5日目午後(新たな仲間)

戦闘優先であったテイクバードがいなくなり、今最も近くにいるフィリアへとガーディアンドックが視線を向ける。


「グルルゥゥ!」


威嚇するその姿はすでにボロボロ。それでも自身の役目を全うするために虚勢を張る姿はまるで護の異界居場所を得る前の誰かのようだ。


「マモル様…どうにかできませんか?」


「大丈夫。だと思う…」


護は威嚇するガーディアンドックへと近づく。その距離が近づく程にガーディアンドックもその身を低く構える。そんな緊迫する空気の中、二人の距離が一歩、また一歩と近づいていき、やがててを伸ばせば届く距離に至る。


「ガルルゥ!」


痺れを切らしたガーディアンドックが牙を見せて威嚇する。しかし、護は構わず手を伸ばす。


(あと少し…)


護が使用しようとしている【テイマー】スキルにはいくつかのルールがある。まず発動条件としてテイムしたい魔物と接触している必要がある。また、テイムの成功率は魔物の損傷率とテイマーと魔物の相性により決まり、そこにスキル発動に消費したHPとMP量による補正が加わってテイムの成否が決定される。


虚勢を張るガーディアンドックへ護はなおも手を伸す。


「ガウ!」


最後の抵抗とガーディアンドックが牙が護の腕へと立てる。深々と犬歯が刺さった護の腕からは赤い液体が流る。しかし、これでテイムの最低条件である、接触は満たされた。


「【テイマー】発動」


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LV 5

HP  40/82 →  5/82

MP  49/81 → 14/81

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ギリギリまでHP とMP を消費して護はスキルを発動する。消費したHPとMPは疑似魂と変わり、ガーディアンドックへ流れ込む。


「ガウ?」


不完全な魂が器を満たし、活動を始める。しかし、その活動の対価に不完全な魂は自壊を始める。崩壊した魂はSPへ変わり、魔物の器を満たす。そうして宿ったSPは世界のルールに従い、不足しているMPそして本来は魔物が持ち得ないHPに変わって、魔物を満していく。HPが満たされたことで器も魔から命ある魔へ変化する。生命へ変わった器は崩壊する魂に新たな概念を与える。


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テイムに成功

名前を与えてください。

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「そうだな…じゃ、ネオンで」


名付けを受けたことで、ガーディアンドックはネオンという唯一無二の存在として世界に定義さるのだった。


「ク~~ン♪」


ネオンが護から牙を抜き、忠誠を誓うように護へ腹部を向けて横たわる。護は向けられた腹部を血で濡れた手とは逆の手で撫でる。撫でれば撫でるほどネオンの触れる尻尾の速度が上がる。


「かわいいな…」


「かわいいです…」


2人の言語力が失われる。しかし、今はやるべきことが多いのも事実。二人はまだ撫でたい気落ちをどうにか押さえて、成すべき作業を再開する。


「ワン!」


護がフィリアと別れて少しした頃。突然ネオン護へと声をかける。そして、護がこちらを向いたことを確認すると、一直線に駆け出した。


「来いってことだよな?」


そう判断した護はネオンを追いかける。そうして、たどり着いたのはこれまでネオンが守っていた卵がある場所であった。護はなんと成しに【鑑定】のスキルを発動する。


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神獣の卵 

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神獣。魔物と異なり、創造神デミレアによって命ある存在としてデザインされたそれは、様々な方法で己が仕えるべき神を選別する存在。たとえ戦力で勝利したとしても、それを行った神が気に入らなければ従うことはなく。逆に波長が合えば、話すだけで従うこともあるという。そんな神獣の卵がそこにあった。


「ワン!ワン!」


「俺が回収しろってこと?」


「ワン!!」


護の意見を肯定するように一際大きく鳴き声を上げる。その事を確認した護は神獣の卵をインベントリーへと格納。満足したネオンが今度は、テイクバードなどがいた方向へと駆け出した。


「元気だなー。」


少し遅れて、護がネオンのもとに追いくと、先にアイテム回収を行っていたフィリアが謎の宝箱の前でネオンを撫でまわしている現場に遭遇する。


「ふふ、今度はどこを撫でてほしいですか?」


「ワン!」


言っていることがわかるのか、ここを撫でてとフィリアの手に頬を擦り付ける。それを見て頬を緩ませながら、フィリアは空いていた手で要求に答えていく。


(そっとしておいてあげたいけど、そろそろ帰らないとだしね。ここは心を鬼にして)


しばらく、隠れるように回収作業を行っていた護。本来であれば、満足するまで待っていてあげたいが、これ以上は帰りを待っているアイルたちを不安にさせてしまうと判断して、フィリアのもとへと向かう。


「フィリアそっちはどう?」


「あ…か、回収は終わっています。ただ、こちらについては確認しておきたくて。」


まるで今来たように声をかける護。その声に慌てて立ち上がったフィリアは宝箱を指さしながら答える。


「そうだったんだね。ちなみにもう開けた?」


「いえ、まだ開けてはないです。」


「ならまずは開けてみようか。」


そういって護は宝箱に手をかける。そのまま勢いよく開くと中には…


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ショックホウボウ

水泡キノコ

スライム水晶

精霊のヤドリギ

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ショックホウボウは顔と腹部が大きく膨らんで魚。いやな予感がした護は慌ててインベントリーに格納する。


「先ほどがテイクバードが加えていたものと尻尾が似ているような気がします。」


「多分、テイクバードが集めていたアイテムがこの中にあるんじゃないかな?なんか嫌な予感がしたから直ぐにしまったけど…」


「その判断は間違ってないと思います…とりあえず、他もインベントリーに収納いただけますか?」


「ここで悩んでても使い道わからないしね。」


「ワン!」


そうして、すべて回収したところで帰路につく。なお、さすがに疲労今般になった一行は接触する魔物を全て無視して突き進んだのだった。


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最終リザルト

ルプボアLv3× 10

ウインドバードLv3×3

キノコモドキLv2× 3

クラッシュフロッグLv5× 1

テイクバードLv8× 1


ドロップ

魔石(ルプボア)Lv3×10

魔石(ウインドバード)Lv3×3

魔石(キノコモドキ)Lv2×3

魔石(クラッシュフロッグ)Lv5×1

魔石(テイクバード)Lv8×1

ルプボアの肉×9

ルプボアの巻き角×9

ルプボアの頭角×2

ウインドバードの肉×1

ウインドバードの羽×2

シャキシャキキノコ×1

麻痺ダケ×1

青毒ダケ×1

クラッシュフロッグの後ろ足×1

消化液×1

テイクバードの羽×5

テイクバードの嘴×1


回収アイテム

コシアブラ×8

薬草×7

フキ×5

ショックホウボウ×1

水泡キノコ×1

スライム水晶×1

精霊のヤドリギ×1


総経験値 58点


配分

フィリア 29点

護 神のためなし

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