2日目~3日目朝(魔法教室)

「では、魔法について説明しますね。」


場所はお昼の教会。教壇に立ったフィリアが教師として説明をはじめる。


「魔法は、MPを体外で操る技術体系の一つで、火、水、風、土、光、闇の6属性があり、練習をすればすべての人が全属性を使うことができます。」


フィリアは並べられた長椅子の最前列に座った3人と1柱を前に、水、土、光と属性を使用していく。


「こんな感じです。さて、聞いているだけだとよくわからいなと思いますので、まずは魔力操作の練習してみましょう。まずは意識を体の内側に向けて体中のMPを感じ取ってみてください。」


それを聞いて、ルナ、ソル、護が目をつぶり集中する。しばらくして、それぞれ感じかたは異なるが確かに自身のMPの動きを感じとることに成功する。


「いい感じです。そこまできたら後はMPを外に動かすだけです。コツは動かせると信じること。初めは難しいかもですが、一度感覚がつかめれば自由に動かせるようになりますから頑張りましょう。」


そうして3人で練習すること1時間。ある程度魔力操作ができるようになったところ、練習は次のステップに進む。


「だいぶ魔力の操作も慣れてきたようですね。では、実際に魔法を使っていきましょうか。」


そういってフィリアは、千切った紙が入ったコップを取り出す。紙切れが入っている意外は至って普通のコップ。そんなコップを片手にフィリアは説明を続けていく。


「今から行うのは空洞式という練習方法です。この方法は魔法を発動することに特化した訓練方法になります。」


フィリアはコップを両手で持ちながら、自身の魔力を込めていく。すると、少しずつコップの中の紙に水滴が付着し、最終的には薄く水コップの中にたまる。


「とこのように、コップに魔力を流しこみながら、漠然とでいいので変化するように念じてください。すると、、自身の適正に合わせた魔法が発生します。わたし場合は水ですね。ちなみに明確に属性をイメージするとその属性の魔法が発生します。まあ、説明ばかりしてもあれですので、ルナから順番にやってみましょう。」


そういってルナに新しい器を渡す。受け取ったルナは今日の練習内容を思い出しながら、魔力を流す。その際小さな声で「変われー…変われー…」と言っている姿は大変かわいらしいかった。そうして周囲が和んでいると器の中の紙がゆらゆらと揺れ始める。


「風属性の魔法が発動していますね。風属性は風を扱ったり、ものを動かすといったことが得意な属性になります。ルナよくできました。」


フィリアがルナの頭を優しく撫でる。ルナもその手に身を任せ、気持ちよさそうに目を細めていた。しばらくそうした後、ルナはアイルにコップを渡す。


「ん…次は…アイル兄さんの番。」


「うーん。多分僕はやっても意味ないよ?」


そういいながらアイルはソルからコップを受け取る。そのままアイルは魔力を込めるが、コップの中身に変化はない。


「まあ、こんな感じ。僕、魔法が使えない体質なんだよね。」


当たり前のように告げるアイル。フィリアはアイルの魔力の動きを感じていたからこそ、その言葉が真実であること理解する。そのことを察したアイルが慌てて補足する。


「あ!気にしないでください。本当に僕は何とも思ってないですから!そうだ、次はマモルさんですよね!」


「…それじゃ、やってみるよ。」


半ば押し付けられるように受け取ったコップへ護が魔力を込める。すると、時間が加速した様に紙がボロボロと崩壊する。


「闇属性が発動してますね。時間への干渉やステータスへ直接干渉するトリッキーな属性になります。」


こうして、現状魔力を操れるメンバーすべてに回ったところで


「間違えないで欲しいのは今判明した得意属性はスキル習得や練習により変化します。なので、自身の戦闘スタイルに合わせて使用したい魔法を運用していけばいいのです。」


今の状態はスポーツを一度もしたことない状況でどのスポーツが得意か調べたようなものだ。少し練習すれば、少し勉強をすれば、簡単に得意なスポーツは変わってしまうように、魔法の適正も結構簡単に変わってしまうのだ。しかし、この理屈に当てはめた場合スポーツ自体に適性がない可能性も当然でてくる。


「だから、ソルもそこまで気にしなくて大丈夫ですよ。」


今も必死に魔力を外に出そうとしては、失敗しているソルへフィリアが声をかける。


「うー!やっぱりわかんない!」


「まあ、ゆっくり頑張りましょう。」


そうして、この日の魔法勉強会は終わりとなった。


その日の夜


「うー…」


「ソル?まだやってたの?」


いつもの太陽のような明るさは身を潜め、月光差し込む礼拝堂で一人で練習を続けていたソル。それに気が付いた護が声をかける。


「マモルにー!どうしてもわかんないのー!」


(あ、このままやっててもうまくいかないやつだな…)


「とりあえず少し休もうか。」


「でも!」


ソルはよほど悔しいのか今にも泣きそうな顔で答える。護はそんな彼女の横に座ると、そっと頭を撫でる。しばらく、されるがままに身を任せるソル。それを確認した護はゆっくりと語りかける。


「まあ、気持ちはわかるよ。俺も同じような経験もあるし。」


「神様でもそんなことなるの…?」


「あるある!例えば料理な。あれ、初めは全然うまく作れなかったんだぞ。」


「うそー!だってごはんすごくおいしかったよ!」


「本当だって。初めは最後の味の調整がうまくいかなくて。なんか塩辛かったり、味が薄かったりしたんだぜ。」


「えー!それでどうしたの?」


礼拝堂でフリフリと長い影が揺れ始める。


「その時は、料理ができる人からアドバイスを貰いながら少しずつ練習したよ。しっかり測量もして、時間がかかっても一つずつ丁寧にね。そうして気長に練習していたら自然とできるようになっていったなー。」


護は改めてソルに視線を合わせる。


「ソルはどうして魔法を使いたいの?」


「だって、ソルが魔法を使えればみんなを守れるもん!」


「そうかな?」


「そうだもん!」


「でも、魔法を使えなくても…例えば剣を使えれば今より強くなれるよね?」


「それは…あれ?そうだね?」


「そうそう。」


「でも、魔法は使えないままだよ!」


「それはゆっくり少しずつ練習していけばいいんだよ。大丈夫!俺もこうして普通に料理できるようになってるんだからソルもできるようになるさ。だから、無理せず、今日できなくても未来の自分ならできる!ぐらいに思っておけばいいんだって。わかった?」


「うーーん??わかんない!!」


「わかんないか…」


「でも、なんか元気にはなったよ!ありがとね!マモルにー!!」


「明日のためにのしっかり寝ろよー」


「わかったー!」


ソルは夜には似合わない明るい声を残して階へ向かって走っていく。


(ほんとにわかったのかな?)


なお後日


「みてみて、ソルもまほう使えたの!」


「いや、なんで簡単そうに木刀に火をまとわせているんですか?しかも、木刀は燃えないようちゃんとコントロールしてますし…」


「うん?」


魔力の扱いはわからないけど、感覚だけで魔法を扱うソル。なお、それを見たフィリアはまた頭を抱えるのだった。


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すいません。【建築】の設定を少々変更しました。

これまでは神格値50で住宅を4軒の設置可能でしたが、神格値20で1軒に変更します。制限的には厳しくなりますが、神格値の管理をしやすくするのが目的です。申し訳ないですがご理解のほどよろしくお願いします。

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