24:D
悠の変わり果てた姿を目にし、思わず立ちすくんでしまった。
開いた瞳孔、定まらない視点、肥大した筋肉、ぼろぼろになった手、付着した返り血。そしてすぐ近くで無残に横たわる仲間たち。
中途半端な投薬がきっかけとなってしまったのだろうか。
彼のリミッターが外れてしまった……!
騒ぎを聞きつけた警備チームが駆け付けるも、どうにかなる相手ではない。
ひとり、またひとりとボロ雑巾を絞るかのように人体を扱っている様子だった。
厳しい戦闘訓練を積んだ私でさえも足がすくみ、その場から一歩も動けずにいた。
エリアは騒然とし、暴走する彼に挑んだ者は皆動かなくなっていく。
ひとしきり仲間たちを散らかした後、悠はゆっくり歩き始めた。
その先にはゲートと、地上へと続く階段がある。
彼の姿が見えなくなって、ようやく私は金縛りが解けた。
慌てて仲間たちのもとに駆け寄るも、ほとんどが絶命している。
これがリミッターの外れたゼロ世代の恐ろしさ……。
嫌な予感がした。
悠はどこへ向かったのだろうか?
――まさか?
生存者の手当を残っている仲間たちに指示し、私は地上へと戻る階段を駆け上がった。
「悠は……。両親がいる家に戻るはず」
私の予感はだいたい当たる。でも、この時ばかりは外れてほしいと心から願った。
つづく
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