11日目午前~午後(出会いを求めて)

どこまでも続く坂道。その場所を2人の子供たちが登っていく。


「早く出てこないかなー!」


「ん…近くにはいるみたい…」


2人が現在進んでいるのは、過去にフィリアと護が訪れた山型のダンジョン。どこか緩い雰囲気を纏っているが、そこは感知能力にたけた二人。油断はあっても隙はない。


「来たね!ルナにー初めはソルから行くよ!」


「ん…気を付けるんだよ…?」


「はーい!」


2人を歓迎するように現れるはプルボア。歓迎の勢いそのままに二人へと迫る。しかし、ただ直線に進むだけの攻撃は回避能力の高いに二人にとっては無防備と変わりない。


「いっくよ!【スラッシュ】!」


ソルは【剣士】になったことで取得したアビリティ【スラッシュ】により、次の切れ味を上昇させる。その結果、分厚い毛皮を纏ったプルボアでさえあっさりと切り捨てて見せた。


「う~ん?MPが減った?」


「ソル…それがアビリティ…フィリアお姉ちゃんが…言ってた。」


「そうだっけ?」


アビリティの使用には基本的にMPを消費する。今回の場合は消費した魔力で剣の強化した形だ。


なお、戦闘中にのんきな会話をしている余裕があるのかと?そんな疑問の声が聞こえてくるがご安心を。この会話の裏でルナがプルボアの喉元に短剣を突き刺している。


そうやってプルボアとの戦闘を繰り返すことしばらく。二人は山頂へとたどり着く。


「うわー!すごく高い!これダンジョンだよね!」


「ん…多分そう…でも、いかないよ…」


「もーわかってるよ!」


二人の任務はこのエリアの先を確認すること。そのため高低差があっても機動力が変わらない二人だけできているのだ。


『いいですか。二人とも無駄な戦闘は避けていくんですよ。』


そうフィリアには言われているので二人はおとなしくダンジョンは諦める。ただし、道中で見つけた魔物は避けられないと判断するあたりがこの二人らしい。



「ん…おしまい…」


突撃してきたプルボアを交わして振り向き様にその首を切り落とす。当然プルボアの視覚外からなので、ルナの【暗殺術】が発動。見た目以上のダメージをたたき出している。さらに、ソルの一撃が入るので完全にオーバーキルである。


「うん?お腹空いたの?」


「そろそろ…お昼だしね…どっかで休憩…しようか…」


護によって与えられた【守護神獣の卵】は当然今も二人の回りを浮遊している。そして、生まれたばかりの卵たち《赤ちゃん》に二人の都合など関係ない。MPが欲しくなれば甘えてくるし、遊んで欲しくなればすり寄ってくる。特にソルの卵は本人に似たのか、その傾向が強かった。


とりあえず安全を確保するため、木の上に上りアイルに渡されたバケットを取り出す。中には自家製パンのサンドイッチがびっしり。


「おいしそう!」


「ん…!」


バケットを中心に置いて、サンドイッチを片手に足をプラプラ。開いた片手で卵を撫でながらMPを与える。そこまでやってもバランスを崩さないのはさすが猫の獣人である。


ちなみに中身はベーコンとポテトを塩コショウで味付けしたもの。トランブロッコリーを少量混ぜているのでシャキシャキとした食感がいいアクセントになっている。


それを残すことなく食べ終えた二人はさらに奥へと進んでいく。


----------------------------------------------------

リザルト

ルプボアLv3× 7

ウインドバードLv3×3


ドロップ

ルプボアの肉× 7

ルプボアの巻き角× 3

ルプボアの頭角× 4

ウインドバードの肉× 2

ウインドバードの嘴× 1


魔石(ルプボア) Lv3×7

魔石(ウインドバード) Lv3×3

----------------------------------------------------


そこからさらに進んだところで、エリアの境界線が見えてきた。


----------------------------------------------------

推奨レベル6

----------------------------------------------------


「とりあえず…レベルは高くないね…」


「そうだね!だからルナにー!少しだけ!だめ?」


確かに目の前のエリアはそこまで強くない。余裕ではないが、今の二人ならいけないこともないだろう。しかし、フィリアから依頼されたのは確認まで。自身の好奇心とフィリアの意見に揺れるルナが出した答えは…


