18:D
悠と連絡を絶って数か月が過ぎた。
一方こちらはというと、すっかりグループ内の戦力としてカウントされ、旧人類との縄張り争いに身を投じていた。私たち“第一世代”は身体能力を強化されており、来たるべきこの日のために訓練を繰り返してきたのだ。悠たち自警団もそれらしいことをしていたようだが、彼の鈍さを鑑みるとやはり素人の域を出ていなかったけれども。
今日は帝都東部をローラー作戦で進む、自警団の突破口を作るのが任務。非戦闘員たちを逃がすため、私は囮となって追跡中の団員たちを引き付けると、素人さんたちをまとめて片づけていった。
仕事を終えてエリアに戻った私は、珍しく上官からの呼び出しを受ける。
報酬かな、賞与かな? 敢闘賞なんて貰っても嬉しくはないな、なんて浮かれて部屋に入ると、そこには上官の隣にもうひとり見覚えのある男が立っていた。
「……Dか?」
悠の父親であった。まずい。
そう思ったときはすでに遅く、表情に出てしまった後である。
「君がデータベースにアクセスした履歴を見つけてね。
息子の件もあって、こうしてわざわざ訪ねてみたんだ」
「まったくの偶然です、彼と学校で遭遇したのは。それに彼は自分の正体を……」
ここまで口にして、またもやしまったと思った。悠との出会いがどうこうではなく、私が知りすぎていることのほうが大問題であるのは明白だ。
「さすが、Dの名を継ぐ者。だが、この先どうなるかは様子を見守ってくれないか?
先輩との約束の手前、俺も関与しない。息子についてもそうだ」
「はい、分かりました……」
会話がひと区切りしたタイミングで、上官は腕時計を確認し悠の父親にこう促した。
「U、そろそろ時間です。ご移動を」
つづく
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