1日目午後(初戦闘開始)

この世界において、魔物は人間が倒すべき存在として作成されている。というのもデミレアは争う相手を作ることで人間同士の争いを抑制しようとしたのだ。しかし、これは決して勝てない相手に挑んで欲しいというわけではない。ゆえに、魔物を視認した際、その魔物のLvがわかるようになっている。


護は目の前に現れたゴブリンのレベルを確認する。


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ゴブリン Lv1

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魔物にはHPという概念が存在しない。これは、魔物はあくまで物として作成されており、デミレアが設定した行動パターンを実行するいわばロボットのような存在だからだ。故にその器に魂はなく、その魂を守るHPもまた存在しない。


(相手のレベルは1。倒せない相手ではないはず…)


護は右手を前、左手を肩側に引いて半身に構える。対するゴブリンは未だ振るった棍棒に体制を崩されたまま。


その隙をついて護は滑るように前に出る。ゴブリンも慌てて迎撃体制をとるが、その動きは護の動きに対してあまりにも遅い。


「おら!」


掛け声とともに引き絞った右足を放つ。斜めに踏み潰すように放たれた一撃は小柄なゴブリンを大地に叩きつけると、大地をバウンドしながら、光に変わっていく。


「グギギー!」


しかし、護に息つく暇はない。既に近くで機会を伺っていた2匹目のゴブリンが護の頭部目掛けて飛びかかっている。しかし、先の戦闘で感覚が研ぎ澄まされていた護は重心移動だけでこれを捌く。さらにそこから棍棒が握られたの腕を掴んで自身の膝方向に引き込むと、顔面へと痛烈なカウンターを叩き込む。


「ゴゲッ!」


乾いた音とゴブリンのくぐもった悲鳴を上げながら光へと変わる。そうして静かになった森でしばらく次に備えるも、続くものはないのだった。


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リザルト

ゴブリンLv1 × 2


ドロップ

棍棒 ×2

魔石 Lv1×2

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2体目のゴブリンが倒れたあと、追加が来ないことを確認して護は構えを解く。


(【格闘術】のスキルのお陰か、学生時代より動きやすい。動体視力も上がってる気がする。)


護はもともと護身術の有段者である。しかし、武術の知識はあっても、平和な日本で実践する機会などはなかった。護は改めてスキルによる恩恵に感謝するのだった。


息が整ってきたところで、ゴブリンが落とした物を回収を始める。


(この半透明の欠片が魔石か。確か、魔物を形作っていた魔力の結晶だったよな?)


(そうよ!)


唐突にリジアの声が脳内へ響く。


(いきなりハイテンションは驚くからやめてくれ)


(仕方ないじゃない!護!あなた結構戦えるのね!初めに攻撃力受けたときはハラハラしたけど!)


リジアはそのまま戦闘の感想を語りそうな勢いであったが、本題を思い出しとどまる。


(魔石は使い道が多いからちゃんと保管しておくのよ!)


この世界では魔石は動力として利用する他、魔物の研究や魔力の抽出など幅広く利用されている。また、レベル1の魔物の魔石を100Gとして換金できるため、金銭価値の指標となっていた。


護は握っていた、魔石をインベントリーに格納すると、再び歩き始めるのだった。


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総合リザルト

ゴブリンLv1 × 5


ドロップ

棍棒 2

魔石 Lv1×5

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その後も、何度かゴブリンと戦闘をしながら、必要なものを集めていく。


「!?」


突然、何かを越えたような感覚と共に突き刺すような悪寒が護を襲う。


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推奨レベル15

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表示される警告文。


(あら、ここがエリアの境界ね。護、そっからは文字通りが違うからやめておきましょう。)


この創造神デミレアの世界は明確にエリアが分けされている。各エリアには推奨レベルが設定されており、踏み入れた時、その数値が表示されるようになっている。なお、異界に隣接するエリアはレベルが低くいことが多いが、それ以外のエリアは完全にランダムであることが普通だ。


既に目的も達成していた護はリジアの言葉に従い、来た道を引き返そうする。その時であった。


(…どうか彼女たちをお救いください)


誰かの願いが護》へ届く。その言葉に導かれるように、護は走り出すのだった。

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