4日目午後(レベリングスタート③)
戻ってきたルナに状況を共有された二人は、これが
「しかし、そうなると誰が射手をするのか問題ですね。」
これが普通の異界であるなら、他の住人を連れてくればいいだけであった。しかし、彼らは四人と少人数であり、一人抜けるだけで戦力としては大きく落ちる。なお、他にも番える矢、どのように使うのかなど考えることは多数存在してはいる。
「僕がやるのが一番いいのかな?」
三人に比べて戦闘能力が低いアイルが提案する。しかし、フィリアはそれを首を振って否定した。
「むしろ、アイルは優先してレベルを上げておくべきと思います。正直、現状のアイルのスキルは構成は微妙と表現するしかないです。」
アイルのスキルは【精霊術】【料理】【調薬】【精密魔力操作】の4つ。うち【精霊術】は現段階では使いにくいことがわかっている。【料理】【調薬】は生産用のスキルであり、正直Lv1では得られる恩恵は少ない。【精密魔力操作】は本来ならいいスキルなのだが魔法が利用できないアイルにとっては【精霊術】のサポート以外に使い道がない状況である。
以上を総合的に考えてアイルのレベル上げの優先度はかなり高いのが現状だ。
「でもそうすると、ギミック使えないですよ?」
「誰か、連れてくる?」
「それには、このエリア外に出る必要があります。結局は私たちのレベルが不足しているので無理です。」
はっきり言って今の状況で別の人を連れてくるといった選択はできない。さらに言えば、その人が都合よくこのギミックを使うのに適しているなどありえない話だ。
「なら、マモルにーに頼もうよ!」
「え、でもマモル様は忙し…くないですね。でも、わざわざ来てなんて…いや、来たそうにしてましたね。」
そう、そんな人はいないが代わりに神がいた。その一致ぶりは必死にダメな理由をあげようとしては、失敗するフィリアの様子を見ればよくわかるだろう。
「一度相談してみる?」
「それがいいかもしれません。アイルのMPもだいぶ減ってますし、今日のところは帰りましょうか。」
こうして本日の戦闘はここまでとなり、帰路につくのであった。
----------------------------------------------------
リザルト
ゴブリンLv1 × 4
ドロップ
棍棒×2
魔石(ゴブリン)Lv1×4
----------------------------------------------------
----------------------------------------------------
リザルト
ゴブリンLv1 × 2
ドロップ
棍棒×1
魔石(ゴブリン)Lv1×2
----------------------------------------------------
帰り道は順調であった。というのも、二人が手に入れた武器の恩恵により戦闘時間が大幅に短縮されたのである。今も襲ってきたゴブリンをソルが切り捨てていた。当然エンチャントはしていない状態でだ。
----------------------------------------------------
リザルト
ゴブリンLv1 × 2
ドロップ
棍棒×2
魔石(ゴブリン)Lv1×2
----------------------------------------------------
「終わったー!!」
疲れを感じさせない元気な声を上げて戻ってくるソル。戦闘の効率化により2体のゴブリン程度なら、ルナの不意打ち→残りをソルが一振りで討伐することができるようになっていた。この間、大体30秒。少し前に現れたゴブリン4体でも、ルナ→ソル→ソルの攻撃で開幕3体は撃沈。残りの1体はアイルが足止め。後はルナかソルがさくっとである。
「もうすぐ、到着です。」
そうして、午後の3時頃には異界の入り口付近に到着する。
(今日1日で7.7点の経験値。この調子なら明日にはみんなレベルが上がりそうだね。)
経験値は1/10まではそのまま換算され、それ以下は切り上げとなる。例えばレベル1のゴブリンを4人で倒した場合は一人当たり0.3点の経験点が手に入る。
「このペースなら明日にはみんなレベル上がりそうですね。」
「ええ、正直私はいらないぐらいのペースですね。」
「そんなことないですよ。僕も二人もフィリアさんが後ろにいるから安心して闘えるんですから。」
二人がアイルをおいて飛び出せるのも、アイルがMP消費を気にせず戦えるのも横にフィリアがいるからだ。それだけ3人はフィリアを信頼しているし、その実力を知っている。
「見えた!ルナにー!アイルにー!フィリアねー!早く帰ろ!!」
見えた黒い渦に向かって駆け出すソル。それを仕方ないといった様子で3人は追いかける。
そうして渦を超え、異界に入れば見慣れた教会が見えてくる。3日前なら開くことを躊躇っただろうその扉。しかし、今ではそれを無遠慮に開いて中に入る。
「「「ただいま」」!」 「ただいま戻りました」
部屋に4人の声が響く。
「おかえり」
返された言葉は4人にはまだむず痒く、でもここが帰る場所なんだと感じさせてくれる。
「マモルにー!きいてきいて!ソルたち頑張ったんだよ!」
「マモル様。私の方からも後で相談したいことが…」
飛び込むソルと、今後の相談のためにスケージュールを確認するフィリア。
「まあ、まずはお風呂入っておいで。時間あったから掃除しておいたんだ。」
そんな庶民的な一言でドタバタの初冒険は終わりを迎えるのだった。
----------------------------------------------------
本日のリザルト
ゴブリンLv1 × 23
ゴブリンリーダーLv3× 1
アイテム
棍棒×16
魔石(ゴブリン)Lv1×23
魔石(ゴブリンリーダー)Lv3×1
総経験値 26点
配分 各7.7点
----------------------------------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます