任天堂は『仮想化』の夢を見るか。

ゲーム機の進化が止まらない。


任天堂のスイッチや、ソニーのPS5、そして、マイクロソフトのX BOXなど。


そして、今はそこにゲーミングPCとスマホが加わっている。


僕の世代は、ゲーム機といえば、コンシューマ機(つまり、専用のゲームカートリッジを専用のハードでプレイするゲームマシン)をイメージするけど、それは古いらしい。


さて、こういったコンシューマ機は、当然だが、専用のソフトがある。ハードとソフトが完全に対応関係にある。


例えば、PS5のディスクを、スイッチで読み込ませることは、当然出来ない。これは、よくよく考えると、ユーザーからすると不親切である。


今でこそ、マルチプラットフォーム(つまり、スイッチやPS5などの複数のゲームマシン向けにタイトルを発売すること)が増えたけど、昔は、そんなこともなくて、けっこうハード選びに頭を悩ませた。


ただ最近、状況が変わってきている。徐々に、でも、確実に、ゲームの世界にも、「仮想化」が押し寄せている。


「仮想化」というのは、端的に言うと、ハードの機能をソフトウェア(プログラムの集合体)に置き換えることだ。


要は、特定のタスク(ここではゲームデータの再生)に特化したハードの機能を、丸ごとソフトウェア上で再現する、ということだ。


例えば、任天堂のスイッチで、一部、ファミコンや64(もう若い人は、その名前すら知らないと思うけど...)のタイトルを遊ぶことが出来る。これは各ハードの機能を、スイッチ上で再現していると言える。つまり、「仮想化」の一種だ。


そして、その「仮想化」の最終進化系が、ゲーミングPCである。


これは、現行の最新コンシューマ機であるPS5やスイッチ、X BOXの機能を、汎用機であるPC上で再現していると捉えることも出来る。


ユーザーは、どのゲームマシンを購入しようと思い悩む必要はない。汎用機であるゲーミングPCを買えば、大半のタイトルを遊ぶことが出来る。


これだけ書くと、いいことばかりだが、もちろんそうではない。コンシューマ機にもメリットはある。価格である。


究極の汎用機とも言える、ゲーミングPCはとにかく高い。10万円で買えれば、まだお手頃かもしれない。


一方で、(ゲーミングPCに比べると)機能を絞り込んでいるコンシューマ機は、10万円あれば、ハードそのものに加えて、かなり充実したソフトラインアップや周辺機器を揃えることが可能だ。


だからこそ、ゲーミングPCが市場に出ても、スイッチはまだ売れるし、PS5は転売ヤーの餌食になる。


しかし、その状況は長くは続かないと思っている。理由は簡単で、PCの値段は宿命的に下がるからだ。


半導体におけるムーアの法則(簡単に言うと、二年で半導体の性能が二倍になる、という)は限界に近づいているが、必ず、何らかのゲームチェンジが起きて、半導体は進化を続ける。そして、PCの値段は下がる。


そうなったとき、既存のコンシューマ機メーカーは、ハードの力のみに頼ることは出来なくなるはずだ。より、コンテンツ、つまりIPの正面からのぶつかり合い、という要素が、競争の中で増してくる。


特に、最近の任天堂にその姿勢を感じる。ポケモンの実写映画化や、マリオのCG映画化などに見られるように、IPの横展開が活発だ。





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