第6話 離別
「久しぶり、結婚したんだって」
「うん。春樹くんは?」
「独身だよ」
「やっぱり」
余計なお世話だ。
「で、何の用?手紙には来てとしかなかったが」
「まやちゃんからは、訊いていない?」
「ああ。入れ違いだ」
「相変わらず。そっけないね」
「生まれつきだ」
まやは笑っている。
「お兄ちゃん」
「何?」
「私、しばらくここで暮らす事になったから」
「そうか・・・」
ここは時が止まっている。
自分で変わろうとしない限りは、動かない。
細かい所がかわっているのは、そのためだ。
「春樹くんは、もう後戻りはしないんだね」
「ああ。その気はない」
「やはり、私たちとは違うんだ」
「何が言いたい」
彼女は、続ける。
「じゃあ、すぐにでも戻った方がいいね、現実へ」
「ああ、そのつもりだ」
ここは現実世界とは、少しかけ離れている。
もう、子供のころには戻れないし、戻るつもりもない。
ただ、ここでの日々は糧となる。
今はまだ、ここに来るべきではなかったのかもしれない。
列車に乗る。
いつの間にか、深い眠りに落ちていた。
あれ?
確か、加藤さんに呼ばれてあの港町へ向かっていたような気が・・・
気のせいか
さらば 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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