。現れないね。〛
『っ.......もう何時間経った?』
〚そうだね。3時間は経ったよ。〛
『はァ〜.....フードコートで飯でも食べ行こう....
お腹が空いて仕方が無いよ。』
3時間経っても現れないことに痺れを切らし、休憩がてらフードコートへ行ってご飯を食べることに。
『───っよし、注文してきた。ブザーがなるまで待ってよ───』
客〔キャー!!!!!!!〕
ブザー片手に席に座った瞬間、モール内に悲鳴が響き渡った。
何が起きたのか一瞬で理解した私達はすぐに向かった。
モールの1階、やはり食品売り場に居た。
今まさに逃げ回っている様に、辺りを駆け回っている。
『現れたね.....鳴霾、挟んで拘束しよう。
私左から行くから右はよろしく。』
〚はぁ...りょーかい。ご飯食べたかったなぁ〛
そして左右に走り出す私達は、ナイフ等を持って客を襲う男の方に向かう。
そして暴れる男を後ろから取り押さえた。
『捕まえたっ...!ちょっ....暴れないでっ...!』
【っ.........】
『暴れる割には声を出さないのね.....変なやつ───!』
そして男を床に伏し、男の上に私が逃げないように座る。
そして男が持っていたナイフと銃を鳴霾が取り上げた。
【っ.......そんな力でこの俺を抑え込んだつもりか?
こんなの、すぐにでも振り解けるぞ。】
『なに虚勢張っちゃう?さっき私が取り押さえて振り解けなかった癖に。』
すると私の下にいる男がとある事を言い出す。
【貴様、俺が銃しか撃たないマヌケに見えるか...?】
『はぁ?何?凄んだってビビったりなんかしないよ───』
〚......っぐえっ!!〛
私が話してる時、突然鳴霾が苦しい声を漏らす。
不審に思い鳴霾の方を向く───
『どうしたの鳴霾.......はっ!?え、なんでっ...!どうして...!?』
【.....フン.....マヌケが........】
後ろに居たのは、鳴霾の姿ではなく....私の尻の下にいた筈の男の姿だった...!
『鳴霾!?どこ行ったの!?鳴霾!!』
〚お、重いっ....英里奈っ....離れて......苦しい......〛
『え?....うわぁぉおあ...!なんで鳴霾が私の下に....おいお前....何したの!?』
そう問いただすと、男は不敵な笑みを浮かべこう言う。
【言っただろ?"俺をナメるなよ"と。
お前如きがこの俺を捕まえられると思うなよ?】
そう言い残すと、男は忽然と姿を消した。
『........私達だけじゃ無かったのか.......っすぐに追跡しないと。鳴霾、行くよ。』
〚う、うん......う"〜お腹痛い......〛
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