10日目午後(護と個性と新たな力)

さて、雑貨屋で一喜一憂したが建築ラッシュはまだまだ止まらない。


次に設置するのはなぜか無料で作成できる【神獣の園】。その効果を再度見てみよう


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神獣の園 無料

護を主人と認めた神獣が暮らす園

この施設は異界に生息する神獣により効果が変わる。


設置できる数は神獣の数まで

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(ただ、これ何ができるのかよくわからないだよねー)


読み返しても何もわからない。なので護はとりあえず配置してみることに。


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この場所に神獣の園を設置しますか?

→Yes / No

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YES を選択して周囲が光に巻き込まれる。しかし、今回はそれだけでは済まなかった。


(護!突然寝坊助ちゃんが消えちゃった!)


脳内に響いたリジアの声。人が周りいるときに声をかけてくるのは珍しいなとか、場違いなことを考えていた護に衝撃の情報を伝える。が、次の瞬間消えたはずの卵が護の手の中に出現した。


「え!?ん??」


変化はまだまだ終わらない。


コツ……コツ…!


「あ、ひびが…」


フィリアが間の抜けた声。その言葉を肯定するように、卵の内側から響く音と、ひびがどんどん大きくなっていく。


はじめに見えたのは黒とも白ともとれる灰色。蛇のような艶やかな鱗を纏い小さな羽ピクピクと震わせる。頭部には小さな二対の角、閉じられていた眼が開けば小さな瞳が現れる。


「きゅる?」


「ドラ…ゴン?」


ファンタジーの定番であるドラゴン。その幼体が護の手元で小首をかしげると、小さな翼をパタパタしながら護の肩へと着地する。


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テイムに成功

名前を与えてください。

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なぜか発動した【テイマー】スキルが目の前のドラゴンをテイムしたことを伝える。


(いや、え?なんで??)


まあ、次々と連鎖して発生する変更。その中心に立っている護が、復活に時間が係るのは仕方がないのだろう。だが残念ながら、護ぺちぺちと叩いて催促する存在がいた。


「きゅるる?」


名前くれないの?そう訴えるつぶらな瞳。見る角度により色を変えるそれはまるでアレキサンドライトのようだ。


(アレキサンドライト…いやさすがに安直かな?なら…)


「クロムとかどうかな?」


「きゅるる!」


クロム。アレキサンドライトの色光により変わる原因の原子であり、ギリシャ語で色を意味する。まあ、そんなことを目の前のドラゴンが知るはずはない。そしてテイム終了に合わせてさらに流れるアナウンス。またかよと護が覗くと、さらに予想外のものが表示されていた。


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加護が取得されました。

加護名:創始双愛

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(いやもう、これ以上はいいって…)


「あの…護様?なんで頭を抱えてるのですか…それにそちらは小さいですが間違いなくドラゴンですよね?」


「いやごめんフィリア。俺にも何が何だかよくわからない。とりあえず、なんか突然加護が増えた。」


「…なんで?」


なんかよくわからないけど、とりあえず新たに得た加護の詳細を見てみる護。


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創始双愛

護が認めた者に、「守護神獣の卵」を与える。そこから孵化する神獣は、与えられた者の性質により姿と力は変わる。


子は親を見て育つ鏡。施すものには与えられ、奪うものは奪われる。

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「護様、どうでしたか?」


「うーん…これは後で確認しようか。」


一瞬使ってみればわかるかなって安易な思考が混じる。が、「それフラグだよ」と天の声が聞こえた気がして後回しに。そしてその考えに至ったのはフィリアも同様だったようで、無言でうなずいている。一方そんな二人とは違い、残ったメンバーの間には穏やかな空気が流れていた。


「きゅるるー♪」


「ワン!」


クロムがネオンの上に降り立ち、それをルナとソルが楽しそうに囲う。アイルはそんな光景を少し離れて眺めている。


元はネオンが守っていた存在といったこともあり、ネオンが張り付きってクロムの世話を見ており、クロムもそれを嬉しそうに受け入れている。それにまだ、安定はしないがソルとルナとの間を行ったり来たりと、愛嬌を振り撒いている。


「つるつるしてるー!」


「きゅるぅ~♪」


「…頑張れ!…」


「ワン!」


ソルに撫でられて、嬉しそうに体を揺らすクロム。その下ではもしもの時に備えるネオン。


そうやって、予想外の交流はしばらく続くのだった。



「…」


あんなに元気に交流していたクロムだったが、護の手の中に戻ってきたら電池が切れたように眠ってしまった。まあ、生まれたばかりの赤ちゃんなのだからしかない。


「ふふ、かわいい…」


「フィリアねーずるーい!」


現在、護たちは最後の作業を行うために教会へと向かっている。護の隣にはフィリアが陣取り、クロムの様子をのぞき込む。一方ソルも寝顔を見たいようだが、残念ながら背が足りていない。


「ごめんなさいソル。この時間は私が独占です」


「う~…」


「ソル…さっき遊んだでしょ…」


「そう言うルナにーはネオンを独占してるじゃん!」


「ほら、ソルはこっちおいで。おやつで持ってきてたドライフルーツ上げるから。」


「わ~い。アイルにー!大好き!」



教会についた一行は本日最後の作業を開始。ちなみに、クロムはアイルの手の中に移動したので、護はステータスの操作が可能になっている。そして、現在護が操作する画面に表示されているのがこれだ。


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ジョブ解放を実装しますか?

→Yes / No

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「フィリア本当にこれが優先なの?」


「当然です。絶対に最優先です!」


拳を胸の前で合わせて、力よく宣言を受けて護もYESを選択するのだった。


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