ツンデレ幼馴染から偽装彼氏になれと命令されたので仕方なく彼氏のふりをしていたが、実は全部策略で気付いたら完全に逃げ道が無くなっていた話
第44話 こうやって一緒に食材の買い出しをしてるとまるで新婚ほやほやの夫婦になったみたいだな
第44話 こうやって一緒に食材の買い出しをしてるとまるで新婚ほやほやの夫婦になったみたいだな
浅草フラワーパークに行った日から一週間が経ち、楽しかった夏休みもいよいよ残り数日となっていた。朝から俺の家で真里奈と夏休み明けにある実力テストの勉強をやっている。
ちなみに母さんと歩美は二人で買い物に出掛けているため現在家の中には俺と真里奈しかいない。
「1258年にバグダッドの戦いでアッバース朝を滅ぼしたのはどこの国かしら?」
「モンゴル帝国だ」
「正解、じゃあアッバース朝攻略のためにモンゴル帝国のモンケ・ハンから西方に派遣されたのは誰?」
「えっと確か……バトゥだったはず」
「不正解、正解はフラグよ。ちなみにバトゥはヨーロッパ遠征を指揮していた人物で1241年にポーランド・ドイツ連合軍を破ったワールシュタットの戦いなんかが有名ね」
「そう言えばそうだったな」
真里奈の解説を聞きながらノートに内容をまとめる俺だったが相変わらず分かりやすかったため捗っていた。
「世界史は得意科目だって言ってたくせにこんな初歩的な問題も正解できないっていうのは一体どういうわけ?」
「勘違いして覚えてたんだから仕方ないだろ」
「レオ3世とレオン3世みたいに似てる名前ならまだしも、バトゥとフラグって全然違う名前じゃない。どうして勘違いしたのか私には理解できないわ」
まあ、いつも通り罵声を浴びせてきてはいるが。こんな感じで勉強を続けているうちにいつの間にかお昼の時間帯になっていた。
「良い時間だし、そろそろ休憩しましょう」
「そうだな、昼食はどうする?」
「その辺は全然考えてなかったわ、ちなみに才人は何か食べたい物ってあるかしら?」
真里奈からそう聞かれたが正直何でも良い。だが何でも良いと答えると真里奈が不機嫌になりそうなため何かしら答える必要がある。
「うーんそうだな、個人的にはオムライスかな」
「良いわね、私も食べたくなってきたからそれにしましょう」
「じゃあオムライスが食べられるところを探さないと」
家の近くでどこか食べられそうな場所なんてあったかな。そんな事を思っていると真里奈の口から予想外の言葉が飛び出してくる。
「私が作ってあげるからその必要は無いわ」
「えっ、作るつもりなのか?」
「ええ、オムライスなら別にそんなに難しくも無いし」
どうやら真里奈が作ってくれるようだ。
「なら材料を買いに行かないと、多分冷蔵庫の中にあるやつだけだと足りないと思うし」
「時間も勿体無いし、今すぐ買いに行くわよ」
「分かった」
俺達は冷蔵庫を開けて足りない材料を確認し、二人でスーパーへと向かい始める。
「二人でスーパーへ買い物しに行くのも小学生の頃以来だよな」
「確かに昔はおつかいを頼まれてよく二人でスーパーへ行ってたわね」
「またこうやって二人で行くとは思ってなかった」
「分かってると思うけどあの頃みたいにこっそり買い物カゴの隙間にお菓子を入れようとしたりしないでよ」
真里奈は意地の悪そうな笑みを浮かべながらそんな事を言ってきた。
「いやいや、流石にもう子供じゃないんだからそんなくだらない事するわけないだろ」
「本当かしら、私から言わせてもらえれば才人って子供の頃からあんまり成長してない気がするけど?」
「おいおい、そんな風に思ってたのかよ」
真里奈の中で俺は小学生くらいから成長していないらしい。それから少ししてスーパーに到着した俺達は店内を回りながら買い物を始める。
土曜日という事もあって店内は結構人が多かった。恐らく週末に一週間分の食材をまとめ買いをしようとしているのだろう。
「こうやって一緒に食材の買い出しをしてるとまるで新婚ほやほやの夫婦になったみたいだな」
「ち、ちょっと。急に不意打ちしてくるのは辞めなさいよ」
「ごめん、つい思った事を口にしただけだから」
俺はひとまずそう謝罪した。真里奈は顔を真っ赤にしながら抗議するような視線を送ってきてはいるが、どこか嬉しそうにも見えるため多分怒ってはいないはずだ。
しばらく店内を回って必要な食材を全て買い終わった俺達は家へと戻り始める。
「そう言えば十七時にお客さんが来るって言ってたわよね」
「ああ、俺も誰が家に来るかまでは知らないけど母さんから絶対に顔を出せって言われてるんだよな」
何故か理由は分からないが母さんは誰が来るのかを俺と歩美に対して一切教えてくれなかった。正体不明な誰かと会わなければならないのははっきり言って憂鬱だ。
だが顔を出さなければ今後のお小遣いを無しにするとまで言われたため会わざるを得ない。
「ってわけだから今日の勉強は十六時半までで頼む」
「そうね、私がいたら邪魔になるかもしれないからそれまでに帰るわ」
「ありがとう、助かる」
「でもその代わり明日は夜まで勉強よ」
「えー、マジ!?」
「当たり前でしょ、本気で同士社に行きたいならそれくらい勉強しないと」
正体不明の誰かが家に来てくれるおかげで今日は早く勉強から解放されると少しだけ喜んでいたというのに明日に繰り越されるなら全然嬉しくない。実力テストが終わるまでは手加減してくれないようだ。
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