04:D
てっきり警備員かと思ったら、私と同じくらいの学生ときた。しかもかなりビビっているようで、警棒なんかを握りしめている。騒ぎを大きくしたくなかった私は一応説得を試みた。
「別に、何でもないわ……。酷く疲れていたからベッドで横になろうって思ったの。
路上で眠るわけにはいかないでしょ? 保健室はこういうときに使わないとね」
「それ、僕のスニーカーだよな……やっぱり。
他人のロッカーは漁る、他校に忍び込むわでどうしようもないな」
そう言うと男はポケットからスマホを取り出したが、私はとっさにそのスマホだけを蹴り上げ、男を目で制してこう釘を刺した。
「ちょっと、私の話を最後まで聞いてくれる? 別に不審者とかじゃないし、スニーカーも返す。だから通報とかはしないでちょうだい」
荒事は避けたかったが、いよいよとなったら組み伏せて失神でもさせるしかない。この男が警棒を持っている以上、さっきと同じ『自警団』というやつかもしれないし……。
「お、お前はいったい……? 他校の生徒かと思ってたけど、本当に誰なんだ?
あの噂は本当なのか? まさか、お前みたいな女の子が??」
――ウワサ?
こいつらの間ではどんな噂が流れているのだろうか。私は“また”好奇心に負けてしまった。よせばいいのに、自ら首を突っ込んでしまう。
「そういうアンタは自警団でしょ? お察しの通り、私がアンタたちの標的よ。
でも、仮にそうだとしてもどうするの。捕まえられるとでも?」
先ほどスマホを蹴り上げたときに実力差を思い知らせたつもりだったが、とんだ勘違いだったようだ。次は肘か肩でも外してやろうと考えていると、男はこう言い放った。
「俺のスニーカー、27.5センチなのに……。お前、足でかいんだな」
「うるさいわね! 人が気にしていることをずけずけと……!!」
つづく
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