第2怪「都市伝説のものもけさん」

「ものもけさん」登場人物紹介


1.「結月 るな」-ゆいつきるな-

ロングヘアの21歳の女性。

母と兄弟が亡くなり、父も出て行き、音信不通になったため現在一人暮らし。



2.「ものもけさん」

SNSで、都市伝説として、語られている。怪異。

会いたい故人と会わせてくれると言われているが…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



彼女は、スマホを見ながら儀式の準備を始めた。

畳の上にスマホとコピー用紙の上にもち米を置いた。


「ものもけさん。ものもけさん。いらっしゃいましたら、私の元においでください。」


そう唱えながら、るなは自分の指に縫い針を刺す。

赤い血がぷくりとふくらみ、それをもち米の上に垂らした。


すると、その瞬間。るなのスマホから突如、着信音が響いた。

ビクッと肩を震わす、るな。


スマホ画面には、不気味な怪異かいいが映っていた。

怪異は、スマホからずるりと這い出てきて。るなの目の前に現れた。


目が無く、耳まで、裂けた大きな口が付いている。鋭い牙、二頭身くらいの子供のような姿。血の気が無く、つるりとした真っ白な、でかい頭に短い手足が付いていた。


「ひっ!嫌だ。本当に出ちゃった」


るなは、青ざめてぶるぶると震えた。

すると、怪異は、るなを見てこう言った。


『オマエが、おらを呼び出したのか?』

彼女は、恐れながらも強く、首を縦に振った。


『そうか』


怪異は、うなずくと目の前にある。るなの血入りのもち米を貪り食い始めた。

恐ろしくて目をそむけたくなる、るなだったが。怪異が、食い終わると勇気を出して問いかけてみた。


「あんたが、ものもけさん?噂の通り、本当に会いたい故人に会わせてくれるの?」

すると、ものもけさんはこう言った。


『そうだ。会わせてやる。その代わり、オマエの血が入った、もち米をもっと、食わせろ!』

「うん、その代わりに必ず、会わせてね」


るなは、家にあった。もち米をありったけ用意し、その上にまた、血を一滴垂らした。

ものもけさんは、また貪り食い始めた。


しかし、あっという間にたいらげて、るなを見た。

『けぁ、やっぱり。オマエの血入りのもち米は、うめえ!!もっと、食わせろ』

ものもけさんは、でかい口から舌を出し、舌なめずりをする。


「もっ、もうないよ。ごめんなさい。」


るなは、震えながら謝った。

『それじゃ、オマエの名前を教えてくれ。死人(しびと)を呼び出すのに必要なんだあ』

ものもけさんはそう言ったが、ツルートにはこうも、書かれてあった。


(ものもけさんは、名前を聞いてくるけど。絶対、教えちゃダメ!名前を教えると、願いも叶えずにいきなり、頭から貪りわれるから)

それを思い出し、るなは鳥肌が立ち、ますます、震える。



『うん?どーしたあ。オマエの願いを叶えてやるって言ってんだぞお?』

ものもけは、るなのスマホの画面が目に留まり、ちらりと見た。

その画面には、ものもけさんの呼び出し方などが書かれてあった。



それを見た、ものもけさんは、不気味に笑い始めた。

『げはは!それを見て、呼び出したのか!他に何が、書いてあったか見せてみろ?』


るなは、素早くスマホを拾い、胸に画面を押し当てた。

彼女は、立ち上がり後ずさりする。額から冷や汗が流れる。


ものもけは、そんなるなを見て、舌なめずりしながらげはげは笑っている。

このままじゃ、会う前に食べられる!

そう、強く危機感を感じた、るなは部屋の外へと逃げ出した。

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