「うーん…少しだけ…だよ?」


「やった!」


結局好奇心に負けて、二人は進む。


少し進むと苔むした石レンガの道が見えてくる。その周囲には原型が予想できないほど壊れた石の柱が点在している。


コツン コツン


「ソル…」


「了解」


無機物がぶつかる乾いた音。それを聞いた二人は一気に戦闘態勢へと変わる。


----------------------------------------------------

ポーンゴーレム Lv6

----------------------------------------------------


現れたのはチャスのポーンのような見た目に、丸い手足が着いたような魔物が2体。息の合った更新は軍隊を思わせ、握った槍を侵入者へと向ける。


「ソルが相手だよ!」


両手に握った剣でポーンゴーレムを切り付ける。しかし、これまで戦ってきた魔物とは異なり、ポーンゴーレムは金属。その辺で握ったなまくらでは切ることは叶わない。


「硬い!なら【スラッシュ】!」


それでもあきらめずソルはスキルを発動し、切りかかる。その斬撃は先ほどとは違い、僅かながらポーンゴーレムの表面を削ることに成功。


「【アサシネイト】」


ソルが攻めている一方でルナも【アサシン】になって取得してスキル【ハイド】を発動し、存在感を薄くして接近。ポーンゴーレムの背後に回ると、背後からの攻撃の威力を上げるスキル【アサシネイト】を発動して切りかかる。


「っ!」


攻撃は見事体と頭部の接続部に吸い込まれるように見えた。しかし、見えていないはずのポーンゴーレムは当たり前のように握った槍でその攻撃を受け流す。


ルナの攻撃は視覚外かつ急所の場合に効果力を出す。少なくとも今のスキル構成はこうである。つまり、視覚に依存せず、常に冷静な対応をしてくるゴーレム系の魔物はルナの天敵と言っても過言ではない。


そんなルナを無視して、ポーンゴーレムは2体がかりでソルへ対応する。しかし、総じてゴーレム系の攻撃は正確で威力があるが速度がない。故に状況は千日手に近い状況であった。


「そんな槍あたら「ソル、卵が!」!?」


そう、本当に2対1ならそうなる。しかし、今のソルには守るべき【守護神獣の卵】弱者が隣にいる。


避ける選択を失った今、ソルには攻撃を受ける選択しかない。咄嗟に両手に持った剣で、二つの槍を払うがそのうちの一本がソルの脇腹へと突き刺さる。


「うっ!…が…くっ!」


「ソル!」


「ルナにー!逃げて!」


「やだ!」


ソルの足元が赤に染まる。それでも両手に握った剣は手放さない。


(調子に乗ってた…かな?)


確かにここまで順調だった。守られるばかりだった頃が11日前であることなど嘘のように強くなった。そんな急激に成長した子供が全能感を感じることを誰が攻める音ができるだろう。


「あはは、ソルはまだまだだね!」


弱ったソルに止めを刺そうとポーンゴーレムが迫る。ソルはせめて卵を守ろうと自身の肉体を盾にする。


(あ、そうか。私は今までこの卵のように…)


ポーンゴーレムがソルへと槍を向ける。ルナもどうにか阻止しようと我武者羅に魔法と斬撃を振るって抵抗する。しかし、無情にもポーンゴーレムは動きをやめない。


「ソル!」


振るわれる槍。ソルはくるであろう一撃を前に目を瞑る。しかし、その槍が最後まで振るわれることはなかった。


「なんて美しい兄弟愛なのかしら!でも、無茶はだ・め・よぉぉ!」


その言葉とともに振るわれたハンマーがポーンゴーレムの頭部を撃ち抜き、逆の手に持ったどう見ても両手持ちの盾が、隣のポーンゴーレムを吹き飛ばす。


おおよそ口調からは想像できない、スキンヘッドの長身の男性が一瞬にして周囲を支配した。


----------------------------------------------------

リザルト

ポーンゴーレムLv6× 1


ドロップ

砕けた歯車× 3


魔石(ポーンゴーレム) Lv6×2

----------------------------------------------------


やっと、新キャラだよ!

そして、やっと出した新キャラが筋肉モリモリマッチョのスキヘッドのオネーとか言う色物だよ!


さて、わたくし事ですが現在リアルの仕事が忙しく、来週は更新をお休みさせていただくと思います。


すいませんがよろしくお願い致します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る