33:U

イスの訪問は数日おき、数回に分けて行われた。

僕の精神状態を確かめていることもあるが、二度と暴走させないことが目的なのは痛いほど伝わる。


この部屋に来て半月が経過した。投薬の効果だろうか? 気分はとても落ち着ている。それに彼らの勉強法である「睡眠学習(エンコーディング)」を施されたこともあって、勉強嫌いの僕でもイスたちと同じ水準まで知識を取り入れることができた。


考え込むのが僕の悪い癖。でも、今はそのおかげでひとつの答えが導き出せた。

次にイスが来たそのとき、僕はこれを彼女に伝えようと思う。



さらに1週間が過ぎ、僕は檻のようなベッドと拘束衣から卒業することができた。


いつもの時刻に現れたイス。

僕は彼女の話を遮って、ある提案をした。


「今日の話は、上のさ、いつもの公園でしたいんだ。あの場所で」


万全を期すためだろう。エリアからイスの護衛が数名同行することになった。

久しぶりの地上、懐かしささえ感じる風景。ベンチに腰掛け、隣のイスに顔を向ける。


「僕は、父さんのUは継がない。

ひとりの人間として、父を殺してしまったから。


かといって君の、Dに寄るわけでもない。

ひとりのカプセラーとして、多くの同胞を手にかけてしまったから」



イスはずっと下を見つめている。



「エリアを出ようと思うんだ。

何年かかるかわからない、実現できるかもわからない。

父さんは二代目と約束をしていたんでしょ? だから……。


僕はUとD、旧人類とカプセラーを受け入れる社会、共存を目指す“トピア”を作る」





つづく

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