【TOTOの欠片】 『No.20240802030104』投稿者の場合

俺はすごく腹が立っている。

今日、仕事でミスをした。

ミスをしたこと自体にイライラしている訳ではない。

今日俺がしたミスに乗じて、それに近しいこれまでうやむやだったミスも、何故か俺のせいのような雰囲気になっている。

いや、直接言われた訳ではないが、何となくな雰囲気でそう感じる。


明日以降、何とか払拭していくしかないが、しんどい。

腹が立つが、言い訳もできない状況だった。

喉まで「今日以外は、俺じゃない!」、「そもそも今までみんな気付いて見て見ぬふりしてたのに急になんだ!」と。


そして、改札を出てホッとした途端に、ぶつかってきたサラリーマン。

なんだあいつは。

顔に似合わず、黄色いネクタイなんかしやがって。

あまりにいらついて、瞬間的に後ろから手で背中押したら、その場でこけてたけど。

自業自得だよな。


『悪いことは重なる』とはよく言ったもんだよな。


とはいえ、会社にぶつける訳にもいかない。

こういう時には、TOTOにぶつける。

俺は、投稿オンリーの根っからのクレ専である。


どんなトリートにしようかな。

とりあえずこの『なんともぶつけようのない怒り』をテーマにしたいよな。


俺は食事を済ませて、パソコンを起動する。


「まずは、Likeからだな。」

『Like』のボタンを押すと、いくつかの選択肢が現れてきた。

「うーん、そうだなー。

夏だし『海』と、『厳しい』と、それと『重い』かな。

あとは、再抽出しよう。」


画面左下にある『再抽出』のボタンを押す。


「んー。いまいちな選択肢だけど、まあこれとこれかな、と。」


「次は『Feeling』と。」

画面右下の選択完了のボタンを押す。


「これは、『怒』でしかないわな。全部『怒』『怒』『怒』と。」

考える余地もなく、さくさくと選択完了のボタンを押す。


次のMatterでは、最初に記述部分が表示される。

「ここは、『理不尽でぶつけようのない怒り』と。」

次に選択肢が表示される。

表示されたのは、『学校・家庭・仕事・その他』の選択肢であった。

「んー。仕事、いや、なんかあれだから『学校』にしよう。」

俺は何かよく分からない羞恥心?プライド?のようなものが出てしまった。

「まあ部活の顧問、大嫌いだったしな。」とこじ付ける。

『学校』の選択肢を押すと次に『勉強・友達・部活動・恋愛・日常生活・その他』の表示が。

「ここは、部活動で良いかな。」

『部活動』のボタンを押すと、『Matter』完了の表示。


つづいて、『Level』の選択肢。

「レベルは、まあ『簡単』で良いかな。」


4つの項目を選び終わった後、画面に「その他の項目を選択しますか?」の表示が出る。

俺は『はい』を選択する。


画面に『Flushを使用することになりますが、よろしいですか?』、『有償Flushを使用しますか?無償Flushを使用しますか?』などの選択肢が表示される。

俺はあまり無償Flushが溜まっていないため、有償Flushを使用する。


課金の手続きを終えると、画面上にいくつかの選択項目が出てくる。

「んー。どれにしようかなー。」

俺は、先ほど『学校』『部活動』の選択肢にしてしまったことから、現実味がなくなってしまい、ほんの少しどうでも良くなってきてしまっていた。

「とりあえず、『キーボード』項目にするか。」


項目を選択すると、

『続けて、その他の項目を選択しますか?』の表示が出てくる。

「まあ、もう1コ追加してみるか。」

俺は続けて選択するを選び、再度課金の手続きを行う。

画面には先ほどとは異なる選択肢が表示されている。

「んー。んっ?これはちょっと面白そうだな。」

俺は選択肢の中から、『タイムリミット』項目を選択した。


「これでおしまいっと。」

全ての選択を終え、最後に表示される『このトリートを投稿しますか?』という確認ボタンを俺は押す。


「さあて、どんなトリートになってるのかな。また明日確認するか。それにしても、寝たくねー。明日が来るのしんどいわ。」

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