23:U…

父さんはこのことを知っていたのだろうか。

母さんもどこまで知っていたのだろうか。

二人は共犯だったのだろうか。

僕だけが知らなかったのだろうか。

クラスメイトは知っていたのだろうか。

僕がカプセラーってバレたんじゃないのだろうか。

何故カプセラーなのに自警団に入ったのだろうか。

僕は団のみんなから追われてしまうのだろうか。

もう一緒にゲームもできないのだろうか。


ゲーム。

新作ゲーム……。


母に写真データを訪ねたとき、話に割り込んできた父は「上書きした」と言った。

スマホにデータを移してもらうときに母は「ごめんなさい」と言った。

母の悲しそうな顔。データを消したと悪びれもなく言い放った父。



カプセラーなら生まれた時の写真なんて存在しない。

培養器と記念撮影でもする?


(私の前で二度とそんなこと言わないで!)


背筋がとても熱く感じる。同時に四肢に力がこもる。


(親ガチャ失敗ってやつだ!)


イスとの会話を思い出した僕は、絶叫とともに拘束衣を引きちぎり、その場に脱ぎ捨てた。


爪は剥げ、腕は真っ赤に充血している。


駆け付けた数人のカプセラー……、いや標的の顔面を殴りつけると、ひとり、またひとりと力の限り叩きのめした。


なんだ、自警団の訓練や対戦格闘ゲームより簡単じゃないか。

今日の僕は誰にも負ける気がしない。返り血で染まった拳を破れた拘束衣の切れ端で拭うと、僕は部屋をあとにした。





つづく

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