第4怪「残酷な真実」

ものもけがひゅるると、腕を伸ばして来て、るなを掴もうとした。

彼女は、顔に恐怖の色を浮かべた、が。

刹那、猫がものもけの手に飛び掛かり、噛みついた。


『ギャッ!痛てえ!』

「猫ちゃん!」


猫が、作ってくれたチャンスを活かし、痛がりひるんでいる。怪異を尻目に。

るなは、猫をものもけの腕から引きはがすと、ふたたび抱いて空き家から逃げ出した。




しばらく、走っていると猫がフーッと威嚇の声を出した。

るなが前をふたたび見ると、何と彼女の行く手に、真っ赤になって怒っているものもけが立ちはだかっていた。


「あっ、ああっ……。」


後ずさりする彼女、逃げる間もなく捕まったるなは、顔面蒼白になった。

その時、ものもけがるなの胸ポケットに入っているある物に気が付いた。


それは、ものもけにはもっとも、忌み嫌うものだった。

ものもけは、顔をゆがめて思わず、るなから手を放す。


るなが気が付いて胸ポケットを見ると

それは、るながいつも肌身離さず、持ち歩いていた母の形見のお守りだった。


その瞬間、ものもけの身体が光り始めた。


『ぐお、出て来るな!』


苦しみだす、ものもけ。

ものもけの中から、聴き覚えのある声が、聴こえて来た。


『るな、るな……。早く逃げて』


それは、るなの母親の声だった。

「お母さん!?どういうこと。なんで、こいつの中から、お母さんの声が」


すると、ものもけは、にやりと笑い言った。


『げはげは、お前の母親の魂はおらが、喰ってやったからさ。お前の兄と姉もな!』

「どういうことなの」


すると、ものもけは、自慢げにおぞましい真実を語り始めた。

ものもけは、結月るなの家族に目を付けていて。


最初は、るなの母に憑いて病死させ、それだけでは飽き足らず兄、姉共に取り憑き取り殺した。

そして、その魂をおのれの私利私欲しりしよくの為に腹の中に閉じ込めていた。

そのせいで、彼女の家族は、成仏出来ない状態におちいっていたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次回は、最終話です。

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