第45話 VSホスト


LOVEの営業が終わり、店の清掃に入った。


まだ、次の売り上げ発表を行っていないから、俺がしないといけない。


トイレを雑巾だけで掃除させられるのは虐めかと思ったが、この店の伝統らしい。


此処まで暴れれば、何か行動を起こすかも知れない。


将人と勇樹がヒソヒソ話しながらこちらを見ている、


幾らヒソヒソしていても『聞こえる』


仲間を集めて俺をヤル気だ。


丁度よい。


カウンターに寄りかかっている二人に一人二人、三人と他のホストが加わってきた。


人数にしてざっと二十人近くいる。


この店の在籍のホストは四十人前後。約半数がこの場にいる。


これだけいればコマ横キッズに通じている奴もいる筈だ。


「おい、お前随分とシャレにならない事してくれたな?」


「ナオは俺のふと客だふざけるな!」


人数が集まったからかずいぶん強気だ。


「はぁ!? 俺はルール破ってないだろう? 声も掛けていないし、ただ女たちが勝手に指名しただけだ」


「そんなわけーねーだろうが! このインチキ野郎が」


「全員でボコってやんよ! 命は助けてやるが、もうホストが出来ないようにその顔潰してやる……行くぞ」


「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


ホスト全員に取り囲まれた。


「お前、舐めてんじゃんねーぞ」


勇樹が俺に蹴りを入れてきた。


ドガッ


「痛いな」


「痛いなじゃねーよ、こんなのまだ……えっ」


本来なら爪傷つけるなり、その腕力で殴れば楽だが。


バンパイアとバレない様に、ポケットからナイフを取り出し。


そのまま勇樹の鼻を削いだ。


「悪いな。俺は自分からは暴力を振るう気はない。だが手を出してきたなら別だ! あ~あ、可愛そうに鼻が無くなっちゃったね。もうホスト出来ないでしょう」


夜だから駄目だ。


どうしても暴力的になってしまう。


「おまえりゃ、こいつをころふぇころふんだ」


「お前、煩いよ」


めんどくさいのでもう一度、勇樹に近づきナイフで口を裂いた。


「貴様――もう許さない、俺はこれでもボクシングをしていたんだ。死ねーー」


将人が殴りかかってきたが。


残念だな、ボクシングのチャンピンでも俺には敵わなかったんだ。


軽く受け流すしナイフで片目を抉った。


これでも、慈悲なんだ。


殺さないように武器を持った。


素手なら殺してしまうから。


「ぎゃぁぁぁぁぁーーー」


将人は蹲る勇樹の傍で転げまわっていた。


「勇樹さんと将人さんの仇だーー」


残りの仲間が襲い掛かってきた。


「待て、此奴ら二人で喧嘩して怪我しただけだよな?」


「お前、なに言っているんだ?」


「いや、良く考えろよ! この二人、この顔じゃホストは無理だ。もうこの店に対してなんの影響力も無いぞ! それに俺とやり合うなら、お前等もこうなる。そうしたらもうホストは廃業じゃないのか?」


「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」


「おまえりゃ、ないしてるんや……やれ」


「ううっ、ううっ痛いーーっ」


「さぁどうする!」


「馬鹿やってんじゃねーよ! 二人で喧嘩してよーー」


「おまえらや」


「お前等? いつまでも偉そうにしてんじゃねー馬鹿」


二人は取り巻きに担がれ店から外に放り投げられた。


さて……


これから、残りの奴らに、話を聞くとしますか。





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