物差しを作る。物差しをあてる。

三木谷浩史という経営者がいる。


「東北の伊達政宗」「ヘイト大魔王」「経済界のミッキーマウス」と数々の異名を取る、言わずと知れた楽天グループの創業者であり、経営者である。


さて、この男が今、燃えに燃えまくっている。もっとも可燃性の高い経営者、それが三木谷である。


なぜ三木谷は嫌われるのか。僕なりの仮説がある。



背景にあるのは、日米の価値観の違いだ。


日本人は、起業家を「従業員」の目線で評価する。つまり、「もし、この人が自分の上司であったなら...」という観点から、評価する。


一方で、米国は、「株主」の目線で見る。つまり、とにかく企業価値を最大化してくれれば、何でも良い、というスタンスだ。


以上を鑑みると、三木谷が嫌われるのは、「上司」としての三木谷の側面に問題がある。ぶっちゃけ、三木谷を上司に持ちたい日本人なんで、本当にいるのか?甚だ疑問だ。


三木谷のマイクロマネジメントぶりは有名だ。


これは、別に本人も隠そうともしていない。気軽に現場に介入する。しかし、現場からすると、結構なストレスになるし、まさか絶対君主たる三木谷に対して、異を唱えることなど、現場は出来ないだろう。


一方で、例えば、イーロン=マスク(テスラやスペースXの創業者)や、ジェフ=ベゾス(アマゾンの創業者)などは、三木谷以上に、上司にしたくない。


部下にもハードワークを求めるし(その代わり、自分もよく働くが)、伝え聞く限りでは、会議ではすぐに暴言を吐くらしい。(「お前は俺の時間を何だと思っているのか、カス野郎など」)


しかし、彼らが企業価値を極大化して、多くの株主に利益をもたらしたことは、紛れもない事実である。




僕は別に三木谷のことが好きでも嫌いでもない。

(まあ、どちらかと言うと、嫌いだ。あんなの上司になったら、転職を考える)


ただ、三木谷のことで学んだのは、物事を正しく評価するには、それ相応の物差しが必要だということだ。


三木谷の現場への介入も、「部下」として見ると、とんでもなくストレスだ。一方で、「株主」として見ると、これほど頼もしい経営者はいない。


経営者は、現場からの情報をただ待っている、というケースが間々ある。


『報告を受けるのが、自分の仕事だ』と勘違いしている馬鹿経営者もいる。

(こういうアホは滅べば良い)


その点、三木谷は違う。


情報があれば自分から取りに行くし、成果が出ていなければ、自分でその根本原因を探る。自分で進捗管理する。自分で汗を動く。



その人物、事業、業界をどの観点から評価するのか、どの次元から切り取るのか、どのように定義するのか。


「三木谷浩史」という稀代の嫌われ者を通じて、尺度の重要性を痛感する毎日である。


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